無料会員登録

日本の人事部への登録は45秒で完了!
※登録内容はマイページで確認・変更できます。

※「@jinjibu.jp」からのメールが受信できるようにしてください。

既に会員の方はこちら

または各SNSで登録

日本の人事部があなたの許可無く投稿することはありません

既に会員の方は
こちらからログイン

ログイン

無料会員登録

不正な操作が行われました。
お手数ですが再度操作を行ってください。

会員登録完了・ログイン

ありがとうございます。会員登録が完了しました。
メールにてお送りしたパスワードでログインし、
引続きコンテンツをお楽しみください。

無料会員登録

不正な操作が行われました。
お手数ですが再度操作を行ってください。

会員登録完了・自動ログイン

会員登録とログインが完了しました。
引続きコンテンツをご利用ください。

マイページ

会員登録済み


選択したSNSアカウントは既に会員登録済みです。

【後編】人事専門職と「独立性」の再考

【エッセンシャル版】後編に寄せて

前編では、人事専門職が「中立」という名の沈黙から脱し、判断の前提条件を整える責任――すなわち「一般的教示義務」を引き受けるべきであることを論じました。

 

しかし、ここで一つの疑問が残ります。
その判断責任は、果たして個々の人事の倫理や勇気だけに委ねてよいものでしょうか。

 

現実には、経営への異議が人事自身の評価や処遇に跳ね返る構造が存在します。
後編では、こうした個人の倫理が潰される構造そのものに目を向け、人事専門職を「内部規律装置」として位置づけ直すためのガバナンスの在り方、そして制度としての倫理綱領を検討します。

 

1.人事は経営から「距離」を置くべきではないか

――「距離」の再定義

前編で論じた「中立の罠」からの脱却は、単なる否定に留まるものではありません。その先に目指すべきは、人事を組織内の「内部規律装置」として積極的に位置づけ直すことです。すなわち、「沈黙する傍観者」から「原則と制度の番人」へ――この概念的転換こそが、本稿全体を貫く問題意識の核心です。

 

では、この「原則と制度の番人」とは、具体的にどのような責務を意味するのでしょうか。前編では、人事を「原則と制度の番人」と表現しました。法原則の実効性を担保し、手続的公正を擁護すること――この二つの責務が、人事を単なる経営の執行機関から、「内部規律装置」へと転換させるのです。法原則の擁護は「予防法学の実践」として、手続的公正の擁護は「制度の番人」として、後に倫理綱領で明示します。

 

しかし、ここで問うべきは、この「内部規律装置」としての機能を、個人の倫理や勇気だけに委ねてよいのか、という点です。

 

強大な権力が外部からのチェックを受けにくくなるとき、内部の規律こそが組織の暴走を防ぐ唯一の砦となります。これは政治においても企業においても変わらぬ原理です。ここでいう「距離」とは、物理的分離や対立を意味しません。経営と同じ景色を見て、同じ論理でうなずくことをしない――その批判的視座の確保を意味します。

 

企業統治においては、立法・行政・司法のように権力を制度的に分立させる仕組みが本来的に存在しません。加えて、株主総会の形骸化、社外取締役の機能不全、労働組合の交渉力低下といった要因により、経営権に対する外部からの牽制は構造的に弱体化しています。

 

その結果、経営権が集中する組織内部において、人事部門が果たすべき抑制的機能は、単なる補助的役割ではなく、制度設計上、代替の効かない「内部規律装置」として、かつてないほど重大な意味を帯びるに至っています。

 

ここで、あえて論争的な問いを投げかけたい。


現在の人事部門は、経営に「近すぎる」のではないでしょうか。

 

2.「経営との近さ」が孕む構造的矛盾

戦略人事(HRBP)の重要性が叫ばれ、人事部長が経営会議の一員として意思決定に参画する機会は増えています。しかし、この「経営との近さ」は、時に人事の専門職性を毀損する構造的矛盾を包含します。

 

医師が病院経営と同一化すれば患者の利益が二の次になる懸念が生じるように、人事が経営執行部と完全に一体化すれば、本来果たすべき「制度の番人」としての客観性が失われるおそれがあります。

 

人事が経営の論理と同じ景色だけを見てしまったとき、「一般的教示義務」は最初に切り捨てられかねません。なぜなら、教示とは往々にして経営判断のスピードを鈍らせ、意思決定に不確実性を持ち込むものだからです。

 

しかし、その不確実性こそが、本来は組織を破滅的リスクから守る安全装置なのです。

 

3.人事専門職の「独立性」をどう確保するか

――三つの段階的アプローチ

人事専門職の独立性は、一足飛びに制度化できるものではありません。組織の成熟度に応じ、段階的に構築されるべきものです。

 

第一のステップ:心理的・倫理的な距離の確立

役職や報告ラインは現行のままであっても、「自分は経営の執行者である前に、人事という専門職の倫理に拘束されている」という自律的規範を持つこと。これがすべての出発点です。

 

一般的教示義務は、この段階において初めて意味を有します。倫理なき人事に教示義務は存在しないからです。

 

第二のステップ:チェック機能の仕組み化

重要な人事施策の決定プロセスにおいて、法務、外部コンサルタント、監査役等による「倫理性・適法性のレビュー」をルーチンとして組み込みます。

 

これは、人事部長ら責任者個人が経営陣と孤立して対峙する構図を避けるための制度的防御です。外部の視点を「盾」として活用することは、勇気ではなく設計の問題です。

 

第三のステップ:ガバナンスの分離

人事の評価指標に、「コンプライアンス」や「手続的正義」の観点を組み込み、その達成度を経営執行部ではなく、取締役会や指名・報酬委員会が独立して評価する体制を模索します。

 

人事が経営の単なる一部であり続ける限り、沈黙はその次元での合理的選択であり続けます。沈黙を合理化しない構造こそが、専門職を守ることになります。

 

4.「独立」は孤立を意味しない

――クリティカル・フレンドとしての人事

人事が経営から一定の距離を保つことは、対立を意味しません。むしろ、「健全な批判者(クリティカル・フレンド)」としての立場を堅持することこそが、結果として経営の意思決定の質を高めます。

 

経営陣と同じ景色を見て、同じ論理でうなずくだけなら、人事がそこにいる価値はないのではないでしょうか。
 

経営がアクセルを踏み込もうとする瞬間に、「現在の労働法の考え方や判例法理に照らせば、この判断は数年後にこうしたリスクを招く」と冷徹なブレーキをかけ、代替案を提示すること。

 

この緊張関係こそが、組織を致命的な法的・社会的失墜から救うことになります。

 

5.倫理綱領――立ち返るべき拠り所

一般的教示義務を抽象的理念に留めず、実務における行動規範として定着させるため、以下に「人事専門職 倫理綱領」を提示します。

 

第1条(専門的独立性の保持)

「経営判断だから」という理由で、法的リスクや倫理性への疑義を不問に付さない。

2条(一般的教示義務)

情報の非対称性を是正し、施策の影響を予見可能にし、関係者が誤解や無知に基づかず自律的判断を行えるよう、必要な情報を能動的に開示する。手続的公正の実現は、この義務の不可分な一部である。

第3条(手続的公正の擁護)

結果の妥当性のみならず、判断に至るプロセスの正当性を監視する「制度の番人」となる。

第4条(予防法学の実践)

最新の判例法理と社会情勢を更新し、紛争を未然に防ぐ防波堤として機能する。

第5条(信頼資本の形成責任)

誠実な対話と公正な運用を通じ、組織への信頼が労使双方において蓄積される状態を目指す。

 

この倫理綱領は、理想論ではありません。
人事専門職が沈黙を強いられないための、最低限の防御線です。

 

結びに――沈黙を強いるのは、誰か

人事が声を上げられないとき、その原因を個人の勇気不足に帰するのは容易いことです。しかし、多くの場合、問題は構造自体にあります。

 

沈黙を合理的選択にしている組織こそが、倫理を腐食させている。

 

人事が経営の内側に埋没せず、専門職としての境界線に立ち続けること。その孤独な距離感こそが、組織の持続可能性を担保する最後の防波堤です。

 

前編で問われたのは、「あなたは判断を引き受けるのか」という問いでした。
後編で問われているのは、「組織は、その判断を引き受けさせる構造を持っているのか」です。

 

この二つの問いが揃って初めて、人事専門職は真にプロフェッショナルとなります。

 

【前編・後編 完】

このコラムを書いたプロフェッショナル

及川 勝洋

及川 勝洋
一般社団法人地域連携プラットフォーム シニアリサーチャー

制度や理論を現場で機能させることを一貫して追究。学術研究と実務の知見を架橋し、人材育成・キャリア形成を横断的に探究。人事施策を実装可能な形に翻訳し、個人の納得感と組織の持続的成長を支える伴走者。

制度や理論を現場で機能させることを一貫して追究。学術研究と実務の知見を架橋し、人材育成・キャリア形成を横断的に探究。人事施策を実装可能な形に翻訳し、個人の納得感と組織の持続的成長を支える伴走者。

得意分野 法改正対策・助成金、労務・賃金、キャリア開発、資格取得、法務・品質管理・ISO
対応エリア 全国
所在地 志木市
  • 参考になった0
  • 共感できる0
  • 実践したい0
  • 考えさせられる0
  • 理解しやすい0

無料会員登録

記事のオススメには『日本の人事部』への会員登録が必要です。

この記事をオススメ

あなたのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。
※コメント入力は任意です。

オススメ
コメント
(任意)
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

コメントを書く

あなたのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。

コメント
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

問題を報告

ご報告ありがとうございます。
『日本の人事部』事務局にて内容を確認させていただきます。

報告内容
問題点

【ご注意】
・このご報告に、事務局から個別にご返信することはありません。
・ご報告いただいた内容が、弊社以外の第三者に伝わることはありません。
・ご報告をいただいても、対応を行わない場合もございます。

新着 プロフェッショナルコラム

【後編】趣味はメンタルの非常口|自己効力感を回復するために

坂田 和則(株式会社ナレッジリーン(旧 知識経営研究所) マネジメントコンサルティング2部 部長 改善ファシリテーター・マスタートレーナー)

趣味はメンタルの非常口——ぐるぐる思考を止め、自己効力感を取り戻す 忙しい時期ほど、頭の中で同じ映像が何度も再生される...

2026/02/09 ID:CA-0006571 モチベーション