外国人労働者の受け入れと日本側の課題
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
昨年12月に出入国管理法が可決され、日本が在留資格の歴史上、初めて人手不足の解決策としての外国人受け入れを正式に認めることになりました。
歴史的な転換となったわけですが、すでに日本はインバウンド(一時滞在 90日以内と定義)でも多くの外国人を受け入れ、移住(90日以上滞在と定義)においても、留学や実習生も含めると、世界でも特に外国人を受け入れている国になっています。
2015年度実績で、90日以上滞在の移住者数でいくと、1位ドイツ、2位アメリカ、3位イギリス、4位日本となっており、移民で世界的に名をはせる国々と肩を並べるほどになっています。ちなみに5位は隣の韓国で、前年度から日本が逆転しました。
インバウンドは、全世界からの人々を対象にしているのに対して、就労の受け入れは、主に東南アジアからの人々が想定されている点が異なります。
東南アジアの国々はタイを除き、植民地支配を受けてきており、その大半が日本も支配したことがあります。
東南アジアと、日本や大国たちとの人的・組織的な関係において、支配、被支配という無意識な力が働くこともありえます。一部の日本人が東南アジアの人たちを上からの目線で考えたり、給与水準や生活水準を低く見積もりがちなのも、現在の経済状況だけではなく、歴史的な背景もあるかと思います。
今回の改正出入国管理法の可決の後の法務省から発表されている各方針でも、日本人との平等性を保つスタンスが強調されています。
一方、グローバリズムにより、東南アジアの人たち自身は、かつてのような情報格差がなくなり、あらゆる点で比較したり検証したりして、客観的に判断することが可能になってきています。特にSNSの普及や拡散は、日本とは比較にならないほど大きいものです。東南アジアの個々人の情報のアンテナは、日本人よりもあると考えた方がいいでしょう。
(東南アジア各国のSNS平均利用時間/1日/一人は3時間、日本は48分)
いま、 日本が外国から(東南アジアから)人材を受け入れるという方針を出しても、外国人が日本をどう評価し、どう選択するのかは、かれらの自由であり、日本側の努力要素が大きくなっていくと思います。
これからは、近隣の中国をはじめとして、多くの国が人材を必要としており、世界中で人材争奪戦となります。その中で、人材マーケットとしても東南アジアは注目されており、競争が激しくなっていくと思われます。
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外国人の雇用拡大へ向けた課題解決に挑み、日本が外国人と共生社会を形成するために日々、取り組んでいます。
外国人雇用支援の会社や、介護会社を創業して経営しています。その実体験からの一次情報と研究を重ねた情報を提供したいと思います。
前田 智之(マエダ トモユキ) 株式会社フローラ・アミ 代表取締役
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