入国管理法の可決とその影響
本年12月8日、新たな入国管理法が衆院、参院ともに可決しました。この法案可決により、これまで、外国人の就労が認められなかった、介護や外食などの業種や職種にも門戸が開かれることになり、日本の入国管理史上初めて、人手不足を外国人で補うという方針が明確に打ち出されました。
具体的には、特定技能という新たな在留資格(ビザ)が創設され、下記、14業種での受け入れが認められます。
・特定技能1号、2号対象業種:
建設業
造船・舶用工業
自動車整備業
航空業
宿泊業
・特定技能1号対象業種:
介護
ビルクリーニング
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
素形材産業
産業機械製造業
電気・電子情報関連産業
特定技能には1号と2号があり、それぞれの在留期間は5年間あります。特定技能1号を取得するには、技能実習を3年以上終了している外国人、もしくは、技能評価試験と日本語試験の両方に合格した外国人のどちらかになります。
(2018年12月25日時点では、この試験内容の詳細が決まっていません)
特定技能1号は家族の滞在が認められていませんが、2号からは認められます。
2号が認められるかどうかは、業種ごとに異なります。たとえば、介護は特定技能2号が認められていませんが、特定技能1号の間に介護福祉士の資格を取得すれば、介護の在留資格へ切り替えて、滞在が延長できます。
メデイアでは、「十分な議論」がされないまま、強行に可決したという批判が多かったですが、僕は、一刻も早く、この法案を可決したほうが事態をよくすると考えていました。
むしろ、「十分な議論」をすることで時間が経過している間に、人手不足や、現在の入管法の矛盾により、事態が悪化していく可能性が高いので、政府は非常に現実的な判断をしたと思います。
今回、国会の議論の中身としては、特定技能と、それに関係する技能実習に偏重しましたが、特定技能の業種・職種・在留資格に限らず、日本の企業や地域が外国人受け入れに積極的になることにより、主にエンジニアやホワイトカラーを対象にした従来の技術・人文・国際の就労ビザの人数も増えて行くことになると思います。
一般的に、日本に来る外国人の年齢層が若いことから、短期的には、日本の異例のスピードで進む少子高齢化の人口構造により、多くの高齢者を少ない若者で支えなくてはならない社会保障の問題が解消されることは期待されます。しかし、一方で、共生社会を日本の地域や企業で形成しないと、分断化ができる可能性もあります。
特定技能の批判として、在留期間を限定し、家族の帯同も認めないので、流入した若者やその家族の失職や高齢化のリスクを日本側で最小限に留めている点があります。ここでは日本側の都合が優先されていますが、日本という国の性質や国の保安上、ある程度は、必要な対策だと思います。
外国人側も、短期的に日本で稼ぎたい人と、日本で長期滞在したい人も出てくるはずなので、その外国人の個々の希望によって、可能性を拡大してあげる環境整備やサービスが必要になってくると思われます。
まずは、日本語のトレーニング、生活のサポートなどを、企業や地域で行うことが、外国人受け入れを進めるにあたって必要な要素となるでしょう。
また、外国人のキャリアプランなどは、本人の希望はもちろんながら、在留資格や業種によっても、それぞれ異なる戦略になってくるでしょう。
特定技能と、技術人文国際とでは、基本的には受け入れ方法も育成方法も変わってくると思われます。特定技能は現場の技能をなるべく短期的に習得してもらって、稼働をあげていくことが、企業にとって現実的な課題となるでしょうし、技術人文国際は、本人の知識やスキルをいかに発揮させて、付加価値の向上につなげられるか、ということになるでしょう。
日本の企業が、今の日本の流れのポイントを押さえながら、外国人との共生社会を企業内で形成していくことが、今後の成長の鍵を握る部分もあると思います。
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外国人の雇用拡大へ向けた課題解決に挑み、日本が外国人と共生社会を形成するために日々、取り組んでいます。
外国人雇用支援の会社や、介護会社を創業して経営しています。その実体験からの一次情報と研究を重ねた情報を提供したいと思います。
前田 智之(マエダ トモユキ) 株式会社フローラ・アミ 代表取締役
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