研修での学びを組織開発に活かすShare&Lead

組織内に「教えあう文化・学びあう文化」が醸成されることで、学びの資産が蓄積され、人も組織も発展していくと考えています。これを私は「ラーニングキャピタル」と言っているのですが、これは教える人を増やすことではなく、一方で学びたい人を増やそうというものではありません。教える・学ぶはあくまで手段であって、私の中では、教える側と学ぶ側との境界がなくなるような組織風土づくりがとても重要と感じています。

かなり極端に言えば、人材開発側が提供する研修という箱がなくても、社員からトピックが上がり、そのトピックに応えたい別の社員が知見やスキルを提供する場面がいたるところで自然発生していくようなイメージを目指しています。ある時は「自発的に学び手」になり、ある時は「自発的に教え手」なるという、社内講師という役割に縛られないシームレスな関係性が組織の中で展開できればと思っています。

やや偏った見方かもしれませんが、学習好きの方たちと交流していると、「学びになりました」、「学ばせていただきます」、「今日も学びが楽しみです」といったフレーズを聞くのですが、私には若干違和感があって、学びはその人のLearnであると同時に、Lead(発信)であると思っています。もちろんそれぞれが学んだあとにShareという形で展開される場合もありますが、Learnと同時に学びの発信者(Leader)としてのスタンスはラーニングキャピタルのある組織を醸成していく上でとても重要と考えます。簡単に言うならば、「発信者としての学習者」というイメージです。

その上でLeadにつなげていくためのLearningのスタンスはどうあるべきかを考えたときにポイントは3つあると思っています。

1つは、「学習前」のスタンスで、学ぶテーマに対しての持論やイメージを打ち立てた上で学習するという点です。これは目的を持って学ぶというスタンスにも近いですが、自分の立ち位置を明確にして学ぶことで漫然と学習する姿勢から解放されます。

2つめは、「学習中」のスタンスで、学んだことをそのまま自分が教えることを前提に新しい知見を客観的に吸収するスタンスです。これは1つ目のスタンスとは逆のように見えますが、提供される学びを極力客観的に理解する上で効果的な手法になります。

そして3つめは、「学習後」のスタンスで、学習前に描いた持論やイメージとの違いを相対化し、自分流の解釈を加えていくスタンスです。このとき「どんなShareの仕方がよいか」、「どんなLeadの仕方がよいか」を併せて考えていくと、考えが整理され新しい価値が生まれやすくなります。

このように学びは知見やスキルの伝承だけではなく、学び手によって新たに創造された価値が他者や組織に転移されることで大きな財産となっていきます。そしてその循環を最初に引き起こす社内講師を始めとするLeader(発信者)たちの役割は非常に大きいと考えます。

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大人と子どもの学び方には違いがある一方で、多くの共通項があります。その共通項の1つである「主体的に学ばせる動機つけのメソッド(教え方のスキル)」は、管理職の部下育成や専門社員の教え方の向上など、あらゆるビジネスパーソンに役立っております。

細谷幸裕(ホソヤユキヒロ) 株式会社 市進コンサルティング 代表取締役

細谷幸裕
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