テスト フォーミュレーションな学び
塾予備校の世界では講師の教務スキルを高めるために特定の学校を想定した入試予想問題を作成するトレーニングがあります。このトレーニングのメリットは、その学校の入試問題の傾向が掴めるだけではなく、予想問題の作成を通じてレベルを意識した設問作成能力が習得できるメリットがあります。
また、このトレーニングの最大の効果は、予想問題として再構築することで、作成者自身の設問の切り口と探求度合いが顕在化し、作り手側の学習促進と評価者側の理解度把握の双方が期待出来るということです。
つまり、テストを作ることは作り手側にとってはテストを解く以上に作り手の学習理解が必要になってくるということであり、評価する側にとってはテストを受けさせるよりもテストを作らせたほうが学習効果の高いクリエイティブな効果測定になりうるということです。
通常、テストは教える側が学習者の到達度や理解度を測るために効果測定のツールとして活用します。研修やe-Learningであれば学習の最後に確認テストとして実施されるケースが多いでしょう。一方で、テスト作りはテストを効果測定としてだけではなく、学習者の学びを深める手段として形にしていく(フォーマット化)していくのが、テストフォーミュレーションという考え方になります。
ここでいうフォーミュレーションとは、研修や講義などで学習した学びをテストという形で定式化し、学びと理解度を深化させる手法を表します。例えば、みなさんが学生の頃、試験前に単語カードを使って一問一答の問題集を作成した経験はないでしょうか。この作業はカードを作ったあとの知識習得の意味もありますが、問題を作ることで内容に対する理解を促進する効果もあります。
また、テスト作りは「どのように問うか」によって作成者の理解度や学習レベル、誤認識などの様々な情報が可視化される副次的効果もあります。このことは教える側が学習者の理解度把握にも役立てることができ、教える側と学ぶ側の認識共有になります。
最近はオンライン化によって学びが「いつでもどこでも何度でも」と言われるように手軽なものになっており、その効果測定もデジタル化によって簡単に測れるようになってました。一方で、デジタル化やオンライン化によって学びが「クリエイティブになったか」「プレイフルになったか」と言えば、まだまだテストはネガティブな印象があるように感じています。
このテストフォーミュレーションの考え方が広まり、学習者の学びをそれぞれがテストという形で再構築し、その成果物を互いに共有しあうスキームができたとすれば、そのプロセスは非常にポジティブでクリエイティブなアウトプットといえるかもしれません。
そして作ったテストをまた別の誰かと解きあってみることで他者の思考や視点を体験できるのもテストフォーミュレーションならではの醍醐味です。
これからのテストは、受けるだけのものではなく、作り、楽しみ、学ぶものへ。
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大人と子どもの学び方には違いがある一方で、多くの共通項があります。その共通項の1つである「主体的に学ばせる動機つけのメソッド(教え方のスキル)」は、管理職の部下育成や専門社員の教え方の向上など、あらゆるビジネスパーソンに役立っております。
細谷幸裕(ホソヤユキヒロ) 株式会社 市進コンサルティング 代表取締役
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