社内講師の教え方を測定する2つの意外な基準
人前に立って教える時、塾予備校の世界には 教える際のいくつかの工夫があります。
その工夫を私たちがスキル化するときは、最初に満足度の低い講義を素材に改善箇所の抽出と
原因の特定をおこない、改善手法を検討、学習効果を測定した後に汎用化するという手順を踏みます。
そしてこの改善手法の中で私たちが特に大切にしているのが、講義レベルをその講師のキャラクター
(個性や経験など)で判断しないという点と、
「一見、上手そうに見えて実は大きな問題を含んでいる指導」に着目するという点です。
この「一見、上手そうに見えて実は大きな問題を含んでいる指導」というのは、その人の個性を
否定しているのではありません。その指導の「方法論」が受講者の学習効果に良い影響を
与えないだけでなく、講師にとっては良かれと思って展開している点に問題があるということを意味します。
例えば、生徒を置いてけぼりにしないためによくある例が、最初に誰でも理解できる当たり前の
知識や問題から入り、学校全員ができた」という状態を作り褒めてから次の手順を丁寧に説明、
そして確認するというこの繰り返しの展開です。たまにその流れについてこられない生徒がいると、
講師は集団授業でありながらも他の生徒の面前で「何がわからないか」を無意識に問い詰め、
ますますわからなくするという悪循環の授業です。
この展開には教え方における問題点が大きく2つあります。1つは講師が「その場で全員を」
且つ「内容全てを」理解させないといけないという先入観です。
もう1つが講師が教えようとしている内容にはたくさんの学び方があるにもかかわらず、
ある特定のしかも非効率な「積み上げ型」の展開になっているという点です。
特に2点目の積み上げ型の講義は、講師が良かれと思って意図的に実施している場合がありますが、
学ぶ側からすると敷かれた線路の上を走るだけの学習になります。
もちろん、操作説明ややり方が単一のもの、短い時間で少人数に対して導入部分の講義などの
チュートリアル的な要素であれば問題ありません。
一方で、講義時間や学習期間が長く、ゴールまでの知識やスキルや態度の習得方法が
複数ある講義であるならば、そこには講師主導の敷いたレールの上をなぞらせるのではなく、
まずは講師はゴールを示し、そのゴールに向かって学び手に考えさせ、レールさえも
選択させるということが重要になります。
このゴールを示すことを私たちは講義展開において「方針呈示」と呼んでいます。
「何がわかれば、答えにたどり着くか」というゴールを全体で共有することが、積み上げ式
にならない講義手法の肝となります。
教えるスキルというものの中にも「学習者を主体的に考えさせる要素があるかどうか」という視点は、
一見、上手そうに見える講義の中にこそ、検証の余地が大いにあると私たちは考えます。
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私たちは 教えるプロであり続けます
大人と子どもの学び方には違いがある一方で、多くの共通項があります。その共通項の1つである「主体的に学ばせる動機つけのメソッド(教え方のスキル)」は、管理職の部下育成や専門社員の教え方の向上など、あらゆるビジネスパーソンに役立っております。
細谷幸裕(ホソヤユキヒロ) 株式会社 市進コンサルティング 代表取締役
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