経営計画とは(2)
前回の経営計画とは(1)では、「経営計画」「経営計画立案の進め方」をご説明しました。
今回は、「年度経営計画の策定」についてご説明します。
3.年度経営計画の策定
中期経営計画を年度に落とし込んだものが年度経営計画です。3年後のありたい姿を強くイメージしながら、最初の1年にどこまで到達すればよいかを明確にし、具体的な計画も策定します。
ここでこれらの経営計画の策定について、誰が策定するべきかを、ご説明します。
1)中期経営計画の策定責任者
中期経営計画は3年後のありたい姿を規定しますので、将来構想を描く責任者ということになります。
これらの責任者は、役員になります。経営者がVisionを示し、経営機能それぞれの管掌役員が部長クラスと相談しながら策定します。
2)年度経営計画の策定責任者
年度計画の策定は様々な階層の社員が関与します。
年度経営計画は、中期経営計画と同様に、年度課題、年度目標、年度戦略、年度戦術を記述します。そして具体的な実行計画まで策定することが必須となります。
本部レベルの年度課題、年度目標は、管掌役員が部長と相談しながら策定します。
年度戦略(部レベル)は部長が課長と相談しながら策定します。必要に応じて管掌役員が支援します。
年度戦略(部レベル)は、その後、課別に策定し、これは課長が課長代理と相談しながら策定します。必要に応じて部長が支援します。
年度戦術は課長代理が係長・主任クラスと相談しながら構築します。必要に応じて課長が支援します。
このように役割分担を明確にして策定・構築していくことが求められます。
3)具体的な年度計画の策定
課レベルの目標、戦略、戦術が決まれば、具体的に、「誰が」「いつまでに」「何を」「どのようにするか」を決めていき、課の年度計画を策定しますが、これは、課長が課長代理・係長・主任クラスと一緒になって作成します。
課長代理・係長・主任クラスが一緒になって策定する目的は、課長は管理職ですから第一線の業務から退いています。そのため、実務の詳細を把握している最高位がいわゆる指導層と呼ばれる課長代理・係長・主任クラスになるためです。戦術構築、計画立案は、実務の詳細を理解していないと正しいものが作れません。
課の年度計画を策定するポイントは、次の3点です。
①課に所属する社員の育成を考えて策定する
②受け手の社員が行動をイメージできるように分かりやすく策定する
③年度計画は、目的と意義を理解できるように策定する
①の解説
ポイントは、社員がより上位の役割を担えるように、前年よりも難易度の高い業務を任せる、ということに尽きます。前年同様の業務を任せることが最も課としての効率が高い状態ではありますが、同じ業務を任せるだけでは、社員は成長しません。社員の成長スピードを速めるためにも、より難易度の高い業務を任せることが重要になります。
②の解説
人間は、頭でイメージできた行動しか取れません。そうであるならば、受け手の社員(部下)が計画を見たときに、自身の業務をイメージできるかどうかがポイントとなります。イメージできていなければ、課長を中心として上位職の者が、受け手の社員(部下)が業務を理解してイメージできるまでしっかりと説明することが重要になります。特に、部下を成長させようとして未経験の業務を与えた場合は、理解しているかの確認を継続的に取る必要があります。
③の解説
部下が自身の業務の目的と意義を認識していなければ、日々の忙殺される業務に埋没してしまい、モチベーションが下がってしまいます。
あるいは目的を忘れてしまい、目標達成のための手段が目的化し、課の方針とは異なる行動をとってしまいます。
これらを防止し、継続的に課の方針を理解した状態を創りあげるためには、上司が常に部下一人ひとりの仕事の目的を認識させることです。
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25年のコンサルティング経験で、経営・人事・営業分野で数多くの成功実績を有し、お客様の経営方針を実現する基盤となる制度を構築しています
経営計画の策定、経営方針管理プロセス設計、営業活動プロセス設計など、人事以外の分野のコンサルティング経験を活かして、“経営方針を実現する”ことに焦点を当てた人事制度を構築しています。
小川 貴司(オガワタカシ) ストリーム経営コンサルティング株式会社 代表取締役社長
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