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有事ジェンダーギャップは平時の課題の鏡~災害の中の企業課題

2024年は、元日早々の大きな地震に心を痛めながら始まることになりました。
今もなお被災地で大変な思いをされている方々に、
心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

このような災害が発生するたび、近年、大きな課題として浮かび上がるのが、
防災面でジェンダーの視点、特に”女性視点の欠如”です。

FOCUS!被災地で浮かび上がるジェンダーギャップの実情

東日本大震災以降、SNSなどで被災者または被災経験者が声を挙げやすくなったこともあり、
「避難所の生理用品が不足している、備蓄がない」
「着替えや授乳などのプライバシー確保が困難である」
といった、避難所運営や物資の備蓄・支援品の配分等における問題点が多く指摘されるようになりました。
そしてこの問題は、関連する意思決定の場面に女性が携われていないことに一因がある、ということも明らかになっています。

例えば、内閣府男女共同参画局の2022年の調査では、
全国1,741の自治体のうち、
全体の約6割の自治体で「防災担当の部署に女性職員がゼロ」であることがわかりました。
災害時には昼夜を問わず緊急対応や泊まり込みが必要である、という理由から、
女性職員の配置が難しい、という現状があるようです。

また、2019年の内閣府データをみると、自治会長のポジションに就く女性はわずか5.9%
地域住民のトップたる自治会長はほとんどが男性ということです。
もちろん避難所の運営方針が自治会長の一存で決まる、ということは考えづらいですが、
この数字の低さは、地域コミュニティが男性中心になっていることを容易に想像させますね。

コンサルタントが分解:「被災地ジェンダーギャップ」のココが問題

「女性は緊急対応が難しい」と決めつけているのであれば、ジェンダーバイアスも甚だしいと言えますし、
そもそも当該業務において“夜中にいの一番に駆け付けられること“が本当に必須なのかは検討の余地があります。
また、”緊急対応”の例だけをとっていえば、子育て中の男性も本来は“対応不可“のはず。
家庭内のケア労働を誰かに押し付けた結果として、「緊急対応可」になっているだけではないでしょうか。

そして、ケア労働を担って家庭=地域にとどまった女性は、
困難な状況に陥ったとき、地域の中でも考慮されず、必要な物資や支援を受け取れない…。
なんという負のループでしょうか。

DE&I施策担当者が押さえておきたい企業内施策との密接な関連

私はこの問題を「行政や地域コミュニティの課題」と割り切ることはできません。
なぜなら私は日頃、企業のダイバーシティ推進担当者とお会いして、
企業内のジェンダーギャップをどう解消するか、というディスカッションをしていますが、
そこで出てくることもやはり似たような課題だからです。

女性は(緊急対応の難しさ等様々な理由で)管理職になりづらい/特定の職務に就きづらい
⇒意志決定層に占める女性の割合が低くなる/職務別に男女の偏りが生じる
⇒女性の事情や需要を反映しづらい仕組み・組織風土が出来上がる

このように、災害とジェンダーを取り巻く課題を見るにつけ、
有事の際のジェンダー視点の欠如は、平時のジェンダーギャップの鏡写しであり、
問題は地続きなのだと実感します。
だからこそ私は、企業の中でのジェンダーギャップを解消していくこと、
すなわち意思決定層のジェンダーバランスを改善することは、
ビジネスの側面だけでなく、社会全体のエクイティ実現につながると考えています。

DE&I施策を担当しているが、必要性がなかなか浸透しない」
「多様な事情や需要を反映できていない、硬直化した組織を何とかしたい」

このような思いをお持ちのご担当者様、ぜひお気軽にご相談ください。

  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • リーダーシップ
  • マネジメント
  • チームビルディング

ダイバーシティの理想と現実を想いでつなぐ伴奏コンサルタント。
DE&I施策特有の壁・つまづき・モヤモヤ、お気軽にご相談ください

大学卒業後、事業会社に入社。そこで見た女性のキャリア選択肢の狭さにもどかしさを感じ、HR業界へ転職。採用テックベンチャーでカスタマーサクセスとして従事した後、現職。ジェンダーギャップの解消と誰もが人間らしく尊重される社会の実現を目指す。

門野淑香(カドノシズカ) リ・カレント株式会社DE&I・女性活躍推進・組織施策コンサルタント

門野淑香
対応エリア 全国
所在地 東京都新宿区

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