カスハラする人の3つの心理とは?社員のメンタルヘルスに直結
今回はカスハラをする人の心理背景を解説します。
クライアントからの理不尽で著しい言動や要求のことを、カスハラと呼びます。
・高圧的・威圧的な態度
・人格否定
・度を過ぎた苦情
・無理な要求
・暴言や暴力
・セクハラまがいの言動
・執拗な嫌がらせ
これらを総称してカスハラと呼んでいます。
対面で接客をする際のお客様だけでなく、企業間でのクライアントもカスハラの対象に含まれます。
最近ではカスハラの現象がメディアでも頻繁に報じられ、社会問題化しています。
2024年末に厚生労働省よりカスハラ対策を義務づける方針が出されたこともあり、カスハラ対策方針を独自に表明する企業も増えています。
また私自身も高校時代に人生で初めてコンビニエンスストアでアルバイトをした際に、カスハラの言動をとるお客様に遭遇しました。
もう20年以上前のことですが、そのお客様の言動が影響してアルバイトを1ヶ月で辞めたこともありました。
時代や業種を超えて、カスハラの影響は大きいのです。
●カスハラする人の心理背景
確かにカスハラ方針を表明するのも大事ですが、それだけでカスハラが完全になくなるとは限りません。
万が一カスハラを受けてしまっても、社員がメンタルを早く立て直せるように対策をとることも重要です。
その意味でカスハラとメンタルヘルスは表裏一体なのです。
そこでこのコラムでは、カスハラをする人の心理背景を解説します。
「一体なぜカスハラをしてしまうのか?」
大きく3つの心理背景に分けられます。
どれか1つに該当することもあれば、複数に当てはまることもあります。
●1、不満が爆発した
クライアントの何らかの不満が爆発したことで、カスハラと呼ばれる現象につながります。
たとえばスタッフがミスをしたことで、不満が爆発し威圧的な言動をとるクライアントもいます。
スタッフによって対応が異なったことで、怒りを爆発させて暴力や暴言に走るクライアントもいます。
もちろん理不尽で著しい言動や要求をするのは正当化されませんが、カスハラとは不満が表面化した姿なのです。
●2、気に入らない態度をとられた
クライアントにとって気に入らない態度をとると、カスハラにつながることがあります。
「接客した店員の愛想が悪かった」
「大事に扱われていないと感じた」
「急いでいるのに待たされた」
気に入らないと感じることがあると、カスハラにつながることがあるのです。
ただしクライアントの主観にも左右されるので、何が気に入らなかったのかを特定するのは意外と難しいです。
「そんなことで?」と思うようなキッカケで、カスハラにつながることもあります。
●3、過去にされたことを根に持っている
「過去に雑に扱われた」
「過去に見下されているように感じた」
もし何度も対応したことがあるクライアントだと、過去にされたことを根に持っているかもしれません。
こちらが悪意なくとった振る舞いを、クライアントが気に入らないと感じているかもしれません。
そしてクライアントの我慢が限界を迎えた時に、カスハラのような言動を引き起こすのです。
●本人に原因がないこともある
ここまで3つの心理背景を解説しましたが、実は自分に原因がないこともあります。
これは意外と見落とされがちなのですが、自分とはまったく関係ない日頃の不満を爆発させるケースが意外とあるのです。
たとえば仕事や家庭がうまくいかず、クライアントが不満をため込んでいるケースがあります。
そんな状況の中でたまたま目の前にいたスタッフが、クライアントの日常の不満の吐け口にされてしまうのです。
これは完全にとばっちりですし、クライアントに原因があります。
この現象はカスハラに限らず、現代の多くの場面で見受けられます。
たとえばSNSで匿名で誹謗中傷をするのも、ターゲットに原因がないこともあります。
その人が日常でのうっぷんをため込み、SNSで発散させているだけかもしれません。
あるいは仕事でイライラすることがあって、帰宅後に子どもにキツく当たってしまうこともあるでしょう。
このように本人に原因がないのに、周りにとばっちりをぶつけてしまうことはよくあります。
そのとばっちりがエスカレートした状態が、カスハラとも言えます。
●カスハラする相手を変えることはできない
ここまで心理背景を解説してきましたが、残念ながらカスハラする相手を変えることはできません。
これはすべての人間関係に言えますが、相手の言動を変えることはできないのです。
相手の言動を思うままにコントロールすることなど、どう考えても無理です。
対策をとることは非常に大事ですが、カスハラする相手を変えることはできないのです。
この点を踏まえつつ大事なのは、万が一カスハラを受けた時に社員が早く立ち直れるようにすること。
ショックを引きずり仕事がつらくなり、休職や離職をしては本人・会社の双方に大きな損失です。
私は7,000名以上のお客様と関わる中で、社員が自力でメンタルを立て直す方法を体系化しました。
カスハラを受けないのが理想ですが、日頃のクレーム等も含めメンタルが落ち込んだとしても、長く引きずらずに済む方法です。
「カスハラに悩む社員を減らしたい」
「クレームやトラブルに負けない社員のメンタルを作りたい」
「カスハラによって社員の休職や離職を防ぎたい」
こうした依頼に対して、企業での研修や講演会等を通してサポートしています。
●カスハラはなくならない
カスハラという言葉が誕生する以前から、カスハラ的な言動をとる人は一定数いました。
つまりこの先も、カスハラをゼロにすることはできません。
どれだけ会社としてカスハラ方針を明確化し周知をしても、カスハラが一件もなくなることはありません。
どれだけ会社としてカスハラ対応マニュアルを整備し報告体制を構築しても、カスハラを受けた社員の心の傷は消えません。
最終的には社員がメンタル不調を訴え、休職や離職につながることが懸念されます。
ただし周囲のサポート体制を整えても、社員が悩みを相談するかどうかはわかりません。
だからこそ弊社では、カスハラ防止の組織体制整備よりも、カスハラに負けない社員のメンタルを作ることが先決だと考えています。
カスハラやクレームを受けても自分で気持ちを立て直せる力を個々の社員が身につけながら、並行してカスハラに組織的に対応する体制を整備することが必要です。
カスハラを受けてしまう社員や、彼らをまとめる管理職層に対して、メンタルケアの視点から対策が必要になります。
そのためカスハラ対策で何より重要なのは、「カスハラを受けてしまう可能性がある社員のセルフケア力を高めること」です。
これは一般的なメンタルヘルス研修やセルフケア研修では対応できない領域です。
弊社では研修やコンサルティングを通して、社員が自分でメンタルを立て直せる3ステップを教えています。
冒頭でも紹介した様に、私自身がカスハラ被害を受けたことがあるからこそ、同じ様に苦しむ人を作りたくないという思いもあり、自分でメンタルを立て直せる3ステップを伝え続けています。
ステップ1:自分で自分の気持ちを声に出す
ステップ2:自分と相手それぞれの背景を考える
ステップ3:「どうしたい?」と自分に問いかける
この3ステップを身につけ仕事で実践すると、カスハラやクレームを受けても心の動揺を引きずらず切り替えられるようになります。
周囲に相談せずとも自分で自分のメンタルを整えられるようになるので、メンタル不調を未然に防ぐことができるようにもなります。
先ほどもお伝えした様に、カスハラがゼロになることはありません。
それならばカスハラやクレームを受けた時に、早く気持ちを立て直せる力を社員が個々に身につけてもらうことが、カスハラ対策としてより効果を発揮します。
現場の社員はもちろん、それをまとめる管理職層にも必要な内容だと言えます。
カスハラ対策で何より重要なのは、カスハラや理不尽なクレームを受けてしまう可能性のある社員のメンタルケアです。
具体的には、社員が自力で気持ちを立て直せる様な力を、個々に身につけることです。
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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高校教員を経て、独立した2017年から7,000名以上のお客様を支援。自身もカスハラを受けた経験があることから、企業におけるカスハラ対策をサポート。カスハラやクレームを受けても現場の社員や管理職が自力でメンタルを立て直せる3ステップを開発。
伊庭 和高(イバ カズタカ) 株式会社マイルートプラス代表取締役
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 品川区 |
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