リーダーシップの型ではなく【自分軸】を育てる人財育成とは

先日、女性管理職候補者の皆さまを対象に、
3回連続のリーダーシップ研修を実施させていただきました。

研修では、私自身のこれまでの経験や、
うまくいかなかったこと、失敗から学んだことも含めて、
いつも通り、少し“熱く”お話ししました。

研修の最初は、
「今の管理職は忙しそう」
「自分に務まるだろうか」
と、昇格に対する不安や戸惑いの声が
多く聞かれました。

ところが終盤になるにつれて、
「管理職には一つの正解があるわけではない」
「自分らしいリーダーシップがあっていい」
という気づきが生まれ、
表情や言葉が、少しずつ変わっていったのです。

毎回、この心の変化に立ち会えることが、
何よりやりがいを感じる瞬間の１つです。

それでは、今回は、
「しなやか姿勢が、次世代リーダーを育てる」
というテーマでお届けします。

■【事例】「自分のあり方」が行動を変えた瞬間
 

研修の中で毎回行っているワークの１つに、
「しなやか姿勢」をベースにした
『自分のあり方10か条』を考える時間があります。
https://jinjibu.jp/materials/detl/14936/

このワークでは、
「どんな価値観で判断したいのか」
「どんな姿勢で人と向き合いたいのか」
を、じっくり言葉にしていきます。

取り組むうちに、

• 自分の強みを活かして挑戦してみたい
• 組織に良い変化を起こしていきたい

といった前向きな想いが、自然と芽生えていきます。
すると、

「管理職になることが不安ではなく、
自分のスタイルで組織に貢献するチャンスだと
思えてきました！」

という、視点の転換が起きやすくなるのです。

“役割”ではなく、
“自分のあり方”に目を向けたことで、
行動への一歩が変わった瞬間に
これまで何度も立ち会ってきました。

そうした変化に伴走できることを、
講師として、とてもありがたく感じています。

■データが示す「しなやかなリーダー」の必要性

現代のビジネス環境は、
VUCA（変動・不確実・複雑・曖昧）や
BANI（脆弱・不安・非線形・理解不能）
といった言葉で表されるように、
予測が難しく、変化の激しい時代です。

こうした状況では、
従来型の指示・統率型リーダーだけではなく、
柔軟に対応できるリーダーが
求められているという指摘が増えています。

また、組織心理学の研究では、
個人の成長志向（グロースマインドセット）や、
自分の強みを活かす行動が、
革新的な行動や主体性と
関連していることが報告されています。
（出典：Frontiers in Psychology, 2022）

さらに、ハーバード大学の
エイミー・エドモンドソン教授の研究では、
心理的安全性の高い職場ほど、
学習行動やチーム成果が高まることが
明らかになっています。

これらの研究からも、
「強さ」より「しなやかさ」を軸にした
リーダーシップの重要性が
見えてくるように感じています。

■まずは「自分の軸」を言葉にすることから

リーダーに限らず、「自分のあり方」を
言語化することは、ビジネスパーソンにとって
非常に有意義であると私は考えています。

• どんな判断軸を大切にしたいか
• どんな関わり方をしたいか
• 迷ったときに立ち返る自分なりの軸は何か

これを言葉にすることで、
環境や状況に振り回されにくくなり、
より自律的な行動につながっていきます。

私は常々、リーダー育成とは、
「型を教えること」ではなく、
自分なりの軸を持てる人を
増やしていくことだと思って取り組んでいます。

一人ひとりのしなやかな軸が、
多様性ある組織の中で、
次のチャレンジを生み出していくーー。

その土台づくりとして、
“しなやか姿勢”を育むリーダー育成に、
これからも向き合っていきます。