法改正で義務化へ──女性リーダー育成を“経営投資”に変える
女性活躍推進法が改正され、2026年4月から
新たな義務がスタートします。
101人以上の企業を対象に、男女間の賃金差や
女性管理職比率の公表が求められるようになります。
これは、ジェンダーギャップがなかなか縮まらない
日本社会への“再起動のメッセージ”だと
私は受け止めています。
多くの企業で女性管理職育成が進んでいますが、
「数を増やす」ことに偏るあまり、
当事者である女性が強いプレッシャーを
感じてしまうケースも少なくありません。
そんな中、先日しなやかリーダー塾の受講者から
次のようなメッセージをいただきました。
「全ての人が安心して力を発揮できる
環境づくりのため、
しなやかなリーダーを目指します。」
その瞬間、彼女の表情がパッと輝き、
“役割”ではなく“想い”から動く人の強さを
感じました。
こうしたリーダーこそ、これからの組織を
変えていく存在なのだと思います。
それでは、今回は、
「女性リーダー育成は、しなやかに変化を起こす経営戦略」
というテーマでお届けします。
■【事例】上司と組織を巻き込み“育成を経営戦略化”
ある技術系企業で女性リーダー育成施策に
取り組んだ時のことです。
当初は「女性に何か特別な研修を提供する」
という発想から始まりましたが、
途中で人事担当のAさんがこう言われました。
「女性だけに頑張らせる取り組みにはしたくない」
そこから、女性リーダー候補者だけでなく
上司層を巻き込んだ施策へと進化していきました。
例えば、候補者が取り組みたいテーマを語る場を設け、
上司がその想いを受け取り、
応援コメントを返す仕組みを導入。
また、育成の意義を経営にも丁寧に共有し、
「組織として取り組むべき経営戦略」
という認識を広げていきました。
結果として、女性候補者の挑戦意欲が高まり、
上司の育成姿勢も変わり、組織全体の中に
「女性リーダー育成=未来への投資」
という空気が浸透していきました。
女性だけの努力ではなく、組織を巻き込むことで、
継続的な変化が生まれていった好事例となりました。
■しなやかなリーダー育成が経営戦略になる理由
厚生労働省「令和5年度 雇用均等基本調査」では、
課長相当職以上の女性比率は12.7%にとどまり、
世界的にも日本のジェンダーギャップ指数は
146か国中118位という厳しい現状が示されています。
こうした状況を受け、女性活躍推進法の改正では
「女性管理職比率」や「男女の賃金差」の
開示義務拡大が進み、企業に対して
“実態の可視化と行動変革”が強く求められています。
一方で、労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査では、
人材育成に取り組む企業の66%が
「経営成果に好影響があった」と回答。
特に、「女性を含む多様なリーダー層の育成」は、
生産性向上、エンゲージメント向上、離職防止など
組織パフォーマンスの改善に寄与していると
報告されています。
つまり、「しなやかなリーダー育成」とは、
単に数値を上げる取り組みではなく、
組織文化を変え、企業価値を高めるための
“経営戦略”であるということなのです。
■「声の可視化」を最初の一歩に
まずできることは、「数」ではなく
「声」を聴くことだと考えています。
たとえば、
- キャリアに迷いを感じる女性社員の本音を拾う
- 管理職候補者の声を上層部で共有する仕組みを
人事部内で検討・実施する
数字だけでは掴めない“リアルな声”を
全社で共有することで取り組みの本質が
「女性活躍」から「全員活躍」へと広がります。
しなやかなリーダーとは、
自分らしさを大切にしながら、
周囲に希望を広げていく人です。
そんな人がひとり増えるごとに、
組織は確実に強く、あたたかくなって
いくのだと感じています。
このコラムを書いたプロフェッショナル
細木聡子
株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
細木聡子
株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
| 得意分野 | 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、キャリア開発、リーダーシップ、マネジメント |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 所在地 | 千代田区 |
このプロフェッショナルの関連情報
- 無料
- WEBセミナー(オンライン)
【2030年30%目標 × 人的資本経営】
技術系企業が“内から女性役員・管理職を育てる”ための最短ルート
ー競争力を高める「生え抜き登用」成功モデルを公開ー
開催日:2025/12/04(木) 16:30 ~ 17:30
組織開発 ダイバーシティ経営セミナー
技術系企業の管理職層に向けた、DE&I推進の土台を築く90分間の実践セミナー
育成・研修 しなやかリーダー塾
経営視点と行動力を育む、実践型 女性管理職育成プログラム
- 参考になった0
- 共感できる0
- 実践したい0
- 考えさせられる0
- 理解しやすい0
無料会員登録
記事のオススメには『日本の人事部』への会員登録が必要です。