【事例】一人ひとりの当事者意識が組織の可能性を拓く
当社では、技術系企業に特化した
ダイバーシティ経営推進をサポートしていますが、
その多くの職場環境が新3K(キツイ・厳しい・帰れない)
となってしまっている企業も少なくありません。
その中で、D&Iを進めよう、イノベーションを起こそう、
となると、
「ただでさえ忙しいのに難しそうだな」
「この業務が落ち着いてから考えよう」
と、つい後回しになってしまうといった悩みや課題が
聞こえてくるのが現状ではないでしょうか。
しかし、忙しい時ほど、新たな行動から変化を促す
取り組みを、一人ひとりがやることで、多様な視点が
融合する相乗効果によって、D&Iがもたらされるのでは
ないかと私は考えています。
そこで、今回のメルマガでは、私の実体験を通して、
組織の中でどんな立場であろうとも、
当事者意識を持つことが、自分の成長のみならず
会社成長をもたらすことにつながる、
ということについて
一緒に考えていければと思っています。
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■新規事業を創出し、主査の立場でプロダクトオーナーに
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私がSE部門で主査の立場で仕事をしていた頃、
しなやかリーダー塾の受講者の皆さんに
取り組んでいただいていることと同じように
自社の財務諸表の分析をした結果、
「このままではマズイ!」
と、心底思った経験がありました。
前回のメルマガで触れたとおり、
私が中小企業診断士という資格試験の
勉強をしていた時のことです。
→課題解決フレームワークで当事者意識を醸成する
https://jinjibu.jp/spcl/hosoki/cl/detl/4268/
そこから、whyツリー・howツリーを10回以上展開する等して
自分なりに広く深く、自担当業務の課題分析や施策を検討した結果、
既に設定されていた所属組織やチームの目標、課題、
全てについて自分の中で腹落ちすることができました。
それと同時に自分がすべき行動の方向性がハッキリと見えました。
これまでの組織やチームの強みや経験を活かして、
早急に顧客企業の生産性向上につながるパッケージシステムを開発し、
新たな事業の柱を創出したいと考えました。
当時、私はSEとして多忙を極めていたこともあり、
“そんなに早く新規事業の創出ができるものなのか?”
と思いましたが、強い危機意識から
「どうしたらできるか」
に発想を転換して、周囲を巻き込み、既存業務と同時並行で
進めていける方法を考え出しました。
最終的には、事業部長の前で新たなパッケージシステム開発の
提案プレゼンを行い、組織の施策として実施の了承を得ることが
できました。
そこから約半年で、新規パッケージシステムを完成させ、
新たな事業として、組織全体で推進されることになりました。
私は、当時主査という立場で、管理職でもありませんでしたが、
その新パッケージシステムの
「プロダクトオーナー」に任命していただき、
新規事業を推進する裁量権をいただけたのです。
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■規制が厳しい組織でも可能性はゼロじゃない
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私が所属していた大企業は、社内のルールや制度が
しっかりと整備された素晴らしい組織でした。
それはつまり、管理が厳重で変則的な事象は
なかなか認められづらいという側面があったとも言えます。
しかし、私の経験則上、絶対に無理ということは
決してないのだ、と前述の経験からも確信しています。
例えば、私は新卒入社後、初期配属で決められたルートを
変更することは決してない、と言われた中で、
私は会社が後押しするような形で
希望のルートへ転向することができました。
その後、人材育成の重要性に気づき、人事に携わりたいと
願い出た際、上司からは
「ありえない。(ルール上)不可能だ」
と言われてもあきらめず、地道な活動を続けた結果、
上司の尽力もあって、SE部署の人材育成担当に配属され
現在の活動につながる貴重な経験をすることができました。
その他、さまざまな経験を通して、
自分の希望が100%叶えることは難しくとも、
より思い描く方向へ進むための可能性はゼロではないことを
厳重な制度が敷かれた大企業の中で学べたことは、
私にとって唯一無二の経験となりました。
もちろん、組織の一員としてルールを守ることは必須です。
そのルールを守った上で、当事者意識を持って行動すれば、
自分も、組織も、共に成長し高めていけるような道が
自然と拓けてくるということが、私の実体験から
感じているところです。
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■一人ひとりの当事者意識がD&Iにつながる
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技術系企業に特化したダイバーシティ経営の推進支援に
関わらせていただく中で、
「うちはこういう決まりなので難しいです」
と残念そうにおっしゃるダイバーシティ担当者の方も
いらっしゃいますが、本当に無理かどうかを今一度
一緒に考えてみませんか、と促すようにしています。
繰り返しにはなりますが、その再考のために
重要なことが、自分事として現状を捉えているか、
つまり「当事者意識を持っているかどうか」
であると私は考えています。
御相談をお寄せいただく企業担当者様の多くは
主体性を持って人材育成やダイバーシティ推進に
携わっている方がほとんどですが、冒頭でお伝え
したように、ただ自社のルールに当てはめて、
その枠組みの中で人材育成やダイバーシティ推進を
やっているという雰囲気が垣間見える方も
時折いらっしゃるという実態があります。
人材育成やダイバーシティ推進に取り組む際には、
その担当者自身が誰よりも当事者意識を持っていなければ
同じように強い想いを持って、組織改革に尽力するような
社員の方を見出すことは、ますます難しいものと
なってしまうかと思います。
会社の方針には従う必要がある、というのも
組織に属していれば当然です。
その中でも、自分自身がその方針を十分理解できるまで咀嚼し、
納得した上で施策検討・実行するというプロセスは
当事者意識を醸成する上でも欠かせないと私は考えています。
組織としての目指す姿は1つかもしれませんが、
そこに向かうやり方は
そこに関わる人の数だけあるものです。
だからこそ、特に人事部など人材育成やダイバーシティ推進に
携わっている方には、社員一人ひとりが当事者意識を持って
関わってもらえるよう、常に自分自身が意識する必要がある
のではないかと考えます。
人事部の方のそういった姿勢が、
社員一人ひとりが当事者意識を持つ意義を育み、
それぞれの取り組みが真のD&Iへと繋がって
これまで以上の会社成長をもたらしていくと
私は信じています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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