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なぜ部下は毎週月曜に休むのか~相手の視座で考える

先週はある技術系企業様の部長クラス皆様(20数名)とWeb面談(1on1ミーティング)を行っていました。

そこでほぼ全員の方が、部下の働き方に対する課題感を持っておられ、
頭を悩ませていらっしゃった姿が印象に残っています。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■月曜に必ず休む部下に頭を悩ませている
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

「週初めに、子どもの体調不良で必ず休む部下がいてとても困っています。
『奥さんは重要な仕事があるので休むのは自分しかいない』と言うので信用しているのですが、
決まって毎週月曜に子どもが風邪を引いたといって急な休みがこう何度も続くと、
疑いの目で見てしまう自分がいて・・辛いんです」

こう話す上司の方は、急遽休んだ部下の仕事については、
当初別の部下に回していたのですが、毎度仕事を回される部下からも

「なぜ自分ばかり対応するのか?」

と不満がたまってしまい、現在は上司である自分が業務を全て引き受けている状況だそうです。

他の上司の方においても、

  • テレワークが主流になってからコミュニケーションが取りづらい
  • メールの文面や画面越しの表情からは相手の状況や体調などまで把握しづらくて思うようにマネジメントできていない
  • 目が届かないせいか、仕事をしていない部下もいる気がする
  • 勤怠がルーズな部下を指導したいが、パワハラと言われるのも困る

といった課題感を抱えており、非常にストレスフルな状況にあることが伝わってきました。

私は部長クラスの方お一人おひとりとの面談を通して、
●視座を合わせること
への理解が必要とされているのではないか、と考えました。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■相手の視座に立って同じ景色を見るということ
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

「視座を合わせる」ということは、相手の視座から現状を見るということです。

視座を合わせることで、自分の立場からは見えなかった現状が見えてくるようになります。

すると、相手が現状をどのように感じているのか、
どのように受け止めているのかが理解できるようになり、
互いの現状を理解し合うことにつながって、それそれが
最善に近い対処方法を見出せるようになる
と考えています。

例えば、管理職の立場にある方は、
育児・介護などにより、時間に制約のある働き方をしている部下や
待遇に差がある社員(例:出向者とプロパー社員)の視座に立った上で
改めて現状を捉え、理解しようとする姿勢がとても大切だと考えます。

一方、部下の立場にある方は、経営視点で物事を捉える意識を
高めていくことが有効であると、私自身の経験からも痛感しています。

経営視点で捉えるということを、シンプルに実践するとすれば、

「自分が会社の社長だったらどうするか?」

と自身に問うことが1つ挙げられるかと思います。

“会社の社長”がピンと来ない場合は、“自分が上司だったら”
”自分がリーダーだったら”と考えていただくのも良いかもしれません。

ただし、経営視点を醸成するには基本的な知識や考え方を
学ぶ機会や、実際に自業務の課題を経営視点で解決するための
プロジェクトを実行するなど実体験・経験値を積むことが
真の経営視点を身につける上で重要であると私は考えています。

そのことから、私は次世代リーダー育成プロジェクトのプログラムの初回には、
必ず【財務諸表分析】に取り組んでいただき、
自分が会社から求められることを経営視点で捉え、
現状の課題感を肌で感じてもらえるような設計
を施しています。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■経営視点で考える~アントレプレナーシップ
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

私が大企業で働いてきたとき、副社長直轄プロジェクトに
抜擢されたことがありました。

副社長は、自分の思いを一緒に叶えてくれる人を
探していましたが、直属の部下は自部門の業務で忙しく
頼めそうにないと思っていました。

というのも、新プロジェクトの意義を理解し、契約スキームも
柔軟に考えて取り組んでくれるような人材と取り組まなければ、
関係者に迷惑をかけてしまうと副社長は考えていたからです。

その頃、中小企業診断士の勉強をしていた私は、
会社の視点(経営視点)で自業務を把握できるようになり、
特に上司から「細木さん、最近言ってる内容が変わってきたね」と
言われるようになっていました。

ひょんなことから副社長を紹介され、新プロジェクトの話を聞き、
当時の財務諸表を分析していたこともあって、こんな風に副社長へ
お伝えしたのを覚えています。

「弊社も新しい取り組みをしなければいけないと思っていました。
この取り組みはこれまでにない企業とのコラボレーションで
新技術も活用するし、社会的意義も十分アピールできそうですね。
私もとてもワクワクしてきました!」

これが、当時の副社長の視座から見た景色と
同じ景色を見ながら会話ができる人だと捉えていただき、
「あなただったら任せられる」
と言って、新プロジェクトの人材として抜擢していただいたのでした。

新プロジェクトでは普段仕事をしていたら出会うことのないような
人たちと出会うことができ、視座が上がり、視野も広がって、
自分にとってかけがえのない経験となったのは言うまでもありません。

行先不透明な時代と言われる今、一人ひとりに求められていることの
1つとしてあるのが、いわゆる「アントレプレナーシップを持つ」
ということになるのかもしれません。

---------------------------------
<アントレプレナーシップの定義>
イノベーションを生み出し、
それを企業活動へと適応・管理していく力

ピーター・ドラッカー(経営学者)
---------------------------------

アントレプレナーシップを互いに持つことで、
同じ視点・視座・視野から現状を把握し合うことが
可能となるのではないかと私は考えています。

その姿勢が、互いの違いや特性を受容する組織風土へと
繋がり、これまで以上にチーム成果を引き出すために
関わり合おうという意識が自然と醸成されて、
結果としてダイバーシティ&インクルージョンによる
イノベーションへと発展するのではないでしょうか。

もし、自社の中で部下の働き方に関する課題で悩んでいる
管理職・リーダーの方がいらっしゃいましたら、一度
相手の「視座」について考え振り返る機会を設けていただき、
さらに自身を含めた「アントレプレナーシップ」の醸成について
考えていただければと思います。

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • リーダーシップ
  • マネジメント

◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成

元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。

細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

細木聡子
対応エリア 全国
所在地 千代田区

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