未来につながる人材育成の2つのあり方
2018年から取り組み続けているダイバーシティ経営コンサルティングや
女性管理職育成の現場に携わり、昨年末で関わらせていただいた方はのべ2,000名超となりました。
実際に経営層や育成対象者と一緒に取り組みを進める中で
得られた成果や目標達成度合いを分析してみると、
一つの確信に辿り着きました。
それは、
「その人の“あり方”が、成果を最大化する」
ということです。
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■あり方によって受け取りに濃淡が出る
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"あり方”とは、それぞれが持つマインドのこと。
周囲から発信された情報は、受け取る側の姿勢によって
時にその意味合いまでも違ってくることは
多くの方がご経験されていることではないかと思います。
もちろん、コンサルや研修の場で情報を伝えるような
立場にある際には、より分かりやすく伝わりやすい
話し方のスキル向上や創意工夫の必要性は言うまでもなく、
その努力を怠ることは決してあってはなりません。
私は数年にわたってコンサルティングや研修の場で
教える側にいることが多いのですが、より会社成長に
直結する素晴らしい成果を出されている方を分析すると
意識レベルが「経営視点」に近いことが分かってきました。
特に、階層別の育成プロジェクトに関わると、育成対象者の
意識レベルは「経営視点」「チーム視点」「現場視点」
といったようにバラつきが見受けられることが多くあります。
そんな意識レベルの乖離が起こりやすい環境で
全体に向けて同じメッセージをお伝えしても
受け取りに濃淡が出てきてしまうのは、
もしかすると仕方のないことなのかもしれません。
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■組織内における意識のバラつきと向き合う
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もし、意識レベルにバラつきがあることを把握しないまま
人材育成施策に取り組んでしまったとしたら、
期待する効果や成果を十分に引き出すことが
できなくなることは容易に想像がつくかと思います。
とはいえ、意識レベルは「経営視点で考えましょう」と
お伝えすることで上がるものではなく、
まずは自分で気づきを得なければ、本当の意味で
意識レベルを向上させることにはつながっていかないことを
私は多くの技術系企業の人材育成に関わらせて
いただいてきたことで実感しています。
だからこそ、一人一人の意識レベルがどこにあるかを
実態として把握するための事前確認をした上で、もし
意識レベルの乖離が目立つ場合には、
まずマインド醸成として気づきをもたらす施策に
取り組むことを提案しています。
具体的な取り組み例を挙げると、1on1ミーティング
(D&Iや人材育成サポートをする私との個別面談)の実施です。
現場社員と向き合って話す機会を通して、
実際の現場で何が起きているのか、またそれを
どのように受け止めて、どういう考えで業務に取り組んでいるのか
といった、社員一人一人の状況をヒアリングして把握した
現場の実態と課題感を人事担当者へフィードバックし、
真に求められる施策立案につなげていただけるよう
アシストしています。
この取り組みを経て育成対象者層の意識レベルが
合ってきた頃合いを見計らって、スキル育成施策を実行すると
効果的かつ効率的な人材育成につながっていくことが多く、
実際に想像を超える成果を手にした社員と、
その成果を目の当たりにした人事担当者の双方が
大きな手応えを感じてくださっています。
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■未来につながる人材育成の2つのあり方
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多様性の時代である今、
未来につながる人材育成のあり方として重要なことは、
「チャレンジする」
「相手の力を引き出す」
この2つであると私は考えています。
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<チャレンジする>
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現状維持の意識では、これまで以上の成長はおろか、
衰退の危機を招いてしまうかもしれないことは
多くの方がご存知だと思います。
私は普段の日常から「チャレンジすること」への
意識を持ってもらいやすくするため、
人材育成の取り組みの中でスキルやマインド醸成に
「業務改善」という"現場実践”を必ず
取り入れるようにしています。
管理職・リーダー的立場になれば、
日常的に業務改善に取り組むのが当たり前です。
さらにそこから得られる成果は
●組織に変革をもたらすレベル
を求められるようになりますので、
新入社員の時から業務改善意識を常に持ち、
失敗しながらPDCAを繰り返す(=チャレンジする)ことが、
業務の中で自分なりの成功体験を重ね、
継続的な自己成長へとつながっていくと考えています。
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<相手の力を引き出す>
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自分で自覚している弱みを他人から指摘されて
改善するよう諭された時、その意見が正論であればあるほど、
「自分でも分かってるから!」と受け止めにくく
感じてしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
相手の力を引き出し、さらに成長していくために
最も効果的なことの1つが「自分で気づく」ということだと
私は思っています。
自ら気づきを得て、自律的に課題意識を持って
問題に対峙していこうとしなければ、
自分や周囲が期待するような、
本質的な課題克服や、そこから得られる成長には
つながりづらいかもしれません。
人材育成の場で私が意識していることの中に、
「相手に気づきを促す関わりをする」
ということがあります。
私が相手の気づきを促す関わりとして
よく使うのが「事例で伝える」ということです。
例えば、アドバイスだと上から目線で言われていると
相手に受け取られてしまう可能性も少なくありませんが、
私の経験則上の、事例で伝えることで、
「自分の状況によく似ているから、参考にしてみよう」
と相手は自分の状況に照らし合わせて
話を聞くことに繋がりやすいことが分かっています。
しかし、これはあくまで私が試行錯誤しながら、
時に失敗をしながら築き上げてきた自分スタイルです。
もちろん、人によっては直接的な伝え方によって
部下を一気に成長させる手法が有効な場合があると思います。
多様な時代、管理職やリーダーのマネジメントスタイルは
100人いれば100通りあります。
最もパフォーマンスが上がる自分スタイルを、自分の手で見つけ出し、
その力を組織で働く一人一人の力を最大限引き出すために活かしていくことが、
人材育成に携わる人の役目であると私は確信しています。
***
会社を取り巻く環境は刻一刻と変化していますので、
新しい視点を取り入れて、新しいスタイル確立のため
チャレンジしていく姿勢は、今後ますます求められるかもしれません。
特に、人材育成する立場にある方は、
「チャレンジ」「力を引き出す」の2つのあり方を
率先して体現していく役割を担っているかと思いますので、
ぜひこの機会に"未来につながる人材育成のあり方”について
振り返っていただければと願っています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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