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1on1の現場から:忙しすぎて時間が取れない#4

1on1という言葉がまだ市民権を得ていなかった8年前。1on1導入の必要性を説きながら多くの企業のコンサルティングに携わってきました。

 

現在、大手企業では当たり前のように1on1が実施され、1on1の研修や、運用の専用システムも世の中にでてくるようになりました。

 

中小~万単位の大企業まで、多くの企業での1on1導入を支援してきた経験から、実際に現場で1on1を実施する上長、される側のメンバー、導入・定着化を担当する推進者の方たちが感じている疑問・課題について、お答えしたいと思います。

 

弊社の導入・定着化支援の考え方は、アジャイルHR代表の松丘啓司の1on1における考え方を基本としています。詳細は「1on1マネジメント」をぜひ手に取ってみてください。

 

「Q. 仕事が忙しすぎて、1on1の時間を取ることができません~経営層の巻き込みが成功の一番の「鍵」となる」

 

上長側が忙しくて1on1を見送りされているケースについて、過去3回のコラムで解説してまいりました。今回は最後の「4」について考えていきましょう。

 

1. 1名の上司が担当するメンバーは何名いるのか?
2. 1on1の頻度や時間等はどのくらいを基準にしているのか?
3. 日程の決め方はどのようにしているのか?
4. 経営層は1on1に対してどのくらい重要性を感じているのか?


これまでのコラムでは、現場の上長やメンバーが抱える具体的な悩みや、運用上の工夫についてお伝えしてきました。

 

それらの現場における取組はもちろん重要ですが、1on1を形骸化させず、組織文化として根付かせるためには、今回解説する「経営層の関与」こそが、一番重要な鍵となります。

 

「仕事が忙しくて時間が取れない」という現場の声に対し、推進者がどれだけ運用ルールを工夫しても、限界に突き当たることがあります 。

 

その背景には、経営層が1on1を「人事が始めた管理施策の一つ」程度にしか捉えていない、という課題が隠れていることが少なくありません。皆さんの会社の経営層はどれだけ「1on1」を重要な施策として捉えているでしょうか?

 

また、もしトップや経営層から「1on1」を導入したいという話があったとしても、経営層が他社もやっているから導入してみようといった、1on1の本質を理解しないで導入を指示した場合は、同じく定着化や効果を出すことは難しいのが現実です。

 

そのような場合はどのように経営層を巻き込んでいけばよいのでしょうか?

 


1on1は「投資」であるという共通認識を持つ

多くの経営者は「数字」や「スピード」を重視します。そのため、直接的な利益を生まないように見える1on1の時間は、コスト(損失)として映ってしまう場合があります。しかし、1on1の本来の目的は、メンバーの成長を促し、組織のパフォーマンスを最大化することにあります 。

 

  • 経験学習サイクルを回すことで、社員のスキルアップのスピードが上がる 
  • 「内の軸」を理解し強みを活かすことで、エンゲージメントと生産性が向上する 
  • 心理的安全性が高まることで、離職防止やイノベーションの土壌ができる 

 

これらはすべて、中長期的な企業の競争力に直結する「投資」です。

推進者として、1on1を単なる「コミュニケーション施策」ではなく、「経営戦略を実現するための人材開発インフラ」として再定義し、経営層に働きかけ、理解を得る必要があります。

 


経営層自らが「実践者」になる

次に、現場の上長に「1on1を優先してください」と説得力を持って伝えるには、経営層自らが1on1を実施していることが何よりのメッセージになります 。

 

社長が役員と、役員が部長と、真摯に1on1を行っている組織では、「1on1は重要な業務である」という暗黙の了解が自然と形成されます。逆に、経営層が「自分たちは忙しいから免除」という姿勢を見せてしまうと、現場の形骸化は一気に加速します。

 

「役員は免除」「部長以下の社員を対象とする」といったルールを定めている企業も多くみられますが、むしろ導入の際には、「まずは経営層から」開始する方が、効果が高い場合があります。

 


成功事例を「経営の言葉」で報告する

そうはいっても、なかなか経営層へ直接的に「1on1へもっと関与してください」とは言いにくいのが現実です。その場合は、1on1のアンケートを実施してその結果を見せるのも有効ですが、こまめなヒアリングなども実施し、現場で起きた「小さな変化」を定量的・定性的に収集し、報告することをお勧めします。

 

例えば

「1on1を通じて、若手のAさんが自ら改善案を提案するようになった(主体性の向上)」 

「不満を抱えていたBさんが、上司との対話で本来の願いに気づき、前向きに業務に取り組んでいる(離職リスクの低減)」 

こうした事例を、経営課題(生産性、離職率、次世代リーダー育成など)と結びつけて発信することで、経営層にも1on1が重要な取組みであることを理解してもらう道筋を作ることが可能となります。

 

1on1の成功は現場だけではなく、「経営層」がどれだけコミットしたかに大きく左右されます。経営側、現場側、どちらか一方に偏らず、社内を上手く巻き込んでいくことが、定着化の推進につながります。

 

 

以上、全15回にわたり、1on1の導入・定着化における「一丁目一番地」の問いから、具体的な運用ルール、そして組織全体での向き合い方までをお伝えしてきました。

 

1on1に「正解」はありません 。しかし、目の前のメンバーが「主役」であるという意識を持ち 、対話を継続していくことで、必ず組織は変わり始めます。

 

本連載が、皆さんの組織で「仕事って楽しい」と思える人を一人でも増やすきっかけになれば幸いです。

 

推進に悩んだ時にはちょっとした他社事例を聞いたり、外部の力を借りると、思わぬ突破口が開けることもあります。ぜひお気軽にご相談ください!

 

このコラムを書いたプロフェッショナル

井上弘絵

井上弘絵
株式会社アジャイルHR マネジャー

支援が完了しても、お客様が自走できるように、「伴走型支援」を心がけています。対話を通じて、お客様の「軸」や「大切にしたいこと」を理解し、目指したい姿を共に実現します。

支援が完了しても、お客様が自走できるように、「伴走型支援」を心がけています。対話を通じて、お客様の「軸」や「大切にしたいこと」を理解し、目指したい姿を共に実現します。

得意分野 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、キャリア開発、チームビルディング、コミュニケーション
対応エリア 全国
所在地 港区

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