仕事の属人化と承認欲求
【はじめに】
最近、人事システムの導入を検討するお客様が増加しています。導入を検討する際に解決すべき課題としてよく耳にする課題の一つに「人事業務の属人化」があります。 「属人化」と聞くと悪い印象だけを持たれがちですが、「属人化」の中には良いものもあります。さらには、「属人化」が発生する原因も複数あり、環境だけでなく人間の欲求の一つである承認欲求とも関係しています。今回は人事業務における「属人化」と、属人化した業務を持った社員の承認欲求に焦点を当てていきます。
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【人事においての属人化とは】
業務は主に「定型業務」と「付加価値業務」の二つに分類可能です。
「定型業務」は主に以下の性質があります。
・業務性質は「判断」と「処理」
・標準作業が存在し、標準作業×時間数×人数によって生産量が決まる業務
・業務のプロセス化やルール化が可能な業務
「定型業務」に対し、「付加価値業務」は以下の性質があります。
・業務性質は「創造性」と「具体化」
・対象業務に充てる時間数が生産量に比例しない業務
・業務のプロセス化やルール化ができない業務
上記に基づき、仕事における属人化も「良い属人化」と「悪い属人化」の二種類あります。
・「良い属人化」=「付加価値業務」だけが属人化となっている場合
・「悪い属人化」=「定型業務」が属人化となっている場合
以上2つのうち企業として解消すべきは「悪い属人化」になります。何故なら、属人化がもたらすブラックボックス化により、業務に対する確認作業が機能しなくなります。それにより間違いを見落としてしまい、企業に悪影響を及ぼす危険性があるからです。本来、定型業務はルール化やプロセス化ができ、引継ぎも容易にできる業務です。しかし、その業務を一人で抱え込んでしまうために、引継ぎが困難になり想像以上の教育コストも発生します。従って、「悪い属人化」は企業として解消すべき課題になります。
人事業務であれば以下のような業務が定型業務となります。
・給与計算業務
・社会保険手続き
・各種申請書の処理業務...等
上記の人事業務が属人化されると、企業としての信用リスク・金銭的リスク・人的リスクを抱える事になります。しかし、「悪い属人化」を簡単には解消できていない企業が多いというのが現状です。その理由の一つとして次項では、属人化と承認欲求の関係性について話を移します。
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【属人化と承認欲求の関係性、それによっての既得権益】
承認欲求とはマズローの欲求段階説で提唱されている第四階層目「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という欲求であり、全ての人間に備わる欲求の1つとして数えられています。
承認欲求は仕事においても発生します。例えば、仕事において優秀な成績を収めた従業員は周りから称賛され、「自分のことを認めてもらえている」という満足感を得ます。そして、称賛されている姿を見た周りの従業員も「次は頑張ろう」という考えに至り、仕事を頑張る為のモチベーションに繋がっていくのです。
承認欲求が満たされ、人的リソースが少ない場合に特に人事業務の属人化は発生します。さらには、この属人化が「悪い属人化」の場合、企業は解消に向けて動きます。しかし、人事が「悪い属人化」と理解していても解消出来ない理由として以下の二つがあります。
・企業が人事部にコストを掛けない
・自分の立場・役割を守ろうとする
二つ目の理由で述べている事が悪化すると既得権益を維持しようとします。既得権益を持った社員は自分の価値が下がる可能性が大きい属人化の解消施策に強く反対します。さらには、ベテラン社員ともなると役職者の方も多いです。その社員の反対により、「悪い属人化」の解消が進められない場合があります。
しかし、焦って急激に属人化の解消を強行すると、社員のモチベーション低下が起こり、離職の可能性が高まります。したがって、「悪い属人化」に対しても適切な付き合い方が必要となります。例えば、社員の承認欲求を満たしながらも「悪い属人化」の解消を実施出来る施策の一つに『評価制度の見直し』があります。評価制度を利用する方法では、以下のような観点で社員を評価していくと「悪い属人化」の解消に向けて加速しながらも社員の承認欲求を満たす事が出来ます。
・人事業務の洗い出し
・人事業務マニュアル作成
・部下の育成
このように評価の軸を変える事により、自分しかできない業務を周りの人にも出来るように行動する価値観に変えていくことが、業務の属人化を解消する為に有効な手段と言えます。
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人事業務における「悪い属人化」の解消はもちろん大切ではありますが、属人化が起こる背景とその原因にも焦点を当ててみると様々な解決策が生まれるでしょう。
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