外国人目線から見た日本の外国人社員のマネジメント(上)
文化の差は本当に存在しているか
最近、外国人社員をマネジメントすることが、企業の経営課題としてよく取り上げられています。
「外国人社員」という言葉をインターネットで検索すると、「外国人社員のトラブル」は、かなり上位に出てきます。いくつかの事例を読むと、「外国人社員は日本の文化に溶け込みにくい」や「日本語のニュアンスは外国人社員に伝わらない」等の内容が多いことから、企業の現場管理者にとって、外国人社員のマネジメントは大変だと感じられていることが伝わってきます。
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世の中では、外国人社員は日本人社員とは異なることを理解し、慎重に対応しなければならないという考え方が多いように思います。しかし、現場管理者にとって、外国人社員のマネジメントの大変さの根源にある「文化の差」は本当に存在しているのでしょうか。また、「文化の差」はどのくらい外国人社員の考え方、行動に影響しているのでしょうか。私は、日本企業で働いている外国人社員のひとりとして、以下3つの観点を持っています。
➀ 文化の差が存在しているものの、個人としての性格差の方がはるかに大きい
インターネットの普及に伴い、若者が見ている映画や、聞いている音楽、好きなファッションには共通する部分が多くあります。したがって現在の「知的環境」としての若者のバックグランドは、徐々に似通っていく傾向があると考えられます。
しかし、「知的環境」がいかに変化し共通化しても、個人差の存在は変わらないと思われます。人の成長に一番影響するのは家族だと思います。同じ国であっても経済条件や親の考え方などによって、考え方はそれぞれ異なります。そのため、育てられた子供の世界観や習慣も異なってきます。このことを忘れ、安易に出身国の一般論で判断すると、一部の特徴を全体に拡張してしまい、個々のコミュニケーションがうまくいかなくなる可能性があります。結果として長期的に、外国人社員が疎外感を感じることに繋がり、より外国人社員が企業に溶け込みにくくなります。
同じ出身国であっても、一緒にせず、個々人にフォーカスを当て、個人ベースのコミュニケーションを取ることは非常に大切になると考えます。
➁ 文化の差が存在しているものの、社会発展段階の差の方が大きい
外国人の行動傾向に関する調査はたくさんあります。特徴的な例として、「外国人社員は日本人より上昇志向が強い」という調査結果があります。具体的には、「仕事を通して得たいものは何か」という質問に対して、「中国人」は「自分の成長を実感する」および「企業のなかで高い地位につく」という2項目は他の国より高い傾向があります。これは、近年の中国経済の高度成長が背景にあると考えます。かつての高度成長期の日本でも、実は同様に上昇志向は今より強かったのではないでしょうか。
このような推察から考えれば、中国経済の高速成長が終わった後、中国人社員の昇進意欲や上昇志向が弱くなり、安定志向が強くなるかもしれません。つまり、文化の差として取り上げているものは、時代・世代によって変化して行くものです。特に、中国のような発展途上国は、経済成長や社会変化が激しいため、社会の変化に応じ、その国の人々の考え方・行動も随時変わっていきます。「文化の差」を固定的な特徴として捉えず、外国人社員の意識変化に気付くことは大事であると考えます。
➂ 文化の差が存在しているものの、言語問題を文化の差として捉えることが多い
日本語がかなり上達している外国人社員でも、言語問題で誤解を招く可能性があります。特に、感情を表す感動詞(あっ、うーん、ええ等)です。感動詞は単語ではないため、使う人は意識せず母国語のまま話して理解していることが多いです。例えば、日本語で「は?」と言ったら、強く疑う意味があります。中国語で似たような発音の「あ?」という感動詞があります。単純に聞こえなかった時に使います。それ故に、私はよく「気が強い」と思われます。たった一つの感動詞を発することでさえ、感情のずれを招く可能性があります。したがって、外国人社員がクッション言葉、尊敬語、謙譲語などをまだ使いこなしていないことによって、自分の言いたいこと・感情・ニュアンスなどを適切に伝えきれていない(あるいは受け手が理解していない)ことが多く発生してしまうのです。
したがって外国人社員とのコミュニケーションは、言語だけで判断せず、フェース・トゥ・フェースでジェスチャーや表情を見て、コミュニケーションを取ることが重要です。言語表現が異なっても、人間の感情は共通のため、言語によるずれはきっと時間で解消していくでしょう。
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わたしは当社唯一の外国人社員です。相手の意味をちゃんと理解していないことや、自分の言いたいことが伝わらなかったと感じるときは、もちろんあります。しかし、その際、一番大切なことは、「文化の差があるから仕方がない」という考え方を絶対しないことだと考えています。その理由は、「文化的な差があるから仕方がない」と考えると、お互いに理解しようとする努力を諦めてしまうからです。現場管理者も外国人社員も、「コミュニケーションは大変」と感じるとき、一回立ち止まって、これは本当に文化の差なのか、考えてほしいと思います。この意識が、社内コミュニケーションの第一歩になると思います。
組織開発コンサルティング事業部
鄧 辰
- 経営戦略・経営管理
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私たちは成果創出に寄与する活性化施策を提供することを通して、躍動感溢れる未来を創造していきます。
株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
株式会社日本アウトソーシングセンター 代表取締役社長
大野順也(オオノジュンヤ) 株式会社アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
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