変化=「自分で気づく」&「他人に気づかされる」
ここ数年、景気が右肩上がりになってきた影響で、研修の依頼が増えてきていますが、夏を迎える頃から、管理職向けの研修の相談を受ける機会が多くなってきます。
4月に役職が変わり新しく管理職になった方のスキルアップの検討や、又、新入社員の受け入れも落ち着いてくる時期だからかもしれません。
ご相談いただく方の大半が人事部や経営層の方になりますが、
「受け身姿勢の社員が多く、管理職になってもどうしても主体的にチームを引っぱっていけない人が多いんですよ...」
「上司や部下の顔色ばかり窺って 伝えるべきことを伝えられない管理職が多くて...」
「管理職として、自分の成果よりもチームの成果をもっと考えて欲しいんですよ。」
というお話を伺います。
このような事例は業界問わず良く耳にする内容です。
お話を受けてから、さらに具体的に、そして詳細にヒアリングをしていき、「研修」という形で何を学び、「研修」後にどのような変化(=効果)を期待するのか等を確認して、「研修」の具体的な内容が決まっていきます。
ここまで進むと、ご相談して下さった担当者の方も様々な期待をしていますし、もちろん、我々もその期待に応えるべく最大限の努力をするのは言うまでもありません。
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しかしながら、こちら側の期待とは裏腹に、人はそう簡単に変われるものではありません。自分がこれまで経験してきた事柄、認識してきたこと、また性格的なことも含め、自分を形成している"自己概念"が、自分の変化を妨げようとしてしまいます。特に、経験年数が長い方、成功体験が豊富な方、知識が豊富な方は、変化そのものを受け入れないようにする傾向が見受けられます。
さらに、変化を押し付けられれば押し付けられる程、反発が強くなり聞く耳すら持たなくなる人もいます。ここまで顕著ではなくとも、実は誰もが少なからず、この"自己概念"という枠に捉われているのは間違いないと思います。
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では、どうしたら良いのでしょうか?
‐ 自分で気づく ‐
まずは、本人自身が自分の自己概念と向き合う気持ちを持つようにしなければなりません。
例えば、本人特性を見るサーベイを実施し、客観的なデータとして自分自身を見つめてみるのも一つの方法かもしれません。自分で思っている特性と、データから出てくる特性を見比べてみて、何かギャップがあるようであれば、それが新たな気づきにつながり、自己概念と向き合うことが可能になるでしょう。
‐ 他人に気づかされる ‐
別の方法としては、やはり誰かに気づかせてもらうという方法が考えられます。
しかし、先に述べたように変化を強要されると人は反発するものです。つまり、反発されないようにすることを考えなければいけないのですが、そこで重要になるのは気づきを促す人が誰か、ということです。
最初に望ましいと考えられる人は、対象者が尊敬の念を持っている(持てる)人です。自分を育ててくれた方や、あまり接点がなくとも一目置かれた存在の方であれば、影響力を持っているので、客観的に聴く耳を持ちやすくなります。
また、外部のキャリアコンサルタントやコーチングのプロの方の力を借りる方法もありますが、このケースは自主的に会うという意思で動かなければ、変化を受け入れることは難しいでしょう。
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私たちのような研修の講師ももちろん対象になります。研修は、参加者の意図とは関係なく設定されることが大半なため、そもそも"やらされ感"満載で参加する方も少なくありません。よって、研修参加前から自己概念で強く自分を擁護してしまう傾向があります。ここで研修講師は参加者と向き合って一目置かれる存在として立たなければ、変化を促すことはできません。いくつかのポイントはあるのですが、私が気を付けていることは、『誠実な対応』と『正しいフィードバック』をするということです。
研修講師も人間です。できることなら参加者から認められたい、参加者から嫌われたくない等と、どこかで考えるものです。しかし、これが間違った方向に行くと必要以上に褒め称えたり、迎合したり、間違った点を指摘しなくなってしまいます。これでは表面的な取り繕いになってしまい、本質的な変化には全く至りません。当然、変化(=効果)という期待にも応えたことにもなりません。
私たち講師の役割は、顧客の期待(=まずは、参加者が自分自身と向き合い変化を受け入れるような姿勢を作ること)に応えることにあります。『誠実に対応』し『正しいフィードバック』を行うと、自然と参加者の方も自分と向き合う姿勢や受けいれる気持ちが芽生えます。講師としての役割をはき違えることなく研修をしなければなりません。
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余談になりますが、研修の最後に担当者の方や参加者の上司の方に、コメントをいただくことがあるのですが、『望ましくないフィードバック(迎合や、必要以上な称賛、正すべきポイントの見て見ぬふり、等)』が散見されます。これでは、社内で一目置かれた存在にはなれないでしょう。
研修で参加者に変化を期待する前に、担当者やその上司の方がまず己に気づき、変化を受け入れないといけないのかもしれません。
人材開発コンサルティング事業部
大石英徳
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株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
株式会社日本アウトソーシングセンター 代表取締役社長
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