「話の脱線」を防ぐために必要な会議の準備
当社のファシリテーション研修では、受講生の皆さんに「会議で困った場面は何か」を聞いています。様々な「困った場面」がある中で必ず上位に出てくる問題、それが「話が脱線すること」です。
議題と関係ない話を延々と話したり、今必要ではない部分で議論が白熱したり。ファシリテーターならずとも、会議に参加する方なら一度は経験されていると思います。
では、なぜ会議は脱線をしていくのでしょうか。
ファシリテーター側としては、以下の2点がポイントになります。
①会議前の準備が十分でない
②会議中の立ち回りが十分でない
今回は①、会議を脱線させないためにはどんな準備が必要であるかについて触れたいと思います。
何のための会議なのか、この会議でどこまで行くのか
会議には、当然ながら「集まる理由」があります。皆で問題解決のプロセスを検討する、アクションを決めて承認を取る、プロジェクトの進捗状況を報告する、などなど、会議の数だけ理由がある。この「集まる理由」が会議の「目的」にあたります。会議の方向性を定める、大切な要素です。
また、会議には「集まる理由」だけでなくゴールの姿、つまり会議の「目標」もあわせて必要であることを忘れてはいけません。会議終了時にどのような姿になっているか、その具体的な状態です。
ファシリテーターはこの目的と目標をもとに会議全体をデザインし、議論の順番をどうするのか、それぞれの議題にどのくらいの時間をかけるのかといった会議のデザイン、つまり会議の「手順」を決めていきます。
では、この目的と目標、そして会議のデザイン(手順)が参加者に理解されていなかったらどうなるでしょうか。
参加者は「今、何を話すべきなのか」「どのタイミングで自分の意見を出したらいいのか」を判断することが難しくなります。言いたいことがあったら、その場で思いついたことをとりあえず口に出しておかざるを得ません。これが、議論を脱線させる原因の一つになります。
ファシリテーターは会議の事前準備として、会議の目的・目標・手順を明確にし、それを参加者に共有して理解してもらう必要があるのです。
このとき、特に注目をするべきは「目標(会議のゴールの姿)」です。
皆様も最近参加した会議の目的・目標・手順を書き出してみてください。思ったより目的/目標を書き分けられない方がいらっしゃるのではないでしょうか。
準備にかける時間が、結果的に会議の時間を短縮させる
ところが、実際の会議で目的・目標・手順を事前にきちんと共有できているケースは、実はそう多くないのではないかと思います。なぜなら、「会議の準備は結構大変」だからです。
会議の準備には、資料の作成をはじめいろいろと時間がかかります。この会議以外にも仕事を抱えていることでしょう。準備をする暇もなく、会議に行かなければならないという場合もあります。
こんな風に、ファシリテーターが十分な準備ができずに会議が始まったら。
参加者への事前のケアが少なくなり、参加者のベクトルが揃わないまま、あるいはファシリテーターにも会議のゴールが見えないまま会議が始まってしまうことがあるのではないでしょうか。
こんなときに限って議論は混乱し、ファシリテーターの頭も混乱いていきます。そして、結局何も決まらないまま次回へ持ち越しになる。
正直なところ、私もそんな経験は少なくありません。
会議の目的や目標、手順を事前に決め、意識的に共有しておく。最低限の準備として、ここまでやってから会議に臨むことをお勧めします。
例えば私がファシリテーターとして会議に関わる場合は、リマインドで参加者に事前にメールを送ることにしています。
その中に目的・目標・手順を明示して、参加者の意識に残るようにしています。
さらに、リマインドのメールだけでなく会議冒頭にも目的・目標・手順の説明を行い、ホワイトボードに書き出しておきます。
こうすることで、議論が脱線しそうになった時に「今はこの話でしたよね?」と方向修正をするきっかけができるのです。
会議の準備は、慣れればそう長い時間を取らずに対応できるようになります。
少し面倒でも、準備にひと手間かけることで話の脱線による混乱を減らし、結果的に会議の時間を短縮することに繋がります。
【今回のポイント】
会議の「目的・目標・手順」を事前に共有して、脱線を防ぐ
- モチベーション・組織活性化
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
- コミュニケーション
- ロジカルシンキング・課題解決
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早稲田大学アカデミックソリューションは、早稲田大学の関連会社として、組織の課題に合わせたカリキュラム編成と実践力を養う体験型学習を通じて、複雑で困難な時代に対応する「しなやかな人材・チームづくり」を支援します。
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