選ばれるインターンシップとは?(後編)

インターンシップとは、学生が在学中に自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うことです。
近年は学生のインターンシップ参加率も高く、企業にとっても採用活動において重要なものとなりつつあります。
前編では、インターンシップの最新動向や現状の問題点をご紹介しました。
後編の本記事では、国によるインターンシップの4類型のポイントと実際に企業がインターンシップを実施する上で重視すべき点について、事例を交えながら解説します。
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前編目次
ーインターンシップとは
ーインターンシップのメリット
・学生にとってのメリット
・受け入れ企業にとってのメリット
ーインターンシップへの参加・受け入れの現状
ーインターンシップの問題点
後編目次
ーインターンシップを採用に活用する方法
・4種類のインターンシップ
・インターンシップで得た情報の活用方法と課題
ー企業のインターンシップ受け入れ事例
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インターンシップを採用に活用する方法
4種類のインターンシップ
インターンシップに関する問題を受け、文部科学省、厚生労働省、経済産業省は3省合意のもと、2022年6月に「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を改正しました。その結果、インターンシップは4つに類型化されています。(2023年度以降から適用)。
大きくわけると、就業体験を必須とせずに「インターンシップ」とは称さないタイプと、就業体験を必須として「インターンシップ」と称して実施するタイプがあります。
この考え方によると、単なる企業説明会はタイプ1「オープン・カンパニー」に分類され、インターンシップとは呼べません。
参考:令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります 厚生労働省
1.オープンカンパニー
オープンキャンパスの企業版で企業による会社説明会が該当します。事業、業務内容の説明、従業員への質問会等を実施し、就業体験はありません。目的は個社の情報提供です。
2.キャリア教育
企業がCSRの一環で行う学生向けの教育プログラムが該当します。座学や研修のほか、グループワークや発表会等、学生が主体的に参加するものもありますが、必ずしも業務に直結するものでなくても構いません。
3.汎用的能力・専門活用型インターンシップ
学生の適性、汎用的能力、専門性を見極めるために実施する就業体験です。業務同行や実務を体験できるグループワーク等である必要があり、就業体験終了後に現場の従業員から学生に対してフィードバックをすることも必須です。
4.高度専門型インターンシップ
大学院の博士過程(理系対象)、修士過程(主に文系対象)の学生を対象にした研究型の就業体験で、より実際の業務に近い長期の就業体験です。企業は事前にジョブディスクリプションを提示することが求められます。
※現在試行段階であり、要件の詳細は試行終了後に決定されます
企業のインターンシップ受け入れ事例
では実際企業で行われているインターンシップはどのようなものでしょうか。ここでは株式会社Works Human Intelligenceと株式会社日立製作所のインターンシップを取り上げて、その特徴を解説します。
1.株式会社Works Human Intelligence

Works Human Intelligence(以下WHI)のインターンシップでは採用直結型であることをオープンにしています。
エンジニアとして入社したい方のためのエンジニアコースと、入社後に適性を判断したうえで配属を決定するキャリアコースがあり、エンジニアコースは経験者はもちろん、未経験でもチャレンジ可能なコースです。
WHIのインターンシップはキャリアセミナー、1st Stage、2nd Stageと合わせて5日行われます
▼実施内容
<1st Stage>
組織力学の観点から企業の課題解決に向けた戦略をグループで提案
<2nd Stage>
課題を解決するためのソリューション企画を行い、開発に携わる現場の従業員が学生に対してフィードバックを実施
また、WHIのインターンシップは、自社で掲げるバリュー(7Values)に基づいて学生の能力を総合的に評価しています。たとえば、バリューの1つであるSolveでは「本質を追求し、問題を解決する」という能力を見極めています。
1st Stage、2nd Stageともに実際にWHIで働いていると起こり得るようなシチュエーションが想定されており、実際の業務に近い提案やソリューションの企画体験が可能です。
※本記事に掲載しているインターンシップは2022年時点のものです。最新のインターンシップ情報については別途ご確認ください。
1st Stageで選考をクリアした学生だけが、2nd Stageに進めるしくみで、インターンシップに合格した学生は、その時点で内々定を獲得できます。
2.株式会社日立製作所
日立製作所ではジョブ型人事制度の導入が進んでおり、新卒採用でもジョブ型採用を進めています。同様に、インターンシップにおいても職務、部署ごとに就業体験を行う「ジョブ型インターンシップ」を実施しており、体験する業務や必要なスキルはあらかじめジョブディスクリプションによって公開されています。
日立製作所のジョブ型インターンシップは、職務別に就業体験を行い業務の理解を深めてもらうしくみで、技術系だけでなく、事務系職種でも行われています。期間は約3週間と長期にわたり、リアルな業務体験が可能です。
NHKの取材*に対し、日立製作所の人事勤労本部、大久保健一郎部長代理は「職種で仕事を選びたい学生が増えている。やりたいことが明確に決まっている場合は、モチベーションも高く、ミスマッチのない配属ができ、その後の活躍も期待できる」と話しています。
インターンシップは学生に入社してもらうことがまず第一の目的ですが、最終的な目標は入社後も学生がギャップを感じることなく、その企業で活躍し、働き続けることです。そのためにはリアルな現場をいかに見せるか、体験できるかがインターンシップを作るうえでの重要なポイントとなるでしょう。
*「ジョブ型」採用が拡大 インターンシップにも導入の動き NHKニュースウェブ(2022年9月)より抜粋
学生に選ばれるインターンシップを実施するために
インターンシップの重要性は今後ますます高まっていくと想定され、多くの企業が工夫を凝らして、様々なインターンシップを実施しています。
そのような中、学生に選ばれるインターンシップの条件として、実際の業務に近いリアルな就業体験が求められています。
自社のよいところだけを見せようとするのではなく、自社の仕事の大変な部分も含めて、リアルな現場を学生に伝えられるかどうかがインターンシップを実施するうえでの鍵となるでしょう。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- 人事考課・目標管理
- キャリア開発
- マネジメント
WHI総研
政府系金融機関にて財務分析や融資相談、調査会社にて市場調査・企業誘致調査を行い、様々な企業を見てきた経験を活かし、Works Human Intelligenceにて経営者と従業員、双方の視点から人事課題を解決する研究活動を行っている。
井上 翔平(イノウエ ショウヘイ) 株式会社Works Human Intelligence / WHI総研

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