戦略人事に欠かせない未来指向のChatGPTプロンプト
戦略人事を機能させるためには、人事部門にも戦略立案プロセスへの理解が欠かせない。その際、時間軸を3-5年として将来の人材育成動向を予測する必要がある。この参考になる米国の人事業界識者の視点をChatGPTで調査する方法を解説する
●戦略人事に必要なクロスSWOT分析
「人事部門も、戦略立案プロセスを理解すべし!」。これが戦略人事を機能させるポイントであることは前回のコラムでお伝えしたとおりです。そして、そのための具体的な方法論としてクロスSWOT分析も紹介しました。
https://jinjibu.jp/spcl/symmetry/cl/detl/6410/
ところが。
実際に自社にあてはめてクロスSWOT分析を行うと、意外と難しいことに気づきます。とくに、機会と脅威のところ。テーマは戦略ですから、今現在「目に見えているもの」を並べるだけでは不十分です。むしろ、時間軸を3-5年とり、「将来起こりえるであろうシナリオ」を考える必要があり、ここに難しさを感じる人が多いものです。
でも、ご心配なく。実はこれを乗り越える簡単な方法があって、それがアメリカの人事動向を見ること。最近流行の1 on 1にしてもエンゲージメントにしても、米国発の人材マネジメント慣行であるのはご存じのとおり。ましてや今日本においてもジョブ型の人事制度が取り沙汰される中、アメリカの人事がどう動くかは、未来を見通す際のたしかな羅針盤になると筆者は考えています。
●意外と難しいアメリカ人事動向調査
ただ、どうやってアメリカの人事動向を調べるかは、意外と難しいものです。筆者は以前、大手人材育成団体のブログを定期的にチェックしていましたが、宣伝記事が多くて閉口しました。「リーダーシップ育成の5つの動向」のような興味深いタイトルにつられて読み始めると、実は宣伝で「我が社の○○というソリューションがお勧めです」のような流れになっていてガッカリしたことは数知れず。
かといって、人材分野の識者の発言をいちいちチェックするのも手間だし……。筆者は海外に2年間留学していたので、英語もある程度分かるつもりですが、それでも「面倒くさい」という感覚は拭えませんでした。
そんな悩みを解決してくれるのが、ChatGPTです。下記、プロンプトを掲載しましたが、これを定期的に実行するだけで、最近のトピックを知ることができます。もちろん、生成AIにはもっともらしいけど不正確な情報<ハルシネーション>のリスクはありますが、情報ソースを記載させることで、人間によるチェックが効くので大きな間違いはないと筆者は考えています。
なお、このプロンプトはChatGPTの「Deep Research」機能用です。無料プランでも月間5回までは使えるはずですので、まずはこのままコピーして使ってみてください。
プロンプト中に、「当社は○○の事業を展開しており」のあたりは、御社の事業内容や人材育成上の問題意識をご記入ください。これによって、ご自身の興味ある分野にカスタマイズされたレポートを入手できます。
ご質問などありましたが、画面下の「このプロフェッショナルにお問合せ」ボタンから、何なりとご連絡ください。
●戦略人事必須のChatGPTプロンプト
#役割
あなたは熟練のマーケットリサーチャーです。人材開発・組織開発分野において、表層的なトレンド報告ではなく、発信の背後にある本質的なニーズや未充足課題(unmet needs)を洞察することが求められます。
公開情報をもとに、ポジショントークやプロモーションを排除し、**実質的に意味のある「シグナル」**を抽出してください。
#背景
当社は○○の事業を展開しており、人材育成上の問題意識として□□を持っています。
日本の人材育成動向を先読みするため、米国の人材育成業界・L&D(Learning & Development)・HR Tech分野の発信者から実務的な示唆を得たいと考えています。
求めているのは「話題」ではなく、“What’s emerging”=新たに兆候として見られる変化です。
#指令
以下のX(旧Twitter)アカウントの過去1週間の投稿を調査してください。
投稿本文に加え、引用URL・外部リンク先記事・スレッド展開も必ず確認し、洞察を得てください。
https://x.com/RoydeV90
https://x.com/JohnnyCTaylorJr
https://x.com/StephanieJNeal
https://x.com/AdamMGrant
https://x.com/david_green_uk
https://x.com/Ester_Matters
https://x.com/soumyasanto
https://x.com/StacyZapar
https://x.com/vineetnayar
https://x.com/MeghanMBiro
https://x.com/LewisGarrad
https://x.com/jeancase
https://x.com/DDIworld
https://x.com/jcmeister
https://x.com/sharlyn_lauby
https://x.com/Trish_Steed
https://x.com/conorneill
https://x.com/GautamGhosh
https://x.com/jacobm
https://x.com/jimstroud
#レポート出力項目
各項目を必ず明示的に出力すること。曖昧な省略は禁止。
タイトル:投稿または紹介記事の主題を的確に20字以内で要約
URL:投稿またはリンク先のURL
要約(200~300字):投稿または記事の内容を第三者視点で整理
洞察(Insight):
- 投稿の背後にある「暗黙の課題」「業界が動いている方向性」
- 「なぜこの発信が今注目されているのか」
- 「日本の人材育成・研修業界にとっての含意(Implication)」を明示
#出力形式
Markdown形式またはプレーンテキスト形式のリス。
各レポート項目は1ブロックとして扱い、空白行は入れない。
#分析の質的指針
定量的な数値よりも、質的変化(Shift, Trend, Emerging Pattern)を重視
話題の中心人物ではなく、テーマの中心にある問いを抽出
PR・自画自賛的投稿は除外し、議論・問題提起・共感を生んでいる投稿を優先
「他のアカウントでも類似トーンの投稿が増えている」場合はミニトレンドとしてまとめてもよい
ChatGPTは英語投稿の微妙な語感(e.g., reframing, pivot, stretch, belonging, upskilling)も文脈的に解釈すること
#出力例(形式見本)
タイトル AIによるリーダー育成の民主化 URL https://x.com/AdamMGrant/status/xxxxxx
要約 グラント氏はAIコーチングツールの普及によってリーダーシップ教育が個人レベルに浸透していると指摘。従来の上位者主導型開発モデルが見直され、個人が自己省察を通じて成長する流れを歓迎している。 洞察 AIは単なる効率化ではなく「内省を促す鏡」として機能し始めている。日本でも“AIとの対話型内省”が次世代リーダー育成の鍵になる可能性が高い。 分類タグ #AIコーチング #リーダーシップ開発 #内省 #自己成長
#品質目標
毎週10〜15件の「意味のある動向」を抽出
重複・PR的投稿を除外
週ごとの変化傾向(Shift)が分かるよう、文末に「総括:今週の潮流(200字)」
このコラムを書いたプロフェッショナル
木田 知廣
シンメトリー・ジャパン代表
ワトソンワイアットで人事制度の構築に携わり、その後ロンドン・ビジネススクールに留学し、グローバルリーダー育成の大家スマントラ・ゴシャールに師事(MBA取得)。2012年より米マサチューセッツ大学MBAの教鞭も執る
木田 知廣
シンメトリー・ジャパン代表
ワトソンワイアットで人事制度の構築に携わり、その後ロンドン・ビジネススクールに留学し、グローバルリーダー育成の大家スマントラ・ゴシャールに師事(MBA取得)。2012年より米マサチューセッツ大学MBAの教鞭も執る
ワトソンワイアットで人事制度の構築に携わり、その後ロンドン・ビジネススクールに留学し、グローバルリーダー育成の大家スマントラ・ゴシャールに師事(MBA取得)。2012年より米マサチューセッツ大学MBAの教鞭も執る
| 得意分野 | リーダーシップ、マネジメント、チームビルディング、コミュニケーション、ロジカルシンキング・課題解決 |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 所在地 | 港区 |
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