デジタル世代の新人育成のヒント(3)
デジタル世代は「打たれ弱い」のが特徴の一つです。もちろん、理由があります。今は長い時間と失敗経験を経て体系化されたノウハウが、いとも簡単に手に入ります。デジタル世代は回答を手に入れるのがとても早いのです。最近の子供はゲームソフトを買う時に、一緒に攻略本を買うことをご存知でしょうか?誰よりも早くソフトを攻略することが友達に自慢になるのだそうです。アナログ世代から見えると、試行錯誤を楽しむことができなくなるじゃないか、口を挟みたくなるところですが、彼らは試行錯誤せずに、早く結果を得ることが楽しみなのです。打たれ強いとは、換言すれば失敗に懲りないことですが、ノウハウをいち早く探し出し、試行錯誤を無駄だと考え失敗しないようにする世代が、打たれ強くないのは必然のようにも思えます。他にもIT革命による省力化・省人化の影響があります。以前なら改札には切符きりがいましたし、本を買うときは店員がいました。しかし、駅員や書店員の顔すら見ることなく電車に乗り、アマゾンで本を手に入れることができます。後に詳しく触れますが、同世代でのコミュニケーションは活発ですが、年長者とのコミュニケーションの機会が少なくなっているのですと考えられます。少子化も手伝って、親と学校の先生以外に会話する年長者がいなくなれば、自然と叱られる場面も限定的になります。親戚のおじさんおばさんはもとより、近所のおじさんおばさんん、商店街のおじさんおばさんといったと年長者と接する中で、説教されたり(褒められたり)する機会が減っているのではないでしょうか。
また、アナログ世代はバブル経験者であり、現在70代以上の世代であれば高度成長期と合わせて2度の経済成長の恩恵に浴した経験があります.アナログ世代は失敗をしても、それを帳消しにできるだけの経済成長という環境があったために、失敗の積み重ねの先に成功があると考えることが出来るのです。一方のデジタル世代は、90年といえばバブル崩壊。ずっと低成長の時代に育っています。親や親戚などリーマンショックでリストラに遭遇した人を真近に見る機会もありました。先のゲームの例にあるように、試行錯誤の末に成功が待っているのではなく、(小さくても)成功を約束された道を踏み外さないように歩いていくことが大切だと考えるようになっても不思議ではないのです。
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中西 真人(ナカニシ マサト) 株式会社M&RConsulting
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