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ストレスチェックとヒアリング HRカンファレンスより

2023年11月に開催された HRカンファレンス2023-秋- にて、私たち一般社団法人日本衛生管理者ネットワークは、

今さら聞けない! ストレスチェックをきっかけに進める組織改善の要諦」というタイトルで講演を行いました。

 

おかげさまで多くの方にご聴講いただくことができました。ありがとうございました。

 

ストレスチェックはほとんどの会社で実施されていることと思いますが、

 

ストレスチェックを実施する

個別結果のフィードバック・集団分析結果の公開がある

そして・・・?

 

そうです、「その後の活用」というところに悩まれている方は多いのではないでしょうか。

 

 

今回のセミナーではその後の活用の一つのご提案として「ヒアリング」について、話をさせていただきました。

 

ストレスチェックの質問項目だけでは、

どんな仕事内容が?

どんな場面が?

どんな言い方が?

などの 何がストレスなのかの実態 が見えてきません。

 

しかしながら、一体何がストレスかが分からなければ、改善のしようがありませんよね・・・

対応もとんちんかんなものになってしまい、当然効果も得られないでしょう。

良い例えかは分かりませんが、蚊に刺されたのは腕なのに、おでこに薬を塗っても意味がないのと同じです。

 

そこで、実態を把握するための有効な手段として「ヒアリング」があります。

 

ヒアリングを通して何が問題なのか?どういうサポートが必要とされているのか?明らかにすることで、

実際の業務改善などに繋げられるという考え方と、実際の事例をご紹介いたしました。

 

 

 

そのセミナー内、セミナー後アンケート内で聴講してくださった方々より、意見や質問を頂戴しました。

同様のことを疑問に思われた方もいらっしゃるのではないかと思いましたので、

本コラム内でご紹介させていただきます!

※質問してくださった方が特定できないように、【質問】として簡略化いたします

 

 

【質問】個別ヒアリングの対象者はどう決めるのか?

 

端的に申し上げると、対象者は全員としていただけるとベストです。

まずストレスチェック制度の中では、高ストレス者(希望者)との面談が規定されています。

本講演でご紹介したヒアリングはストレスチェックの集団分析結果は用いますが、ストレスチェック制度の中の面談とは趣旨が異なります。

 

<ストレスチェック制度の中の面談>

不調に対してどうするか?二次予防・三次予防的な意味合い

<ヒアリング>

より良く働くためにはどうするか?一次予防的な意味合い

 

ヒアリングはストレスになっている要因を特定することが目的ですので、誰が言っているかではなく、どんな仕事がどんな負担になっているか?実際にどんな仕事の場面で、ストレスチェックの質問項目のようなストレスを感じるのか?を確認します。

会社として必要なヒアリングを行うことで職場の実態を把握するためのものですので、ストレスチェック制度の中の面談とは別物として、お考えいただきたいと思います。

ですから、当然ストレスチェックの個人結果を扱うことは難しいので、集団分析結果を用いながらヒアリングを行う流れになります。

それを踏まえたうえで、全員に対してヒアリングを行い、仕事上のストレスの原因と思われるものを絞り込むことができれば、それを改善すれば良いというシンプルかつ効果的な動きが取れるようになります。

例えば、ストレスチェックの「対人関係」の項目について「職場内の対人関係について、どんな時に大変だと感じますか?」と尋ね、

Aさん「何でも否定から入る上司が怖くて、対人関係が良好とは言えないと感じている。」

Bさん「私より年上の部下に仕事を命じる時、私もなんだか落ち着かないし、その人も嫌そうに見えるし、やりづらくてストレス。」

Cさん「挨拶や雑談も活発だし、仕事の後に食事することもあるし、皆、仲が良いと思う。」

という実態が話されたとすると、この職場では例えば「話の聞き方」「仕事の命じ方」「業務外のコミュニケーション」について今一度見直せば、ストレスに感じていた人は軽減に、ストレスに感じていなかった人もより良い働き方に繋げられる可能性が見いだせるのではないかと思います。ストレスチェック結果をポジティブに、実態を変える方向に活用できるので、大変効果的です。

また、ヒアリングで聞いた意見の取り扱いは、個人の特定を目的としていません。「〇〇さんが言った〇〇について」ではないので、話をしてくれた人自身も守られます。

また、当法人のクライアント先では全員ヒアリングを行うことで、実態が明らかになり、その課題を解決しようという活動から、誰もが使えるマニュアル策定がなされたり、離職者が減少したりと結果が表れ始めています。また、ストレスチェック結果と他の行動の特徴を反映する心理検査を合わせて活用することで、個々の得意不得意に配慮した配置決めの工夫等もできています。

ヒアリング対象者が全員であれば、対象者を選定するという問題は生じません。

ただ、時間・ヒアリングを行う人員の確保・外部委託する場合の費用等の問題で最初から全員ヒアリングは難しいという場合もあるかと思います。その場合ゆくゆくは全員ヒアリングにするとしても、まずは特定の部門から、管理職から、ランダムに30名のように、何かを決めて行うことも可能かと思います。

その場合は、なぜこの部門からにしたのか理由を公開する、ランダムなのであればその無作為抽出の方法を明らかにするとともに何らかの意図であなたが選ばれたわけではないという丁寧な説明をすることで、公正さの周知が可能でしょう。

最後にヒアリングを行う側についてです。職場で起きている仕事の実態と働いている人たちの気持ちの情報を収集し、会社と個人が良好な関係を保つための活動で、誰もが見られる集団分析結果を用いますので、守秘義務についてきちんと決めれば、特に資格や医療職というカテゴリーである必要性はないと考えます。もちろん、ノウハウを持っている当法人に依頼していただければ一番良いですが(笑)例えば衛生管理者は日ごろから様々な人たちと情報交換や共有をしていますので、人の話を聞き出すためのヒアリング力に長けているかもしれません。長年人事担当をされている定年間際の方などもヒアリング力が高いことが多いです。すなわちこれが攻めの労務管理でもあり、ストレスマネジメントであるということです。

バブルがはじけ、泥臭い労務管理が弱くなり、パソコンを使った人事管理にシフトしてきているため、職場を動かし人を動かすというのは難しいことだと思います。今までにしてこなかったことを導入するにはかなりの労力も使うと思います。

しかしながら、期待できるメリットが大きいのであれば上司も会社も理解してくれるはずです。

 

 

【質問】ストレスチェックとエンゲイジメントの結果を総合的に活用するにはどうするか。

 

ストレスチェック項目の中でも、エンゲイジメントについて尋ねている項目があります。あくまでも仕事の中で、エンゲイジメントの実態を確認するには、エンゲイジメントを阻害している要因が、その組織で具体的にどんなことなのかを把握することで、ストレスチェックの項目との関連性が理解できるかもしれません。

また、ヒアリングをする中で「やる気を削ぐ要因は?」ということを意識しながら話を聞いていただければ、

「上司が高圧的で怖い」→上司との関係が円滑になれば働きやすくなる?

「何か頑張っても褒めてもらえることがない」→認めてもらえないんじゃやる気でないよな・・・

「オフィスがうるさくて集中できない」→環境の見直し次第で変わる?

などと、「具体的には?」の部分が見えてくると思います。

その具体的エピソードと、エンゲイジメントサーベイ結果を照らし合わせてみれば、総合的に対応を考えられる案件もあるのではないでしょうか。

 

 

【質問】ストレスチェック結果を扱う時の注意点が知りたい。

 

ストレスチェックとは、病気を特定するものではなく、ストレスの実態を把握することが目的です。ともすると、ストレスチェックで精神疾患が分かる、健康問題が分かると勘違いされている方もよくいますが、ストレスチェックで病気が分かるならば医者は要りませんので、あくまでもストレスの実態把握です。

ただ、おっしゃる通り一般的なアンケートとは少し性格が異なると思います。

定期健康診断結果の取り扱いと同様に個人情報保護の視点から、センシティブなデータとしての取り扱いを行う必要はあります。

また、ヒアリングを行う際の注意点という観点で書かせていただきますと、ヒアリング内で話された内容は外部に漏れないということを保証するのが最重要になってきます。

特に「誰が」何の話をしたのかという魔女狩りが横行しやすいため、あくまでも仕事の内容が人の心にどう影響しているのかを把握することを、行う側は説明し、受ける側は理解する必要があります。

 

以上がいただいたご質問に対する回答です。

長くなり恐縮ですが、当法人のご提案が少しでも皆様のお役に立てることを切に願っております。

 

 

また、いただいたご意見・ご感想も少しご紹介いたします。

☆ストレスチェック後のヒアリングの重要性を確認できました。

☆設問が記述式で具体性を持つわけではないと認識をしていますので、日々の労務管理、衛生管理が重要だなと思いました。ありがとうございました。

☆ストレスチェック141問の導入には社内のハードルが高そうと感じました。

☆心理的安全性ですね、ありがとうございました。

☆現在子会社での人事総務担当で健康安全と労務、コンプライアンス等全体を見ているため、今回の話が腑に落ちて理解しやすかったです。

 

皆さまありがとうございました。

 

 

 

残念ながらセミナーは聞くことができなかった・・・けれど興味がある!

セミナーやコラムを通して解決できなかった疑問がある!

など、もしさらに具体的なお話を希望していただけましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

下記のような図表も用いながら、具体例を交えてご説明させていただきます。

 

せっかくやるなら活用したいストレスチェック。

是非ヒアリングも用いて、一緒に実態を変えていきましょう!!

  • モチベーション・組織活性化
  • 安全衛生・メンタルヘルス
  • リーダーシップ
  • マネジメント
  • コミュニケーション

労働と健康は作用と反作用!

一般社団法人日本衛生管理者ネットワーク 代表理事
十文字学園女子大学 非常勤講師
長年、一部上場企業で人事労務と労働衛生の両面を同軸で捉えるユニークな発想と活動を展開。

對木 博一(ツイキ ヒロカズ) 一般社団法人日本衛生管理者ネットワーク 代表理事

對木 博一
対応エリア 全国
所在地 相模原市南区

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