KDDI様事例発表ーアセスメント活用事例の舞台裏!
本コラムは当社ブログ(2021年1月27日掲載)を編集したものです。
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海外渡航が難しくなっているWithコロナ時代において、
各企業では『海外赴任』をどのように行なっているのでしょうか?
第249回グローバル人材育成研究会では、会社も本人も成功する秘訣とは?事業に貢献し、自ら『何ができるか』から『何を得て』『どこを伸ばすか』を考えるアセスメント活用事例の舞台裏!を開催。
ゲストスピーカーに、
KDDI株式会社 ソリューション事業本部
グローバルICT本部 マネージャー 武井 章様
をお迎えし、海外赴任者の育成施策とその舞台裏をお話しただきました。
開催にあたり、前半は当社代表福田より、
海外赴任の今について各社様の現状をお伝え致しました。
目次
①Withコロナ時代の海外赴任に対応できる人材の育成
②KDDI様におけるコロナ禍での海外赴任
③「協働の基盤」としてのアセスメント
④「ジョブ型移行」戦略的人事へのデータ活用
⑤赴任者の自立的なキャリア構築による、事業の発展を目指して
①Withコロナ時代の海外赴任に対応できる人材の育成
現地化を進めるための後継者育成、収益の向上、現地法人のガバナンス、市場開拓・事業の立ち上げ、、。そうした「これまでの駐在員マネージャーに必要な力」に加え、先が見えないVUCA時代における判断力など、今、駐在員のマネジメントに求められるレベルはますます高まっています。
しかも、赴任先では役職がステップアップすることも、珍しくありません。たとえば、日本にいる時は主任級・部下なし、社内調整が中心だった人でも、赴任後は部長級・20人の部下を抱え、対外交渉も行うようになったりします。すると、日本でも未経験のミッション・業務でも、赴任先ですぐに実行できるか?が課題になります。
こうした現状に対応するには、日本国内において「すぐ海外派遣できる人材」を育成し、数年かけてプールしていくことが有効です。しかし、全社施策への展開が難しい場合、まずは赴任前研修をアップデートすることが最善策と言えるでしょう。
必要なマインドやスキルなどはあらかじめ広く展開し、その中から赴任が決まった人へ、特定の赴任前研修を行うのが効果的です。
1.グローバルマインドセット醸成
外部環境変化を自分事として理解し、自己変革を促す。国内国外どこにいても、世界の人と協働し成果を生み出せる人材を目指す。
2. 赴任者特性把握のアセスメント
赴任対象者の思考、行動特性をアセスメントで可視化。
「理想の赴任先マネージャー」の指標と自分の結果を比較し、課題を把握する。自身の傾向や自分と違う価値観の捉え方を理解し、赴任先での早期の信頼醸成と成果創出のサイクルを早める。
こうした赴任前研修を当社よりご導入いただき、社内で有効活用されていらっしゃるKDDI様・武井様より、事例発表をいただきました。
②KDDI様におけるコロナ禍での海外赴任
KDDI ソリューション事業本部 ICTグローバル本部様では
「コア業務で専門性を磨く×人として成長する」を目標に掲げられ、毎年、
世界各地への海外赴任を積極的に進めてこられました。
そんな中で起こったコロナウイルス感染拡大。
2020.4.1の海外赴任はどうするか?が課題となりました。
結果、赴任は取り消さず「リモートでの赴任」を決行。
つまり、新任赴任者は、赴任前研修を受講後、日本にいながら赴任後のミッションをリモート業務で遂行する、ということとなりました。
人間関係のベースがない、リモート環境でのマネジメント・チーミングに新任赴任者の方々は苦労されたそうですが、赴任前研修も功を奏し、無事ミッションを果たされているそうです。
その成功の秘訣は何だったのでしょうか?
KDDI様では、赴任者の最重要ミッションは、
「事業に貢献し成果を出し続けること」と掲げられています。
だからこそ、赴任前研修は「現地で『垂直立ち上げ』するための研修」として明確に位置づけられ、リモート赴任になる前から、長年、研修設計に力を入れてこられました。
そこには様々な工夫が凝らされているのですが、中でも積極的に有効活用されているのが「アセスメント」です。
③「協働の基盤」としてのアセスメント
KDDI様では、赴任対象者の方を対象に自分自身の「動機や欲求、行動様式」の特性を指標化したアセスメントを実施。アセスメントご導入の背景について、武井様は以下のようにおっしゃっています。
「海外赴任者、という立場には、『ローカルスタッフとチームを組んで成果を上げる』という責務があります。その上で強く認識しなければならないのが、自分の『当たり前』がチームのメンバーの『当たり前』と同じとは限らないという前提です。文化も、言葉も違えば、尚更この前提を自覚しておかないと、うまくいかなくなってしまいます。そのための「協働の基盤」としてアセスメントを活用しています。」
実際、赴任前研修内では、アセスメント受講に加えて、当社パートナー講師によるフィードバックセッションを実施されています。
そこでは、アセスメントの「指標」や読み方の解説を通して、「人を『どう』見ればよいのかという『視点』がわかった。」というお声もいただくことがあります。
④「ジョブ型移行」戦略的人事へのデータ活用
また、アセスメントにより赴任者特性をデータ化し蓄積することで、組織にける人材を可視化し、戦略人事に応用することも可能です。
「どんな人物が赴任者に適切か」を定義しようとする際、よく起こりがちなのが「言葉の空中戦」です。よく使われるのが「Aさんのような人」という言葉。こうした直感的なイメージの言葉は便利である一方、個人の主観や経験則に基づいた言葉であることから、人によって受け取り方にズレが生じやすく、ミスコミュニケーションも起こりがちです。
こうした齟齬を少なくするには「Aさんのような人=具体的にはどんな人か?」を誰にでもわかるように定義することが重要です。その上で、アセスメントを活用することは、客観的な指標を用いて定義を行うことができる点、成功パターンを可視化することができる点で、非常に有効なアプローチです。
近年ますます加速する「ジョブ型移行」の際にも、職務を定義するための「ジョブディスクリプション」とあわせて、職務にあった人材を見える化するという上で、有効活用することができます。
⑤赴任者の自立的なキャリア構築による、事業の発展を目指して
コロナ禍においてもリモートでの海外赴任を止めず「データ活用による戦略的人事」を推進されている、KDDI様。
リモート化が進んだニューノーマルという変化の中でも、揺らぐことなく制度を進めてこられたのも、赴任者自身を「自立的にキャリアを築き、事業にさらに貢献できる人材」に育成するという本質を追求され続けてこられたからこそ。
その想いの源泉は、
「グローバル=英語ができればよい、ということではなく、専門性を高めることが個人・事業の発展において重要ではないか」という課題感、とお話しされていた武井様。
同じ想いをもとに、同社のグローバル&自立型人材育成に携わらせていただくパートナーとして、改めて感謝とともに更なる価値創出に貢献できるよう、胸に刻んだ一日でした。
武井様、お忙しい中ありがとうございました。
- 経営戦略・経営管理
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「グローバル&自立型人材育成」をミッションとし、プログラムの企画・開発・コーディネートを手掛け、講師としても活躍!
海外のトップビジネススクール(HBS・LBS・IMD等)、国内外のトップトレーナー(HRDコンサルタント、コミュニケーション・異文化・語学スペシャリスト等)との協働で、400社以上の企業向け人材育成に携わっている。
福田 聡子(フクダ サトコ) グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社 代表取締役社長
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