G研報告:新しいグローバルリーダーの発掘と育成
先週、第116回G研、『時代遅れのグローバルリーダー育成になっていませんか?
~新しいグローバルリーダーの発掘と育成~』を開催した。
■第1部■
私のパートでは、TEDのロザリンデ・トーレス氏の動画やディスカッションを通じて、
ご自身のリーダーシップについて振り返っていただくとともに、
企業としてどのようにグローバルリーダーを育成していくか、を具体的なプログラム例をご紹介した。
多くの企業の課題として、
様々なリーダーシッププログラムを実施しているのにも関わらず、
未だ十分に優秀なリーダーが輩出出来ていないというケースが多い。
それは、一体なぜなのか?
一つの大きな原因として、多くの企業は、
今までのリーダー像をモデルにプログラムを作っている場合が多いことが挙げられる。
当日は、ロザリンデ・トーレス氏の「優れたリーダーになる条件」という動画をご覧いただいた。
彼女も主張しているように、これからのグローバルリーダーには、下記3つの問いが必要である。
これらはシンプルであるが、これからの時代を生き残るためには非常に重要な問いである。
1. Where are you looking to anticipate the next change in your business model or your life?
来るべき変化を予測するために、あなたは日々何をしているか?
2. What is the diversity measure of your network?
プライベートや仕事上の人脈を多様化させているか?
3. Are you courageous enough to abandon the past?
過去の成功体験を捨てられるか?
VUCAワールドの時代と言われている現代は、
変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)
が非常に高く、先が見えなく、ルールが常に変わり続けている。
また、グローバル化及び時代の変化に伴い、価値観も多様化している。
そんな時代を生き残るためには、常に自分を変え現状に挑戦する、
可能性や長期的展望 「なぜ」「何を」に目を向けていくこと、
最善の結果のために規則を破ることも辞さないことが必要だ。
また当日は、グローバルリーダー選抜研修の動向についてもお伝えした。
近年、多くの企業では、コア人材を選抜し6ヶ月や11ヶ月間でグローバルビジネススキルを学ぶという研修を多く実施いただいている。
しかし、最近のトレンドとして、このプログラムを日本人中心ではなく多国籍セッションとして、
様々な海外支店の人材と一緒に行うケースが増えてきている。
この多国籍セッションは、企業のトップタレントを集め、
経営幹部候補としての視座を高めるための刺激を与えることで、
今後の組織運営を担うリーダー候補の成長をさらに加速化することを可能にする。
PMI (post merger integration: 合併後の統合)の一環として、
日本人リーダー人材の更なる強化、海外リーダー人材のリテンション、
海外リーダー候補への企業フィロソフィー浸透などが増加の理由である。
これからの時代のリーダーを輩出していくためにも、今後も、ニーズは増え続けるだろう。
■第2部■
「今なら間に合う!グローバル化に不可欠な次世代リーダー育成」と題して、
長年PwCで人事戦略コンサルタントとして活躍された山本紳也講師が初登壇し、
具体的なご経験も交えながら、今後の人材開発部に求められるものは何か語っていただいた。
日本企業の海外現地法人マネジメント、
外資系企業の日本進出、
クロスボーダーM&A(In-Out/Out-In)、
多国籍人材の育成プログラムのデザイン、
海外での研究・講演
などグローバルでの豊富な経験を持つ山本講師は、
人事部ご担当者が常日頃「モヤっ」としている課題を上手く言葉で整理して話されるため、今後取るべき行動が明確になる。
一番人事部ご担当者の興味を引いていたのは、
「日本企業によるグローバル化の試行錯誤」についてのパートだ。
「日本企業のグローバル化プロセス」をタイプ毎に分け、実際の企業事例を交えて説明いただいた。
「日本企業のグローバル化プロセスタイプ」例
1.日本型マネジメント徹底型
2.日本と海外が分かれた二元化型
3.事業委譲適所優先型
4.海外駐在経験者によるグローバル理解型
5.市場追従時間優先適材適所型
6.多国多事業対応BP活用ガバナンス型
例えば、
2.日本と海外が分かれた二元化型とは、
日本国内と海外でビジネスモデルが異なり、組織とマネジメントスタイルが二元化していることを指す。
海外サービスオペレーションは外国人主導で展開する、
また海外オペレーションの独自グローバル化が加速しており、
日本本社と海外のマネジメントが二元化している状態。
統一の必要性と難しさが課題である。
4.の海外駐在経験者によるグローバル理解型では、
海外進出早期に大量の日本人を海外派遣し、
日本人主導で海外展開を行っている企業を指す。
日本人と業務経験豊富な現地人材が現地トップに就任し、
その結果、国内本社でも海外経験者が内なる国際化の強力な牽引力になっているという状態。
5.の市場追従時間優先適材適所型は、
市場のグローバル化と大規模M&A多発という業界背景にあり、
M&Aによる早期グローバル化が不可欠という経営判断の基、
グローバルのM&Aと経営に向けた体制と人材の準備している。
適所適材配置にために本社&グローバルで人材調達を行い、
国・場所・国籍を問わないマネジメント体制の構築している。
上記のプロセスタイプには全てメリットとデメリット、また今後解決すべき課題がある。
しかし、様々な事例を知り、自社の課題・現状と照らし合わせることは、
今後のグローバル事業促進においての重要なヒントとなるだろう。
下記が今回ご参加いただいたご担当者様からの山本講師へのコメントである。
・今後の指針となると思った。
最後の「マネジメントではなくガバナンス」という言葉は、
刺激的でこれをベースに課題解決策を検討していきたい。
・本音ベースの考え方、経験談を交えた講話で非常に参考になった。
・それぞれ課題はあるが、少しでも事例で挙げておられたグローバルカンパニーに近づいていけるように課題を洗い出して、少しずつ取り組んでいきたい。
- 経営戦略・経営管理
- キャリア開発
- グローバル
- リーダーシップ
- コミュニケーション
「グローバル&自立型人材育成」をミッションとし、プログラムの企画・開発・コーディネートを手掛け、講師としても活躍!
海外のトップビジネススクール(HBS・LBS・IMD等)、国内外のトップトレーナー(HRDコンサルタント、コミュニケーション・異文化・語学スペシャリスト等)との協働で、400社以上の企業向け人材育成に携わっている。
福田 聡子(フクダ サトコ) グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社 代表取締役社長
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