成果を出し続ける人の行動特性:ラーニングアジリティ
環境変化のスピードが加速し、これまでの成功体験や既存のやり方が通用しにくくなる中で、「成果を出し続ける人」と「変化に取り残されてしまう人」の差は、どこに生まれるのでしょうか。
その違いをひもとくキーワードとして、近年あらためて注目されているのが「ラーニングアジリティ(Learning Agility)」です。
ラーニングアジリティとは、未知の状況や新しい課題に直面した際に、過去の経験や成功体験にとらわれることなく、学びながら柔軟に対応していく力を指します。単なる「学習意欲」や「知識量」ではなく、経験から学び、それを次の行動へと転換していく“実践的な適応力”である点が特徴です。
多様な業界・組織で成果を上げ続ける人材を見ていくと、このラーニングアジリティの高さが、共通した行動特性として浮かび上がってきます。
【ラーニングアジリティの5つの要素(代表的な分類)】
ラーニングアジリティは、主に次の5つの要素から構成されるとされています。
1. メンタル・アジリティ(思考の柔軟性)
物事を多角的に考え、固定観念にとらわれない力
2. ピープル・アジリティ(対人対応力)
多様な人と信頼関係を築き、学び合える力
3. チェンジ・アジリティ(変化対応力)
変化を恐れず、むしろ楽しみながら挑戦する力
4. リザルツ・アジリティ(成果創出力)
困難な状況でも結果を出し続ける力
5. セルフ・アウェアネス(自己認識)
自分の強み・弱みを正しく理解し、改善できる力
成果を出し続ける人は、これらを「スキルとして身につけている」というよりも、日々の意思決定や行動の中で自然に発揮している点が共通しています。
【不確実な時代に差がつく「メンタル・アジリティ」】
5つの要素の中でも、特に変化の大きい時代において重要性が高まっているのが、1.のメンタル・アジリティ(思考の柔軟性)です。
メンタル・アジリティとは、不確実性や曖昧さの中でも思考を止めず、状況に応じて視点や考え方を切り替えながら、最適解を探し続ける力を指します。
正解が一つではない時代においては、「これまで通り」や「前例」が必ずしも答えになるとは限りません。だからこそ、オープンマインドで新しい情報や意見を取り入れながら、自ら問いを立て直し、行動を更新し続けられるかどうかが、成果の持続性を大きく左右します。
メンタル・アジリティは“思考の特性”であると同時に、日々の行動の選び方としても表れます。
こうした姿勢は、特別な立場の人だけに求められるものではありません。「まずやってみる」「違う視点で考える」「自ら機会を取りにいく」といった日常の小さな選択の積み重ねこそが、メンタル・アジリティを少しずつ育てていきます。
【日常の中で実践できる“マイクロアクション”】
ラーニングアジリティは、生まれつきの資質だけで決まるものではありません。日々の行動の積み重ねによって、後天的に高めていくことができます。例えば、次のようなマイクロアクションがその一歩になります。
- あえて自分の専門外のテーマの会議やプロジェクトに関わってみる
- 新しいスキルや知識を、週に一つ取り入れてみる
- 上司や同僚にフィードバックを求め、自分の見え方を知る
- これまでとは異なる進め方を、小さく試してみる
こうした小さな行動の積み重ねが、やがて思考の柔軟性と行動の質を高め、ラーニングアジリティ全体の底上げにつながっていきます。
成果を出し続ける人材に共通しているのは、特別な才能や経験年数ではなく、「変化から学び続ける姿勢」、すなわちラーニングアジリティの高さです。そして、その中核にあるメンタル・アジリティは、不確実な時代をしなやかに生き抜くための重要な基盤と言えるでしょう。
人事部門に求められる役割も、「個人の能力開発」にとどまらず、挑戦や試行錯誤が自然に生まれ、学びや挑戦が自然に生まれ、循環する組織文化をどう育てていくかへと広がっています。ラーニングアジリティという視点は、これからの人材育成を考える上で、重要な示唆を与えてくれるはずです。
このコラムを書いたプロフェッショナル
LHH 人材育成・組織開発チーム
アデコ株式会社LHH人材育成・組織開発チーム
人材育成・組織開発の分野において60年以上の実績をもつLHHは、リーダーの育成、女性活躍、多様性の推進、人材の定着、組織風土改革といったプログラムの提供により、Fortune 500に代表される世界のトップ企業からも高い信頼を得ています。
LHH 人材育成・組織開発チーム
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| 得意分野 | モチベーション・組織活性化、リーダーシップ、コーチング・ファシリテーション |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 所在地 | 千代田区 |
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