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1on1の現場から:忙しすぎて時間が取れない

1on1という言葉がまだ市民権を得ていなかった8年前。1on1導入の必要性を説きながら多くの企業のコンサルティングに携わってきました。

 

現在、大手企業では当たり前のように1on1が実施され、1on1の研修や、運用の専用システムも世の中にでてくるようになりました。

 

中小~万単位の大企業まで、多くの企業での1on1導入を支援してきた経験から、実際に現場で1on1を実施する上長、される側のメンバー、導入・定着化を担当する推進者の方たちが感じている疑問・課題について、お答えしたいと思います。

 

弊社の導入・定着化支援の考え方は、アジャイルHR代表の松丘啓司の1on1における考え方を基本としています。詳細は「1on1マネジメント」をぜひ手に取ってみてください。

 

 

「Q. 仕事が忙しすぎて、1on1の時間を取ることができません」

 

1on1の形骸化に関して、企業の推進担当者の方から、「仕事が忙しすぎて、1on1の時間を取ることができないという意見やコメントをもらうことがある。ただでさえ疲弊している上長に対して、1on1を優先してくださいとは言いにくい。」という相談を受けることがあります。

 

本音をいえば、1on1は部下の成長を支援するための業務であり、上長にとってはプライオリティの最も高い仕事です。会社として、「最も優先すべき業務の1つ」として、1on1の推進を推奨することが望まれます。

 

そうはいっても、目の前の数字を達成していかなければいけない、大きなプロジェクトの締め切りがあるという状況では、「1on1、来週に変更してもらってもいい?」という言葉が出てしまうのが現実かもしれません。

 

上長側の多忙が原因で、1on1の見送りが多くされている場合、以下のような点を確認させていただいています。

 

1.1名の上司が担当するメンバーは何名いるのか?

2.1on1の頻度や時間等はどのくらいを基準にしているのか?

3.日程の決め方はどのようにしているのか?

4.経営層は1on1に対してどのくらい重要性を感じているのか?

 

今回のコラムでは、1.についてお話してまいります。

 

皆さんの会社では、1名の上長が何名のメンバーの1on1を担当しているでしょうか。

 

一般的に、1人の上長が担当できるメンバーの限界は8名といわれており、それ以上をケアすることは、時間的にもマネジメントの質的にも難しいといわれています。

 

ですが現実は、「評価をしなければいけない」という理由で、担当を10名も20名も持たされている上長は少なくありません。

 

1on1の上長と部下の「ペア」の組み合わせについては、推進事務局が指定する場合や、現場に任せる場合等様々ですが、どのような組み合わせをするにしても、1on1を実施する側の上長は「メンバーの仕事内容を理解している人」であることは必要です。

 

そうはいっても、企業によっては、部署の構成メンバーの関係で、そのような運用が難しい場合もあります。

 

その場合、お勧めしているのが、「2名体制サポート」での1on1です。1ヵ月に1回、1on1を実施するように推奨している企業の例を見て見ましょう。

 

ある部署にメンバーが10名いた場合、通常は課長1人で全員に対して1ヵ月に1回1on1を実施しますが、「2名体制サポート」は、2名の上長でその10名に1on1を実施します。

 

1名の上長が10人のうちの5名を実施し、もう1名が残りの5名を実施。次の1ヵ月は、その5名を入れ替えて、違う組み合わせで1on1を実施するというのが「2名体制サポート」の運用方法です。

 

2名の上長のうち1名は、メンバーの仕事内容をしっかり理解している人。もう1名の上長は、上長の補佐的な方や、さらにその上司、人員がいなければ人事のメンバー等、メンバーの支援ができる立場の方であれば問題ありません。

 

実質的に1名のメンバーとは2か月に一度の1on1になりますが、上長側の負担が減るだけではなく、2名の上長でケアができるため、相性に問題があった場合の逃げ道になる、また話の内容や相談できる内容が幅広くなる等、メリットを挙げられる企業様が多いです。

 

情報の共有方法等、基本的な運用ルールを定める必要はありますが、1人の上長の負担を減らしつつも、1on1の効果を担保するにはお勧めの方法です。成長支援をするのは必ずしも、直属の上長だけである必要ありません。

 

繰り返しになりますが、本来であれば「部下の支援以上に大切な仕事はない」と言っても過言ではないほど、1on1は重要な取組みの1つではあります。

 

そうはいっても、それを現場に押し付けているだけでは解決にはなりません。

 

物理的な問題で継続が難しい場合は、ルールや運用に柔軟性を持たせて、1on1を継続してもらうのも1つの推進方法になるのではないでしょうか?

このコラムを書いたプロフェッショナル

井上弘絵

井上弘絵
株式会社アジャイルHR マネジャー

支援が完了しても、お客様が自走できるように、「伴走型支援」を心がけています。対話を通じて、お客様の「軸」や「大切にしたいこと」を理解し、目指したい姿を共に実現します。

支援が完了しても、お客様が自走できるように、「伴走型支援」を心がけています。対話を通じて、お客様の「軸」や「大切にしたいこと」を理解し、目指したい姿を共に実現します。

得意分野 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、キャリア開発、チームビルディング、コミュニケーション
対応エリア 全国
所在地 港区

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