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転用可能な職務スキルを特定する方法

仕事環境の変化と日本の労働市場の課題

新型コロナウイルスによるパンデミック以前、仕事のスタイルは現在とは大きく異なっていました。リモートワークやハイブリッドワークは一般的ではなく、多くの人が同じ会社に勤め続けていました。しかし、近年の労働環境の急激な変化に対して、人材戦略や業務設計、採用ツールなどのシステムは十分に適応できていません。企業は従業員に対し、これまでと同じ時間働くことを求めながら、従来の職務経歴書やツールをそのまま適用し、まったく異なるビジネス環境に対応することを期待しています。

このパンデミックは、特に観光、飲食、イベントなどの対面サービス業に大きな影響を与えました。一時的な需要の激減により、これらの業界では人材が流出し、その後の回復局面で深刻な人手不足に直面しています。多くの企業が営業停止や縮小を余儀なくされる中、従業員は他の業界に転職を余儀なくされました。これにより、サービス業界では安定した人材確保が困難となり、回復期においても業務再開が遅れる要因となっています。今後は、対面サービスの安全性を高める取り組みや、人材を呼び戻すための労働環境改善が急務となるでしょう。

パンデミックによる感染リスクへの懸念が強まり、医療や介護分野での人材確保が困難になっています。医療従事者や介護職員は感染防止策の最前線に立つことが求められる一方、過酷な勤務環境や精神的負担の増加により、多くの職員が退職や転職を選択する傾向が強まっています。医療・介護分野では、安全な労働環境の確保、感染防止対策の強化、精神的サポート体制の拡充が必要です。また、これらの職種への就業意欲を高めるための教育・訓練プログラムの充実も重要です。

最近では、非正規労働者が減少する一方で、正規労働者が増加する傾向が見られます。パンデミックに伴う労働力不足の影響で、人材獲得競争が激化し、転職も含めた非正社員の正規化が進んでいます。特に2025年には、この傾向がさらに加速すると予想されています。企業は、優秀な人材を確保するために、正社員としての雇用条件を改善し、労働環境を整備する必要があります。また、リモートワークやハイブリッドワークが一般化する中で、柔軟な働き方を提供することも求められます。労働市場の変化に対応するための戦略として、企業は採用プロセスの見直しを行い、転用可能なスキルや行動特性を重視した採用手法を導入することが重要です。

以上のように、コロナ禍は日本の労働市場に大きな構造的変化をもたらしました。今後は、各業界がこの変化に対応し、持続可能な労働環境を構築するための取り組みが不可欠です。

採用プロセスの見直しが必要

企業の人事担当者は、採用プロセスを再評価し、最適な候補者を迅速に特定する効率的な方法を導入することが求められます。労働市場が大きく変化した今こそ、非伝統的な手法を取り入れる時です。採用前の評価基準や面接の質問も、コロナ禍後の時代に適したものに変える必要があります。

現在、求職者にはさまざまな選択肢があるため、企業は他社に先駆けて優秀な人材を見つけ、引きつけ、採用するための戦略を持つことが重要です。そのためには、転用可能なスキルや行動特性を重視した採用手法が有効です。

面接で活用できる行動特性に関する質問

面接では、候補者の能力や適性を具体的に引き出す質問をすることが効果的です。以下に、採用担当者が活用できる質問例を紹介します。

  1. あなたの強みやスキルで、この会社に貢献できることを教えてください。
  2. 組織内で課題を見つけ、自発的に解決した経験を教えてください。
  3. 前職で最も重要だと感じた学びは何ですか。
  4. その学びがあなたのキャリアにどのような影響を与え、どのような貢献につながりましたか。
  5. 最近、将来に希望を感じた具体的な出来事について教えてください。

これらのオープンエンドな質問を通じて、候補者のスキルや自己認識、能力開発への意欲、自主性を評価できます。従来の経験や成果だけでなく、成長意欲や適応力を重視することで、企業にとって価値のある人材を見極めることが可能になります。ただし、定量的に他社と比較することは難しいままです。

候補者のスキルを正確に評価する方法

採用前の評価を活用することで、候補者の適性やスキルを客観的に判断できます。面接官の主観的な評価に頼ると、無意識の偏見が影響する可能性があります。そのため、候補者を公平に評価するためには、統一された基準で比較できる評価プロセスが重要です。

効果的な評価方法として、職務要件に基づき適格性と適性の両方を確認し、総合スコアでランク付けする方法があります。

  • 適格性:過去の職務経験、学歴、資格など。
  • 適合性:態度、意欲、対人スキルなど。

これらの要素を総合的に判断することで、候補者のスキルセットを正しく評価し、組織に適した人材を採用できるようになります。

採用戦略の改善

従来の採用手法では、今日の雇用市場の課題に十分に対応できません。しかし、求めている人材が実は目の前にいる可能性もあります。人事担当者は、自社の企業文化や職務に最適な人材を採用するために、採用基準や面接プロセスを見直すことが重要です。

現在の採用戦略が、候補者の転用可能なスキルを適切に評価できているかを検討し、必要に応じて改善を加えることで、より効果的な採用を実現できます。もしかすると、今最も必要なのは、「まだ面接で尋ねていない質問」なのかもしれません。

出典:https://blog.harrisonassessments.com/blog/how-to-identify-transferable-job-skills.html 20250307 を著者が編集・加筆

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30年以上にわたり、海外の産業・人材育成プロジェクトの企画・運営・評価に携わってきました。自身も講師として多数の研修を実施し、豊富な経験を有しています。ハリソンアセスメンツの認定コンサルタントであり、日本で最初の同ツール認定評価者です。

山本 恵也(ヤマモト ヨシナリ) ガイアモーレ株式会社提携講師&組織開発ディレクター(ハリソンアセスメンツ認定コンサルタント)

山本 恵也
対応エリア 全国
所在地 若葉区

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細木聡子(株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士)

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2025/03/26 ID:CA-0005939 部下育成