ストレングスファインダーとアサーティブで高める対話の質
ある企業様に対し、3回にわたって「ストレングスファインダー(R)×アサーティブ・コミュニケーション研修」を提供しました。
アサーティブ・コミュニケーションとは、もともと社会的に不利な立場の人々が自分の意見や感情を率直に伝えるための手法として発展してきた経緯があります。現在ではその本質が見直され、ビジネスの現場においても「立場や役割にかかわらず、互いを尊重しながら率直な対話を行うための考え方」として注目されています。
特に昨今では、多様な背景や視点を持つ人々が共に働く職場において、円滑なコミュニケーションを図る手段として、アサーティブの考え方を導入する企業が増えています。
ここで、ストレングスファインダー(R)(クリフトンストレングス(R))の知見が活きてきます。このツールは、個人の思考・感情・行動の特性を「強み」という視点から可視化するものであり、メンバー同士の違いを前向きに理解・尊重するための手がかりになります。
しかしながら、実際のコミュニケーションにおいて、常に自分と他者の違いに意識を向けて接することは簡単ではありません。ときに無意識のうちに、自分の慣れ親しんだ進め方や判断基準を基に、相手の言動を捉えてしまうこともあります。
たとえば、ストレングスファインダー(R)で「調和性」が上位にある人は、「物事を対立なく収束させたい」という思考の傾向があります。この資質が強い方は、会議が終盤に差し掛かり、合意形成が見えてきたタイミングで突然新しいアイデアを提示されると、「なぜ今、それを言うのか」と反発を覚えることがあります。
これは、「今の流れを大切にしたい」「もうすぐまとまりそうなのに」といった進行に対するこだわりや安心感の拠り所が揺さぶられるためです。その結果、相手を「場を乱す人」と捉えてしまい、無意識にその前提で接してしまう可能性があります。
こうしたすれ違いを防ぐ鍵の一つが、「事実」と「自分の受け止め方(解釈)」を切り分けて捉えるというアサーティブの基本姿勢です。
上述の例でいえば、
事実: 会議の終盤で新しい提案があった
感情: 自分はそれによって不安や苛立ちを感じた
このように分けて整理することで、相手への伝え方も大きく変わってきます。
たとえば、
「結論が出そうなタイミングで新たな提案があると、議論が振り出しに戻るように感じて、少し不安になります」
と伝えれば、単なる批判ではなく、自分の感情を説明する表現になります。
一方で、
「このタイミングで場を乱さないでください」
という伝え方では、相手にとっては否定的・攻撃的に聞こえるかもしれません。
こうした小さな違いが、組織内の信頼関係や心理的安全性に大きく影響します。
アサーティブなコミュニケーションを身につけることで、価値観やアプローチの異なる相手とも建設的な対話が可能になります。そして、ストレングスファインダー(R)の活用によって、その対話がさらに深く、意味のあるものになっていくのです。

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ストレングスファインダーで変革を促す~対話と多様性を重視し、個々の強みを活かすことで組織全体の成長をサポート~
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。
知識茂雄(チシキシゲオ) ガイアモーレ株式会社提携講師(株式会社ハート・ラボ・ジャパン)

対応エリア | 全国 |
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所在地 | 熊本市 |
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