ストレングスファインダー(R)をマネジメントに活かす その5
今日は、リーダーやマネジャーがストレングスファインダー(R)を活かしてマネジメントを行うために必要なスキルや心構えについて書いてみたいと思います。
チームのメンバーそれぞれがストレングスファインダー(R)で自分や他者の強みを理解したとします。
「よし、それぞれの強みを活かしてうまく組み合わせよう!」と、まるでパズルのピースをはめるように考えてしまいがちですが、実際にはそんなに単純にはいきません。
なぜなら、人間関係には必ず「信頼関係」という土台が必要だからです。
ここが少し難しいところで、強みに着目することで信頼関係が生まれることもあれば、信頼関係があるからこそお互いの強みを認め合える、という側面もあります。
まさに「卵が先か、鶏が先か」という問題ですね。
大切なのは、この二つを同時に意識して進めていくことです。
では、具体的にはどんなことを心がけるとよいでしょうか?
端的に言えば、コーチング的な関わりを持つことです。そしてコーチングの基本は「傾聴」することです。
傾聴という言葉を聞いて、「いや、私はちゃんと聞いてるよ」と思う人もいるかもしれません。
実際、昔の私自身も「聞いてるよ!」と思っていました。でも実は「聞く」と「聴く」には違いがあります。
ただ言葉を耳に入れる「聞く」ではなく、相手の気持ちを理解しようと耳を傾ける「聴く」が大切なのです。
たとえば、あるメンバーが「ちょっと仕事の進め方で悩んでいて…」と話し始めたとします。
その時、つい忙しさや焦りから「要点だけ早く話して!」と急かしたり、「それはこうすればいいんだよ」とすぐにアドバイスしたりしてしまうと、相手は話す気持ちを失ってしまいます。
逆に「うん、話してくれてありがとう。
もう少し詳しく聞かせてくれる?」とじっくり耳を傾けてくれる上司がいたらどうでしょう。
おそらく話す側は「もっと話したい」と自然に思うのではないでしょうか。
私たちは、自分が自由に話せる相手に自然と信頼を寄せるものです。
自分の言葉をじっくり受け止めてくれる相手に対しては、安心感や尊重されている感覚が芽生えますよね。
こうした「傾聴」をさらに深めるために欠かせないのが、「共感」という姿勢です。
ここでの共感は、相手と同じ気持ちになるという意味ではありません。
むしろ、自分とは異なる価値観や感情を持つ相手を「そのまま受け入れ、認める」ということです。
例えば、自分は「スピード感が何より大事」と感じているのに、相手は「じっくり考えて慎重に進めたい」と感じているようなケースです。
この時に「なぜもっと早くできないのか」と自分の価値観を押し付けるのではなく、「慎重にやりたいという気持ちもわかるよ」と、まずは相手の立場に立ってその感情を受け止めるのです。
このように相手をそのまま受け入れる姿勢を持つと、自然と信頼関係が深まっていきます。
ストレングスファインダー(R)は、それぞれの価値観や強みを言語化してくれるツールですから、共感的な理解を深める手助けにもなります。
お互いが異なる価値観や感情を持っていることを理解し、そのまま認め合えるようになると、人間関係は大きく変化します。
つまり、ストレングスファインダー(R)を活用しながら、「傾聴」と「共感」を軸としたコーチング的なコミュニケーションをとることで、メンバー一人ひとりの強みが自然に引き出されていくのです。
私たちがストレングスファインダー(R)の専門家であるだけではなく、同時に「コーチ」という役割を担っているのは、まさにこうしたコーチング的なコミュニケーションがメンバーの強みを引き出す上で非常に効果的だからなのです。

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ストレングスファインダーで変革を促す~対話と多様性を重視し、個々の強みを活かすことで組織全体の成長をサポート~
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。
知識茂雄(チシキシゲオ) ガイアモーレ株式会社提携講師(株式会社ハート・ラボ・ジャパン)

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