ストレングスファインダーをチームビルディングに活かす その2
先日の研修で印象的だったエピソードがもう一つあります。
グループワークでは、たまたまですが、あるグループはメンバー4人中3人が「ポジティブ」上位で、別のグループでは3人が思考系の資質を持ち、そのうちの1人が「分析思考」上位でした。
それぞれのグループの様子を観察していると、資質の違いが生み出す特徴的な動きが見えてきました。
研修では、各メンバーの資質の分布を示す「チームカード」をお渡ししています。
「ポジティブ」グループのメンバーがそのカードを手に取ると、「このあたりが多いよねえ」と指でざっくりと円を描きながら、感覚的にまとめていました。
対照的に、思考系グループの「分析思考」上位のメンバーは、「『責任感』が43%かぁ。半分近くって多いよねぇ」と、具体的な数値に基づいて緻密に分析していました。
こうした行動は無意識のうちに現れたものですが、だからこそその面白さが引き立ちます。
ただ、実際の現場では、このような思考の違いが原因で“面白い”では済まされないすれ違いや誤解が生まれることもあります。
たとえば、同じプロジェクトで「ポジティブ」上位のAさんと「分析思考」上位のBさんが話し合っている場面を考えてみましょう。
Aさん(ポジティブ):「このプロジェクト、まずはざっくり進めてみようよ!いろいろやってみて、きっといい方向に行くよ!」
Bさん(分析思考):「うーん、ちょっと待って。進める前に必要なデータをもう少し確認したいんだ。リスクや具体的な数値も見ながら判断しないと。」
Aさん:「そんな細かいことを気にしていたら前に進まないよ!動きながら学んでいけば大丈夫だって、ポジティブに行こう!」
Bさん:「でも、やっぱり具体的な事実を見て、根拠がある状態で進めた方が効率的だと思うよ。」
このように、「ポジティブ」なAさんは、物事をざっくりと前向きに捉え、行動しながら学びを得るタイプです。
一方で、「分析思考」のBさんは、客観的なデータや事実に基づき、緻密な根拠をもって判断することに価値を置いています。
ここで、Aさんが「分析思考」を理解していないと、Bさんの慎重な姿勢を「ネガティブ」と感じ、意見のすれ違いが起こりやすくなります。
反対に、Bさんが「ポジティブ」の特性を理解していないと、Aさんの楽観的な行動を「軽率」と感じるかもしれません。
こうした異なるアプローチがすれ違いを生むことを防ぐためには、まずお互いの強みの違いを理解し合うことが重要です。
それぞれの視点がチーム内で異なる役割を果たし、強みとして活きると気づくことが、仕事の円滑な進行に繋がります。
たとえば、新製品のキャンペーンを準備する際、初期段階では「ポジティブ」のAさんが活躍する場面が多いかもしれません。
アイデアをたくさん出しながら、失敗を恐れずに試行錯誤し、全体のイメージを形にしていく柔軟さが求められる場面では、Aさんの前向きなエネルギーがプロジェクトの推進力となるのです。
一方、キャンペーンが具体化し、いよいよ実行フェーズに入る段階では、「分析思考」のBさんの視点が不可欠です。予算の配分や数値的な成果予測などが求められる場面では、Bさんの緻密な分析力が効果を発揮し、プロジェクトを成功に導く手助けとなります。
こうして、プロジェクトの進行に伴い、どの場面で誰の強みが役立つのかをチーム全体で理解し、調整しながら進めることで、プロジェクトがスムーズに進むだけでなく、お互いの貢献が引き立つ職場環境を築くことができます。
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ストレングスファインダーで変革を促す~対話と多様性を重視し、個々の強みを活かすことで組織全体の成長をサポート~
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。
知識茂雄(チシキシゲオ) ガイアモーレ株式会社提携講師 株式会社ハート・ラボ・ジャパン
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