強みを活かすマネジメント:部下とのすれ違いを解消する方法
今回は、リーダー、マネジャーが自分の強みを活かしつつ部下の強みを引き出すためにどう関わり、どう自分と部下の違いに折り合いをつければいいかについて書きます。
これまで書いてきたように、リーダー、マネジャー自身がまず自分の強みを自覚しそれを活かすことを意識することが大事です。
一方、部下との適切な関わり方をわかっていないと、自分の強みに特化すればするほど、むしろ部下とのすれ違いは大きくなりかねないという矛盾もあります。
前回書いたストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)の資質で「ポジティブ」寄りの上司と、「慎重さ」寄りの部下の場合で考えてみましょう。
「ポジティブ」寄り上司の強みは、文字通り前向きで楽天的なところです。だからどんなことに対しても、「ま、何とかなる」と考え、前向きに取り組んでいきます。
それをマネジメントに活かすという意味では、過度に失敗を恐れず「取り敢えずやってみよう」と前向きにチャレンジすることを部下に許せるというところでしょう。
一方、ただ「きっと何とかなるから…」と根拠なく言われても、簡単には動けないのが「慎重さ」寄りの人です。だからそういう相手に対しては、ただ自分の強みを野放しにしていては生産的に活かせていることにはなりません。
では、どうするのか?
まずは、その自分とは違う部下の強みに目を向け、それをどう引き出し活かすのかに着目する必要があります。
例えば、時折楽天的過ぎて事前に考え準備することを怠りがちな自分のサポートを依頼するというようなことです。
「自分の指示に対して何か心配なことがあったら、いつでも言ってね!」
というように。
これは、自分の弱みを相手の強みを借りて補うということでもあり、相手の強みを活かすということとのある意味一石二鳥でもありますね。
もっと言えば、多くの人は自分の弱みをさらけ出し頼ってくれる人に信頼を寄せるものです。そして、「ポジティブ」寄りの人は、自分がやらかしそうになったことを他の人が助けてくれた時素直に感謝できる人でもあると思います。
「ありがとう!助かった!」
というのは、相手にとっても何よりの承認ですよね。
そうやって、まずその部下の強みに目を向け、それを引き出し活かしてもらう関わりを続けていくと、実際にその人がその強みを活かし成果を出していくことを目の当たりにしていくことにも繋がります。それにより、さらに部下の強みに目を向けられるようになります。
するとそのうち、場面によっては「慎重さ」寄りの人が思う存分準備する時間を与えてあげようと思えるようにもなるでしょう。つまり、相手の強みを真に理解した上で、それを発揮できる場面を与えるということです。
一方で、そうは言ってもやはりスピード感が求められることもありますね。
次は、そういった場合の「慎重さ」寄りの人の弱みの部分にどう関わり対処していくかです。
「慎重さ」寄りの人は先々で起こり得るリスクを見ています。どんなリスクが存在し、それをどうやって避け、避けられないリスクにどう備えるかを考える時間が必要です。逆に言えば、そういった不安がなくなりさえすれば安心して動けます。
だからまずは、動けていない感がこちらから見て見えるとき、何が不安で動けていないかを聞いてあげることです。その上で、その不安が自分から見てさほど大きなリスクではないと考えられれば、そう伝えてあげることです。
できれば、
「仮にそこでうまくいかなくても、◯◯さんがサポートしてくれるから大丈夫だよ」
みたいに根拠が示せるとなお良いと思います。
もしくは、
「たとえうまくいかなくても、大きな問題ではないし、それより、あなたの経験値が上がることが大事だよね!」
等、それこそ自分のポジティブさを活かした声がけをすることも可能でしょう。
少しはイメージが湧いたでしょうか?
大事なのは、自分と相手がどんな資質を持っていても、自分にしろ、相手にしろ、必ず強みを活かすという目線を先に持ってくるということです。強みを活かすことにフォーカスできれば、弱みに対しても前向きに対処する気持ちになりやすいからです。
それこそがストレングスファインダー®の根本にある考え方です。
- キャリア開発
- リーダーシップ
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
- コミュニケーション
ストレングスファインダーで変革を促す~対話と多様性を重視し、個々の強みを活かすことで組織全体の成長をサポート~
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。
知識茂雄(チシキシゲオ) ガイアモーレ株式会社提携講師 株式会社ハート・ラボ・ジャパン
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