オバマ広島訪問に見た!トップの決断を支えた補佐役の働き
アメリカのオバマ大統領が、広島訪問を決断しました。
現職大統領としては、初の被爆地訪問です。
伊勢志摩サミットにあわせて、5月27日に訪問するとのこと。
今回のオバマ大統領の広島訪問、素直に歓迎したいと思います。
オバマ氏は2009年4月のチェコの首都プラハで「核兵器なき世界」を提唱
した演説で、ノーベル平和賞を受賞しました。
世界一の核兵器保有国のトップの発言自体、とても重い決断でしたが。
その実行に向けて歩みを進めるには、ヒロシマ・ナガサキという実地を訪れ、
資料を見て、人々の話を聴いて、実感を持っていただくことがとても大切です。
アメリカの歴代大統領は、訪日しても被爆地は訪問してきませんでした。
第二次大戦を終わらせるために必要だった、という主張があり。
退役軍人を始めとする訪問反対者が多数存在し。
日本に好感を持たない国々が存在し。
被爆地訪問は、決して容易な道のりではありませんでした。
今回の決断を後押ししたのはケリー国務長官と、ケネディ元大統領の長女ケネディ
駐日米大使でした。今年4月10,11両日に広島で開いた主要7カ国(G7)
外相会合に合わせて平和記念資料館(原爆資料館)などを訪れたケリー氏は、
ワシントンに戻ると、すぐにオバマ氏に広島行きを求めました。
それでも、すぐに広島訪問を決断し、発表するわけには参りません。
中国や韓国から、横やりが入る可能性があります。
北朝鮮は毎週のようにミサイル発射をしており、その動向も見極めなければいけ
ません。核実験までされたのでは、とても核廃棄など言い出すことができません。
国内では、共和党のトランプ候補が支持を集めており、その批判的な言動で
足元をすくわれるリスクもありました。
EUやロシアのことも、考慮しなければいけません。
こうした様々な懸念に対し。
大統領が決断したことを支障なく実行(訪問)できるようにしたことが、補佐役
たちの素晴らしさだと思います。
決断とは、トップだけが決断すればそれでおしまい、ではありません。
これまでの前例に無いこと、利害関係者が多くてウルサイことを決断するのは、
とても勇気が必要です。
補佐役が、トップが決断しやすいように環境を整えることで。
問題点を一つ一つクリアしてゆく「地ならし」をすることで。
トップも、決断がやりやすくなります。
「よし、わかった!あとは俺が引き受ける!」と。
核兵器廃絶という大きな目標に向けて、その歩みを進めるための被爆地訪問。
立場や意見の違いを乗り越えるために必要な決断は、補佐役たちの連係プレーに
よってもたらされたのです。
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高島 徹(タカシマ トオル) 株式会社決断力 代表
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