最初の1週間をデザインする ― 人事の役割はOJTの仕組み化
最初の1週間をデザインする ― 人事の役割はOJTの仕組み化
新採用者あるいは異動者が職場配属後の最初の1週間は、職場への適応と成長の方向性を決める極めて重要な期間です。しかし多くの組織では、この期間の育成を現場任せのOJTに依存しており、結果として「職場の雰囲気になじむ期間」で終わってしまうケースが少なくありません。
その職場の雰囲気も、情報過多で混乱させていたり、指導者のスタイルに左右されて育成の質がばらついたり、本人が「自分が何を、どう担っていけばいいのか」「仕事のコツや勘所は何か」が分からないまま時間が過ぎてしまうことが大半です。最悪の場合は「合わない」、「向いていないのではないか」という気持ちにさせ、離職の要因をつくりだしています。
こうした属人化を防ぐためには、人事が最初の1週間を「設計された期間」として位置づけることです。これにより、指導する側・される側の成長度は大きく変わります。
「設計された期間」とはどのようなものか。
具体的には、まず1日ごとにテーマを設定することが有効です。例えば、
初日は歓迎と安心感を重視し、会社やチームの理解を深める時間にする。
2日目には、部署の業務や人の関わりなど、業務の流れ全体を理解する時間にする。
3日~4日目には簡単な業務体験を組み込み、どのような知識やスキルが必要かを把握する。
5日目には振り返り面談を行うなど、段階的に学びを積み上げる設計をします。
指導者にはこのようなガイドラインを提供し、「どのタイミングで何を伝えるか」を明確にすることで負担を軽減でき、指導者ごとのバラツキも低減します。
また、新配属者にとっては、1つ1つ積みあがっていく感覚があるため、理解がしやすく、確認もしやすくなり、安心感が得られます。
また、毎日の短い振り返りや週ごとの振り返り面談を通じて進捗を見える化すれば、育成の質を安定させることができます。
その振り返りを人事が把握できるよう連携しておけば、課題が見つかればサポートに入ることも可能になります。
OJTは依然として重要な育成手法ですが、最初の1週間だけでも人事が設計と支援を担うことで属人化を防ぎ、育成の質を安定させる方向に促すことが可能です。
新配属者が安心して職場に溶け込み、指導者も負担なく育成を進められる環境づくりのヒントとなれば幸いです。
弊社では、新人や後輩を指導する担当者を育成するための
・人材育成担当者を対象とした「OJT担当者の育成と仕組みづくり」に関するセミナー
・OJT指導担当者対象のセミナー
などをご用意しております。是非ご活用ください。
また、個別のご相談を承っております。お気軽にお問合せください。
このコラムを書いたプロフェッショナル
原田 由美子
代表取締役(人材育成コンサルタント、キャリアコンサルタント/国家資格)
ミドル層(30代~40代)を、組織の5年先のリーダーへ育成することを通じ、組織がお客様や地域社会から「なくてはならない存在」となるお手伝いを致します。
特に、経営層のご意向と現場の実情を鑑み、成果が上げられるよう企画~運営まで対応致します。
原田 由美子
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| 得意分野 | 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、リーダーシップ、マネジメント、チームビルディング |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 所在地 | 横浜市中区 |
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