自己申告制度の有効活用方法
今回は、自己申告制度の活用方法について少し触れてみたいと思います。
昨今の人事制度においては、「フリーエージェント(FA)制度」や「社内公募制」といった、社員が「やりたい仕事」に対して能動的に取り組めるチャンスを与える仕組みを作って運用している企業様もあります。
しかし、こういった制度は誤解を恐れずに言うならば、何百人~1千人以上規模の企業様であって、配置に関して人事担当者が社員一人ひとりに目が行き届かない場合に、手っ取り早く人事異動案を固める一つの手段にしかならないのです。
本来人事は、
「社員が今、ポジティブに勤務できているか」
「会社に対する不満はないか」
「家族や人生設計での悩みはないか」
などを知っておくべき役割も担っています。
そうでなければ、ただの事務担当になってしまいます。
社員が常にモチベーション高く働いてもらうためには、人事は社員の気持ちのデリケートな部分も知り、時には励ましたり相談に乗ったり、必要に応じて経営トップに情報を提供しなければならないのです。
それを理解している人事担当の方であれば、社員一人ひとりの情報をいつの間にか入手しており、わざわざFA制度や社内公募制といった仕組みを作らなくても、会社や社員にとってよりベターな施策を打つことができます。そこまでできる方は稀かもしれません。
そのために、その役割を補完する仕組みが「自己申告制度」なのです。
自己申告制度の書式や内容は各社各様であって構いませんが、本人に申告してもらう上で、以下について項目を設定して質問するのも良いでしょう。
●ポイント1:あなたの将来のキャリアビジョンは?
会社の中でどう自分のキャリアを積んでいくか、「自己実現」するために
会社にどう貢献して行くか、振り返る機会を与えることが大切です。
●ポイント2:そのためのキャリアパスをどう考えるか?
その人のキャリアパスが、会社や人事のニーズに合致していれば、
積極的に配置転換して行くこともできます。
●ポイント3:今、自己啓発していること、今後自己啓発したいことは何か?
社員の多くが必要と感じていることを整理して、今後の研修テーマとして人事が考えて行くことができます。
●ポイント4:会社や職場に関する要望はありますか?
人事の取り組みや職場環境等に関する改善等の要望が多く挙がります。
健康管理や安全衛生管理の改善テーマとして人事が掌握できます。
●ポイント5:家族のことで伝えておきたいことは?
家族を持つ社員の中には、例えば親の介護やお子さんが病弱であったりと、
なかなか人前では話しにくい事情がある方もいます。このような事情のある方を
しっかりとフォローするのも人事の役割です。
このように、これだけとってもいろいろな情報が人事には集まってきます。血の通った会社の風土づくりやコミュニケーションづくりに欠かせない仕組みとして、改めて検討されてはいかがでしょうか?
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山崎製パン㈱、セブンイレブン・ジャパン㈱、「TSUTAYA」FC本部㈱CCC人事部長、社長室長そして㈱ソフトバンクBBの業務企画部長と企業人を20年。独立し、㈱アウトソーシングSR、(社)人事部サポートSRを設立。
藤田 敏克(フジタ トシカツ) 社会保険労務士法人SRグループ 代表
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