パート社員の戦力化 その1
パート社員は、その働く動機で大別すると2つに分かれます。
1つめのパターンは「時間もあるし働いてお小遣いでも稼ごう」程度の動機のパート社員です。
この場合、年収はしっかり扶養の範囲内に収まるように、働く時間を調整します。
2つめのパターンは「生活費の補填のためにどうしても稼がないと」という動機のパート社員です。
この場合は安定収入を求めますので、子育てや家事をうまくやりくりしながら時間をつくり、
できるだけ長く働こうと考えます。
さてここで、最近たびたび目にする「パート社員の正社員化」などの、
いわゆる「パート社員戦力化」について考えてみます。
この「パート社員の戦力化」の対象になるのは、
先ほどのパターン区分でいうと、2つめのパターンのパート社員だけです。
ですから、もし自社でパート社員戦力化のための施策を導入しようとする場合、
「パート社員」を一括りにしてはいけないのです。
というより、社員間での違い以上に働く動機が大きく異なるため、
それを前提にした戦力化の仕組みを考えていくことになります。
では、具体的にどのような仕組みが考えられるのか、
まずは働く動機が違う、つまり仕事に対するマインドが違うことを念頭に置いた給与制度を考えてみましょう。
正社員は能力の差こそあれ、仕事に対するマインドの面で大きな違いはないと思いますが、
このマインドの違いが、その社員の成長度合に大きく影響を与えます。
つまりマインドが高い社員は、たとえ現時点ではスキルが低くても、
経験を重ねるにつれて確実にスキルを習得していくのに対し、
マインドが低い社員はそもそもスキルをつけようという意識がないため、
成長スピードが非常に遅い、あるいはまったく成長しないということになります。
この両者が仮に同じ時給であれば、労働生産性は大きく異なってきます。
このような事実を踏まえた給与のコンセプト、
それは“やったらやっただけ報われる”給与制度となるはずです。
マインドの低く会社貢献度が上がらないパート社員には低い時給、
逆にマインドが高く会社に貢献しているパート社員は時給がアップしていく、
当たり前の仕組みですが、これを評価も含めてしっかり仕組み化されている会社は、
意外に少ないのではないでしょうか。
そうです、ハート社員戦力化のポイントは
「成果主義のメリハリがしっかりついた時給設定」と、
それを支える「明確な評価制度」です。
さらに考えていきます。
安定して仕事を続けていきたいパート社員は、
できれば正社員として働きたいと考えているかもしれません。
またそこまでは考えていなくても、
どうすれば会社に評価されて、より時給をアップできるのかということには、
大きな関心を寄せているはずです。
すると、そのための“道しるべ”があれば、
つまり「会社がパート社員に期待する仕事上の役割」が明示されていれば、
その役割を担えるようにがんばるのです。
パート社員戦力化の3つめのポイント、
それは「会社のパート社員への期待像の明示」です。
この3つのポイントはそれぞれ以下のような関連性があります。
「会社の期待像の明示」→「明確な評価制度」→「メリハリある時給」
次回以降は、この3つのポイントについて説明していきたいと思います。
- 経営戦略・経営管理
- 法改正対策・助成金
- 労務・賃金
- 福利厚生
- 人材採用
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山崎製パン㈱、セブンイレブン・ジャパン㈱、「TSUTAYA」FC本部㈱CCC人事部長、社長室長そして㈱ソフトバンクBBの業務企画部長と企業人を20年。独立し、㈱アウトソーシングSR、(社)人事部サポートSRを設立。
藤田 敏克(フジタ トシカツ) 社会保険労務士法人SRグループ 代表
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