地震災害に伴う労働基準法Q&A
東北・関東大震災よりすでに5日が経過しました。
直接被災された方、被災したクライアントへの対応に向かっている方、
停電など間接的に業務への影響を受けている方など、
様々なご立場があるかと思います。
今回はそうした中で休業を決断される場合の判断材料として、
阪神・淡路大震災の時に出された監督署の見解をお送りします。
<<兵庫県南部地震災害に伴う労働基準法Q&A>>
●休業手当(第26条)
使用者の攻めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、
休業期間中に休業手当(平均賃金の60/100)を支払わなければならない。
【解釈】
天変事変等の不可効力の場合には、使用者の責めに帰すべき事由にあたらず、
使用者に休業手当の支払い義務はない。
不可抗力とは、
(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること
(2)事業主が通常の経営者として、最大の注意を尽くしてもなお避けることの出来ない事故であること
─の2要件を備えたものでなければならない。
今回の地震により、事業所の施設・設備が直接的な被害を受けた場合で労働者を休業させる場合、「使用者の責めに帰すべき事由」となるか?
今回の地震により、事業所の施設・設備は直接的な被害を受けていないが、取引先や鉄道・道路が被害を受けたため、原材料の仕入れ、製品の納入が不能となったため労働者を休業させる場合、「使用者の責めに帰すべき事由」となるか?
事案ごとに、当該取引先への依存の程度、輸送経路の状態、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要がある。
被災地に所在する派遣先事業所が閉鎖となったため、
派遣元事業主が派遣労働者を休業させる場合
他の派遣先への派遣の可能性をも考慮して判断する必要がある。
【休電による休業(昭和26.10.11 基発696号)】
休電による休業については、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による
休業に該当しないから、休業手当を支払わなくても法第26条違反とはならない。
なお休電があっても、必ずしも作業を休止する必要のないような作業部門
例えば作業現場と直接関係のない事務労働部門についてまで作業を休止することは
この限りでないのであるが、現場が休業することによって、
事務労働部門の労働者のみを就業せしめることが企業の経営上著しく不適当と認められるような場合に
事務労働部門について作業を休止させた場合、休業手当を支払わなくても法第26条違反とはならない。
※今回の震災にあたっても、基本的には上記と同じ対応が取られるかと思われますが、「電力不足への節電貢献のための休業(ゲームセンターやパチンコ店など)」といったケースなど、今回の震災で初めて出現した事態を含めて、東北地方太平洋沖地震(東北関東大震災)に係わる労働基準法上の解釈については、後日統一見解が出される予定となっております。
まさに「今」発生している目の前の人事・労務問題に、どのように対処すべきか?
実際の例をご覧いただき、皆様の業務のお役に立てていただければと思います。
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山崎製パン㈱、セブンイレブン・ジャパン㈱、「TSUTAYA」FC本部㈱CCC人事部長、社長室長そして㈱ソフトバンクBBの業務企画部長と企業人を20年。独立し、㈱アウトソーシングSR、(社)人事部サポートSRを設立。
藤田 敏克(フジタ トシカツ) 社会保険労務士法人SRグループ 代表
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