退職金制度変更に伴う既得権
当社では退職金制度の改訂を目指しており、従来の年功的な退職金制度から一般的なポイント制にと考えております。
移行の方法として、ある一定の基準日までの既得金額を算出し、その金額に、新しい制度のポイント制による獲得ポイントにポイント単価を乗じて得た金額を加算することになります。
そこで、既得金額を算出するにあたり問題が発生いたしました。ごく一部の社員の基本給が、従来の給与規則に合致しない数字が当てはめられており、突出した金額であるため当然既得退職金が高額になり他の社員との平等が保たれません。この原因は数年前の人事担当が未熟のため、当該社員の給与を一本表示(通常は基本旧+職能給の基本給部分が退職金の算定基礎金額)し、その金額をそのまま退職金の算定基礎数字として当該社員に提示していたというものです。
このように、就業規則に則らない方法で算出された金額も既得権として守られるのでしょうか。
私個人的には、一本表示した当時の基本給表に照らしあわせて新たに基本給を算出し、既得退職金を再計算したにしても違法にあたらないと考えますが。お考えをお聞かせください。
投稿日:2006/05/31 11:33 ID:QA-0004900
- *****さん
- 東京都/商社(専門)(企業規模 51~100人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
退職金制度変更に伴う既得権
■結論から申し上げますと、誤って提示した退職金の金額は「無効」とすることができます。これは、労働法上の問題ではなく、民法95条に規定されている「錯誤無効」に該当すると思います。
■民法95条では、意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とするとしています。(ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない)錯誤とは、簡単にいえば、勘違いです。
■今回のご相談では、数年前の人事担当が未熟のため、退職金の算定基礎額の算定方法について、思い違いをし、そのまま一部の社員の社員に伝えてしまった。本人の錯誤に、重大な過失があったかどうかは判断しかねますが、正しく説明すれば理解できることなので、「既得権」と呼ぶに値するかどうかも疑わしい程度のことだと思います。
■然し、会社側の過ちには変りありませんので、できるだけ早く、文書ならびに口頭で対象社員に、謝罪と正しい説明を行われることをお勧め致します。
投稿日:2006/05/31 12:58 ID:QA-0004903
相談者より
明快なご回答ありがとうございました。
早速、ご指摘のとおりの対応を検討いたします。
投稿日:2006/05/31 14:00 ID:QA-0032041大変参考になった
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