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『日本の人事部』特別インタビュー 会社の新しい挑戦を支えるために 人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

第一三共株式会社は2025年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」の実現に向けた「転換」に取り組んでいます。ビジョンの実現に向けては、会社の競争力の源泉である人材を強化分野へ配置し、そこで各人がその能力を最大限に発揮することを掲げています。その基礎作りのために同社が導入したのが、インフォテクノスコンサルティング株式会社と株式会社T4Cが提供している「Rosic(ロシック)人材マネジメントシステム」。事業の大変革というタイミングで、同社がこのツールを導入した理由とは何なのか。どういった点が選択の決め手となり、導入したことによって、どのような効果があったのか――。同社の人事部 人事グループ 主査の宮﨑雅也さんにお話をうかがいました。

事業戦略の変革により、人材情報を総合的に把握する必要性を痛感

システム導入に至る以前、貴社が抱えていた課題を教えてください。

社内での人事情報管理に課題を感じていました。ひとつには、基幹ERPシステムはあるもののデータ追加、出力などの自由度が高くないため、人事施策にまつわる各種人材情報がExcel管理となり、さらに担当者の手元で分散管理されていました。また、基幹ERPシステムも柔軟なアクセス権限管理、直感的な使いやすさなどの点で、対応性の限界・制約が大きかった。人事としてはデータを分析する時間、業務に力をもっと入れていきたかったのです。

加えて、第四期中期経営計画(2016-2020)にもあるように、がん事業に注力・シフトしています。がんというまったく異なる領域に挑戦していくにあたって、人事にできることとは何なのか。それは、自社の人材を有効に活用すること、従業員一人ひとりに活躍の機会を提供し、会社全体から見て人材や組織のマネジメントが正しい方向に進むように関わっていくことです。

製薬会社の中には、研究所、工場、営業という異なる組織が存在します。その中で要員計画を考えることは、決して容易ではありません。製品のカテゴリーが変われば求められる要員の専門性も大きく変わるからです。ある製品の売り上げを大きく伸ばしていくとき、新たな要員をどう確保するのか。単なる数合わせの発想ではうまくいきません。一方で、会社の売り上げを支えている製品の要員をどう考えるのか。これまでの事業の拡大・縮小であれば、経験に基づいて配置転換を行えば対応できたかもしれませんが、これからはそうはいきません。大きく事業の方向性が変わっていく今後は、新しい知見が求められてきますし、そこへの対応は待ったなしです。

経営からも、会社の新しい変化に向けて準備をしてほしいという意向があり、人事としては、この機会に、全社の人材に関する情報の把握・管理をシステム化する必要があると判断。まずは、人材に関する総合的なデータベースを構築することになりました。

いわゆる「タレントマネジメントシステム」の導入を目的にしなかった、ということですね。

「タレントマネジメント」というと、サクセッションプランや選抜人事という言葉に代表されるように、上から下りてくるものというイメージがあります。そのことに対して労力を使うことも大切なミッションですが、当社が置かれている状況からすれば、考えるべきなのはボトムアップでした。既に制度や人事評価は存在しており、急いでこれまでにない新しい軸を打ち出す必要があるという状況ではありません。当社には能力や意欲が高い従業員が大勢存在しています。まずは、そうした従業員一人ひとり、特に国内人材がもっと活躍できる状況を作っていくために、散在してしまっている各種情報をしっかりと集約し、人事の活動のよりどころとなるインフラを構築することに主眼を置きました。

国内の人事・人材情報活用がシステム導入のポイント

そのために、Rosic人材マネジメントシステム(以下Rosic)を選ばれたのですね。

宮﨑雅也さん(第一三共株式会社 人事部 人事グループ 主査)

特に重視したのは、時間と料金はもちろんですが、既存の業務システムとの相性の良さとサポート体制です。システムの選定に向けては、さまざまな企業からお話をうかがいました。

しかし、既存の業務やシステムに大きな影響を与えずに、確実に連携できるシステムは、実は多くありませんでした。従業員へのID配布が前提となっているものや、プロセス全体を置き換えることが求められるものがほとんどだったのです。その中でRosicに出合いました。Rosicは、他システムからのデータ取り込みも視野に入れた総合的な人材データの一元化に力を入れており、既存の仕組みを活かして連携していくことに強みを持っていました。その点が大きな魅力のひとつでした。

また、営業担当やコンサルタントの方とお話ししたときに、日本企業の人事業務について理解が深いことに安心感を覚えました。人事データや人事業務に関するイメージが共通しているという感覚を持てたことも、Rosicの導入を決めた大きな要因でした。

既存の業務やシステムとの相性の良さについて、具体的に教えてください。

当社は全社ERPをベースにした人事・給与システムを運用しています。従業員が使うフロントエンドは、パッケージ製品をベースにして自社向けに開発した仕組みを10年以上活用しています。それらを入れ替えるとなると、全社員に大きな影響を与えることになります。その時点では、それぞれの分野で特に問題がありませんでしたから、今まで通り活かしながら、新しいデータベースを構築できることを重視しました。

Rosicは、従業員が使い慣れている既存のフロントエンドの変更を必須としないこと、我々が使っているERPの人事システムとの連携実績を豊富に持っており、既存のデータをより効率的に活用できること、そして人事のデータを自由に追加、管理できることが、選考の決め手となりました。実際にERPの人事システムに蓄積しているデータをRosicにほぼすべて取り入れることができ、我々が思うようにデータを取り出すことができるようになりました。また、社内での人事データ共有においても、Rosicを介することで効率化とセキュリティーの向上に貢献できています。

あえて短期的な「業務の効率化」を前面に出さず、「考え方を変える」ことを重視

現在、Rosicをどのように活用されているのでしょうか。

人事担当者の中で、データを扱って仕事をする必要がある人たちが活用している状況です。実はこれは当初からの方針であり、狙いでもありました。単純に目の前にある業務の工数削減を狙ってシステムを導入するという考え方もあると思いますが、今回の主目的はあくまで、人事内のこれまでの考え方やそのプロセスを変えることです。

もちろん、これまでさまざまな場所にあったデータやExcelファイルを探しにいく手間が大幅に減っていますので、結果として業務効率は上がっています。しかし、本質的な目的は、人事がものを考える際にはデータを活用するという考え方を浸透させていくこと。「既存の業務の効率化」ばかりに焦点を当ててしまうと、「できた・できない」の各論に陥ってしまうリスクがあります。導入の効果を最大限にしていくためにも、システムの展開の動機づけと順番を間違えないように気をつけています。

軸となるデータはあったが、活用できるフレームでなかったのが問題

まずは人事がデータベースを活用することを第一ステップに置いたわけですね。

異動や賞与、報酬、等級など、会社として軸となるデータは既に持っていました。また、個別の評価や人物特性を表すデータも存在していました。しかし、そのデータを十分に活用できるフレームになっていませんでした。そもそも全部データを取り直してデータベースを構築する必要があったら、従業員に新しいシステムのIDを配るしかなかったでしょう。しかし、データは存在しています。ただ、使いやすい形に整理されていなかった、ということです。また、実際に5000人を超える人材のデータベースを整備し始めてみると、思いもよらないところに思いもよらない人事データがあったり、不十分なデータがあることが発見されたりもしました。人事がよりどころにできるインフラを確実に構築したのちに、次の段階に進もうと考えています。

Rosicの導入によって、どのような変化が起こったのでしょうか。

人事内では、何か知りたいことや調べたいことがあれば、Excelファイルを探したり、その内容に頼ったりするのではなく、皆がRosicを見に行くという流れができています。人事関係者が共通のデータを見ながら議論ができるのは重要なことだと思っています。そのうえで、人事の外へも展開し、変化を起こしていきたいと考えています。

今後は、どのようにRosicを活用していこうと考えていますか。

会社の変化に対応できるように、さらにさまざまなデータを蓄積して活用していきたいと思います。そのために、従業員からの情報の収集が確実かつスピーディーにできるRosic Webシステムの導入を視野に入れています。また、データの蓄積がさらに進んでいけば、Rosicが持つ各種のデータ分析機能も積極的に活用していきたいと考えています。

宮﨑雅也さん(第一三共株式会社 人事部 人事グループ 主査)
サポート企業
インフォテクノスコンサルティング株式会社
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株式会社T4C
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この記事ジャンル HRテクノロジー

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