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今、私たちに必要な「毒を吐く練習」

前回のコラムでは「夢を語る練習」が必要であることを書きました。
今回はその逆、「毒を吐く練習」に着目をしたいと思います
私は、この練習も今必要なことであると考えています。
 

一見簡単に思えるが…


文句や恨み言など私たちが言葉にする「毒」も、「夢」と同じくあまり具体化していません。
「うざい」「かったるい」「嫌い」など、いろいろな意味を包含する便利な言葉があるから、つい一言で済ませてしまうのです。

また、こういったマイナスの言葉を口にするのは「良くないこと」であると考える方もいらっしゃいます。
文句も言わずじっと耐え、その毒を体に溜め込んでいくと、毒に対する耐性が出来てしまい、上手く吐き出せなくなってしまうことがあります。

特に、現代の職場では価値観の違う人たちとの協働が求められています。
職場の問題の大部分の問題となっている、人間関係に根付いたマイナスの感情は、なかなか表面に出すことが出来ません。

まず見直してほしいのは、人間関係の毒素の「整理」です。
 

関係の四毒素


好ましくない人間関係について、私たちが出している「毒素」はの以下の四つに大別されると言われています。
(ジョン・ゴッドマン 関係の四毒素)
まずは自分自身を振り返り、どんな反応をしているのか考えてみましょう。
 

1 非難
相手の能力や人格、根本的なものを否定する言葉です。
攻撃的な、強い表現が多くなります。


2 見下し
事実に基づかず、見下したり侮辱したりする言葉です。
「どうせ…」「結局…「本当に…」といった言葉と一緒に出てくることが多いです。


3 防御
前の2つと異なり、自分自身にベクトルを向けた言葉です。
自分は悪くない、といった言い訳の言葉が並びます。


4 逃避
言葉ではありませんが、態度で表される毒素です。
無視したり、わざと反応をそらしたりします。


もし今、関係の悪い人が身近にいたら、ぜひこの4つの視点から自分の思いや態度を整理してみてください。
最初はなかなか言葉が出てこないかもしれません。
口にするのもはばかれる、こんな言葉が自分の中にあることを驚くことがあるかもしれません。
それでも、心の中に浮かぶフレーズをできるだけ口語調の台詞そのままで書いてみるのがコツです。


吐き出した毒素を俯瞰して見る


十分に書き出せたら、それを俯瞰して見てみます。

冷静に考えると、そこまで気にすることではない、過剰に反応していると感じるところがあるかもしれません。
あるいは、言葉を選びさえすれば相手に伝えられることもあるかもしれません。

または、「相手が自分にどんな毒素を出しているのか」を考えてみることも重要です。
相手の認知も、自分の認知も、実は少しずつ事実を歪めていることがあります。
自分は相手とのどんな部分が上手くいっていないのか、それを考えるきっかけになると思います。

攻撃のためではなく、俯瞰のために毒を吐き出す

関係性の問題で良くないのは、何となく気に食わない、何となく不満や負担を感じているという状態が慢性化することです。

私たちは「本音で話せば解決する」と思いがちですが、本音の形をした「毒素」を吐き出すだけではマイナスのサイクルを回すだけの結果になりかねません。
毒素を吐き出してみるのは、相手に攻撃するためではありません。
自分の中にどんな言葉が流れているのか、自分自身の状態を俯瞰するために、的確な毒を出す練習をする必要があるのです。

前回の「夢」と同じくらいこの「毒」が重要なのは、組織の活性化にとって人間関係の悩みは切り離すことができない要素だからです。
ただ溜め込んで我慢する、本音と称して攻撃し合うのではなく、俯瞰して捉えて観察し、新しい意味を見出すことが求められます。


【今回のポイント】
・自分の中にある「毒素」を言葉にし、俯瞰して捉え直す

  • モチベーション・組織活性化
  • コーチング・ファシリテーション
  • チームビルディング
  • コミュニケーション
  • ロジカルシンキング・課題解決

複雑で困難な時代に対応する「しなやかな人材・チームづくり」を支援します

早稲田大学アカデミックソリューションは、早稲田大学の関連会社として、組織の課題に合わせたカリキュラム編成と実践力を養う体験型学習を通じて、複雑で困難な時代に対応する「しなやかな人材・チームづくり」を支援します。

リカレント教育チーム(リカレントキョウイクチーム) 株式会社早稲田大学アカデミックソリューション コンサルタント、早稲田大学紛争交渉研究所招聘研究員

リカレント教育チーム
対応エリア 全国
所在地 新宿区西早稲田

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