世界一の営業パーソンが結果を出すために常に意識しているルール
“営業の神様”と呼ばれギネスブックにも載った男
「セールス記録12年連続世界No.1」の偉業を成し遂げて“営業の神様”と呼ばれた人物をご存知でしょうか。
米国で新車の自動車を15年の間に1万3001台も販売し、ギネスブックにも認定されたジョー・ジラード氏がその人です。
ジョー・ジラード氏は、高校を中退してから40もの職を転々としていたそうです。そして、自動車の販売代理店に勤め始めたのは、なんと35歳とのこと。
営業パーソンとしてすぐに上手くいったわけでもなかったようで、たくさんの壁にぶつかりながら「自分ではどうにもできないことがある」と気づいたのだそうです。
例えば自動車販売においては、代理店の立地であったり、ディーラーの運営方針であったり、そもそも製品のスペックのことなど、売る立場としてどうしても変えられない部分というのが多々あります。
そういった状況下で結果を残すためには、「自分自身を変えるしかない」と思い至ったのだそうです。
営業パーソンが結果を出すためにすべきこと
そしてジョー・ジラード氏は、自分自身を変化させるためのルールを作っていったわけですが、その中の1つに次のようなルールを設定したといいます。
「まずは、相手の話を聴く、そこから始めよう」
彼の書籍「営業の神様」のなかでも、このルールに関して下記の3つがポイントとして書かれていました。
(1) 相手の話を聴く為に口を閉じる
(2) 耳だけでなくカラダ全体で聴く
(3) 相手が話している間、次に自分が話すことを考えるのでなく、とにかく聴く
いかがでしょう。彼がいかに「聴くこと」を重視したのかが分かりますね。
営業パーソンといえば社交的でお喋り好きな人が多いですし、どうしても自社の製品のことを語りたくなるものですから、「とにかく聴く」というのは簡単なようで難しいことなのかも知れません。
聴くということは営業活動に限らない
営業活動に限らず、企業が製品を開発する際にも「お客様の声を聴く」ということが大切だと良く言われています。しかし、分かってはいるけれど、なかなか出来ないものですよね。
この「聴く」ということに、組織的に取り組んでいる企業もあるのですが、それが企業向けのネットワーク製品販売で世界トップを走る「シスコシステムズ」です。
シスコシステムズは1998年に創業14年で株式時価総額1,000億ドル(約10兆円)を突破し、史上最短で成長を遂げた会社です。
そのシスコシステムズの方にお話しを伺った際、「成長の要因の背景に“社訓”がある」と仰っていたのが印象的でした。
シスコシステムズ社の社訓はなにかというと、「LISTEN!」なのだとか。
この「LISTEN!」には、次のような意味が込められているといいます。
・市場の動向や技術の将来性だけにとらわれてはいけない
・企業戦略の方向性を決めるのは顧客である
・だから顧客の声に耳を傾けよう
顧客というのは常に正しいわけではないですから、リスクがないわけではありません。
ただ、少なくとも自分たちだけで考えて顧客との距離が生じてしまうよりもリスクははるかに少ない、とシスコシステムズは考えたのではないでしょうか。
実際にお話しを伺っても徹底した「顧客重視」の発想を持っており、たとえば営業パーソンが集めた声やコールセンターに寄せられた声などを積極的に製品開発に反映させていったといいますから、史上最短で成長を遂げたというのも頷けました。
営業パーソンが「聴く」ことの効果とは
「聴く」ということがいかに大事かお分かりになってきたかと思いますが、実際コミュニケーションが上手な人と会話をすると、話しをさせられるというより「気持ちよく喋ってしまう」という感覚に陥ることがあります。
逆にコミュニケーションが上手とは言えず嫌われてしまう行為としては、人の話の腰を折ってしまうことではないでしょうか。誰でも自分の話を途中で遮られたらいい気持ちはしないですからね。
ユダヤの格言でも「なぜ、耳が2つなのに口は1つなのか? それは、自分のことを話すより、人の話を聴くほうがもっと大切だからだ」というものがあり、昔から多くの人に戒められているのだそうです。
ユダヤ人は「最強の商人」とも呼ばれていましたから、やはり営業パーソンが「話を聴く」ことの重要性というのは古来より言い伝えられているのかも知れませんね。
聴くことの効果として他にも、「学び」という点も挙げられないでしょうか。営業研修に参加している方を見ていますと、真剣に講師の話をしっかり聴いている人ほどその後の成長が早いように感じます。
自分のこれまでの経験と照らし合わせて「それは違うのでは」と斜に構えてしまう方もいるかも知れませんが、やはり講師の話に素直に耳を傾けることも自身の成長のためには重要なのではないでしょうか。
世界は広いですから、自分の価値観だけでしか物事を考えないようになってしまうと、どうしでも視野が狭くならざるを得ません。そうならないためにはやっぱり、素直な心で人の話を聴くことだと思います。
「セールス記録12年連続世界No.1」の偉業を成し遂げた「営業の神様」、ジョー・ジラード氏のように、創業14年で株式時価総額1,000億ドルを突破したシスコシステムズ社のように、ぜひ聴くことを大事にしようじゃありませんか。
聴くことを意識しつつ、日々の営業活動や研修に挑んでいきましょう。
※この記事は『アルヴァスデザインHP メンバーズ・コラム』に掲載された内容を転載しています。
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