デジタルスキル標準に即したDX人材育成(前編)
デジタルスキル標準(DSS)とは?
「デジタルスキル標準」とは、すべてのビジネスパーソンがDXに関するリテラシーを身につけ、変革により行動できるようになるためにIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が立てた指針のことです。Digital Skill Standardsの頭文字を取って、「DSS」と呼ばれることも多いです。
デジタルスキル標準が打ち出された背景には、「現場でDX人材が不足している」「経営層からDX推進を進めてほしいと言われてもうまく進まない」といった課題を多くの企業で抱えていることが挙げられます。こうした現状はデータにも如実に現れており、IPAが発行した「DX白書2023」によると、約90%の企業がDX人材の量、質が不足していると回答しています。
現状の課題を解決し、DXを実現するために重要なことは以下の2つが挙げられます。
- 経営層を含め、全社員がDXへの理解がある状態にする
- DXを推進できる専門性をもった人材がいる状態にする
こうした状態を各企業が実現するためのロードマップになっているのが、今回発表されたデジタルスキル標準であると言えます。
デジタルスキル標準の分類
デジタルスキル標準は、企業が段階的にDX化を進められるように、「DXリテラシー標準」と「DXスキル標準」の2つを定義しています。
◆DXリテラシー標準
DXリテラシー標準では、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準を定めています。これは、「上述した経営層を含め、全社員がDXへの理解がある状態にする」ことに対応しています。
これまでは、ITに関する知識やスキルは専門領域と考えられていて、エンジニアやITに関わる部門以外の職種では必要ないと考えられていました。しかし、新型コロナウイルスの流行に伴うテレワークの発達や働き方改革のもと、今や全社員が基本的なITに関する知識やスキルを身につけ、自分事として考える必要があるのです。
◆DXリテラシー標準で定義されているスキル・知識
DXリテラシー標準では、以下の4つに分類してスキル・知識を身につけることを目標としています。
- DXの背景(Why)
社会の変化、顧客価値の変化、競争環境の変化など、IT技術の発達に伴い様々なことが日々変化しています。こうした変化にいち早く対応し、なぜデジタルスキルを身につけていかなければならないのかを理解することで、DX化をより効果的に進めることができます。
- DXで活用されるデータ・技術(What)
IT技術が発達したことで、社会における様々なデータを扱う機会に遭遇することとなります。データを読み、説明するスキル、大量のデータを扱うスキル、さらにはデータによって判断するスキルが要求されます。また、データに関連して、これらを扱うAIやクラウド、ハードウェア/ソフトウェア、ネットワークの知識などのデジタル技術も身につける必要があります。
- データ・技術の利活用(How)
学んだ知識や得られたスキルを業務に活用できなければ、DX化が成功したとは言えません。データ/デジタル技術の活用事例を学ぶことはもちろん、実際に社内で活用しているツールを利用することも挙げられます。また、こうしたツールなどを活用する上で、セキュリティ、モラル、コンプライアンスに関する知識を持つことも重要です。
- マインド・スタンス
1.~3.で挙げられた内容を支える土台になるのが、マインド・スタンスの項目になります。DXという新しいことにチャレンジする上で、どういったマインド・スタンスで臨むのかで、せっかく進めたDX化の効果があまり得られなかったり、逆に思わぬところで大きな効果を挙げられたりする可能性があります。
- 資格取得
- 情報システム・IT関連
幅広い分野のIT知識をもつ講師
大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学での講演など産学連携活動にも従事。さまざまな企業や業界団体と共同でIT人材を育成するIT分野のゼネラリスト。ECHONET2.0技術セミナーWGの委員。
有村 克己(アリムラカツミ) インターネット・アカデミー株式会社 講師
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