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なぜ部下は炎上してから報告をあげてくるのか

部下からの報告に
(それ、もっと早く言ってよ………)
と感じたこと、ありませんか。

危険度が高い案件であることは明らかなのに、どうしてすぐに連絡をしてこないのか。
なぜ大事になってから報告を上げてくるのか。
あなたが人事責任者であれば、何度も経験しているかもしれません。

人事責任者の “報告を上げてほしいタイミング” と部下の “報告が必要と考えるタイ
ミング” にはズレがあります。この問題を回避するためには “報告を上げてほしいタ
イミング”を具体的に部下へ伝えておかなければなりません。
“どのようなタイミングで”、“どのような条件を満たしたときに”、報告を上げるべき
か。これらの基準を言語化し共有することで、はじめて部下にも正しい対応が可能とな
ります。

また、このようなズレが原因で大きな問題へ発展することもあります。
特にメンタルヘルスの問題では初期対応がリスクを左右するといっても過言ではありま
せん。以下のような特徴がある場合にはなおさらです。

1:会社側に明らかな過失要因が存在する
ハラスメント(パワハラ・セクハラ)や長時間残業に該当する案件は、それだけでリ
スクが高いと判断できます。もし従業員が「自分のメンタル不調の要因は会社側の対
応によるものである」と主張した場合、否定するのは困難です。

2:不調者本人に会社への対立姿勢が認められる
「労働組合に駆け込む」、「弁護士に相談する」、「裁判に訴える」などの発言があ
った場合も、“そういう発言があった事実”自体が、今後トラブルに発展する可能性
を示唆しています。(現状のトラブル有無に関わらず)より慎重な対応が求められます。

人事責任者にとっては、1,2どちらも対応が後手にならないよう、すぐに報告を上げ
てほしい案件です。しかし部下にとっては(1,2のような事実を認識していても)ま
だトラブルになっていない状態では、“すぐに報告する必要はない”案件なのです。

さらに、案件によってはトラブルを防ぐために“特別な対応”が求められる場合もあり
ます。しかし部下には権限がありません。そのため通常の対応を行い、結果として“ト
ラブルに発展してから報告してくる”という事態に陥ってしまうのです。

人事責任者は部下に対して「トラブルが起きてからではなく、1,2のような事実を認
識した時点で報告をあげること」をしっかり伝えておく必要があります。
同時に、部下からの報告に対して『いちいちそんな報告をあげてくるな』等の“ネガテ
ィブなフィードバックは厳禁”というのも重要なポイントです。

これまで「過去に部下から早めに相談を受けたが、効果的なアドバイスができず、結局
トラブルになってしまった…」という経験をされた方や、「相談を受けても具体的にど
う指示すればよいか分からない…」と感じた方もいるかもしれません。
メンタルヘルス問題の高リスク案件には、今回のポイント以外にも「状況把握がまった
く出来ていない」「人事責任者にも危険度が低く見えているが、メンタルヘルス対応の
専門家から見ると危険度が高い」等、様々なケースがあります。
メンタルヘルス問題は個別性が高いため、あるケースでは最善の対応方法が別のケース
では最悪の対応方法になってしまう、という怖さがあります。そのためメルマガでの踏
み込んだ対応方法についての解説は控えております。ご了承ください。

実際の案件では、“対応の困難さ”と“企業リスクの高さ”は必ずしも一致しません。
そのため、今回のような視点を現場と共有し、報告の基準を共有しておくことが重要と
言えるでしょう。

(エグゼクティブコラボレーター  島倉大)

  • 安全衛生・メンタルヘルス
  • その他

公認心理師/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント/二級FP技能士
【専門領域】産業精神保健、認知行動療法、ストレスマネジメント

臨床心理専攻。専門学校で学生の心理及びキャリア相談を担当。EAP事業会社にて、カウンセリング部長として企業のメンタルヘルス全般をサポート。約2000件の従業員への臨床に携わる。外資系会社から商社、組合・公務員団体等多岐にわたる研修を実施。

島倉 大(シマクラ ダイ) エグゼクティブコラボレータ―

島倉 大
対応エリア 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)
所在地 渋谷区

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