「就活に、IR情報は有益か?」
先月24日、当社では「就活に、IR情報は有益か?」というタイトルで、就活生と上場企業の採用担当者、IR担当者をお招きしてシンポジウムを実施しました。
もともと私は「Student Relations(略称:SR)」という概念を打ち出し、就活期間に限定しない企業と学生のコミュニケーションインフラ構築を模索していました。
その実現の一歩として、実際に企業の「IR情報」が学生にどのように受け止められるか?また企業の採用担当者がどうすれば「IR情報」を活用できるのか?を把握するために、ある種テストマーケティングの一環として本シンポジウムは実施されました。
実施までの背景をお伝えすると、上記の「SR」を何とか形にしたいと考えているプロセスで、多くの方にその話をお伝えしていたところ、複数の方から協力を得られることが出来たのと、「IR就活」という書籍の存在を知ったからです。
●「IR就活」
●「ごくフツーの大学生が、企業のIR情報で就活をしたら」
先日この書籍の著者ともお会いする機会をいただき、私の考え方に賛同していただいたことが私の背中を押してくれました。
この場を借りて、協力いただいた全ての皆様、シンポジウムにご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
さて、なぜ学生(就活生)に対して「IR情報」なのかについて触れたいと思います。
そもそも「IR情報」とは、主に上場企業が個人投資家や機関投資家に対して自社の価値をより理解してもらうためのコミュニケーション活動です。
法規制に基づき、公正公平な情報を投資家に対して伝えることが義務付けられていますので、多くの事実情報・客観情報が公開されます。
一方「採用情報」は、どちらかというと主観情報が中心で、受け手である学生が判断しにくいという課題があり、結果的に知名度のある企業が有利になる傾向があります。
私は以前より、投資家が自身の資金を投資する判断材料に「IR情報」を活用しているのに、学生が就活であまり「IR情報」が活用されていないことに疑問を感じていました。
一部の企業では、就活生に自社の「IR情報」を積極的に閲覧するよう打診しているのですが、商学部などの一定の属性の学生にしか理解を得られなかったのが現状のようです。
また「IR情報」は、当たり前ですが「IR担当者」の領域であり、人事・採用担当の領域ではないこともあり、採用活動であまり「IR情報」が全面に出るケースが少ないのです。
「IR情報」というツールを活用して、採用と就職を行ったとしたらどうなるか?いつしか私はそんなことを考え始めたのです。
今回のシンポジウムである程度分かったことがあります。
結論から言うと、「IR情報」は企業の採用にあるいは学生の就職にある一定の効果を発揮しうるツールであるということです。
学生のアンケートを見る限り、「難しさはあるけどある程度理解が出来た」「通常の会社説明会よりも楽しめた」といった意見も多く、採用情報だけでは得られない企業の情報を学生も得られたようです。
事実とある上場企業さんに、個人投資家向けのプレゼンテーション(あえて学生視点にカスタマイズしないで)をしてもらったのですが、その後の質問の質には目を見張るものがありました。
そこには私の知る一般的な会社説明会後の光景はなく、まさに個人投資家が「IR情報」を基に鋭くえぐるような質問が展開されたのです。
提供する情報の質で、これだけ企業の見方が変わるのかと正直驚きました。
一方企業の採用担当者の皆さんも「IR情報」を活用した採用広報に一定の理解と賛同を得ることが出来ました。
ただ現実的には本当に一般の学生にも伝わるのか?自分たちに「IR情報」を活用したプレゼンテーションが出来るのか?といった不安もあるようです。
問題はここからです。
今後当社で、採用担当者と学生を「IR」でつなぐための仕組み作りに取り組みます。
ある程度の目安が立ちましたら改めてリリースさせていただきますが、ひょっとすると「IR」が採用と就職を大きく変えかもしれません。
乞うご期待ください!
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下薗 博康(シモゾノ ヒロヤス) 株式会社キーカンパニー 代表取締役
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