デジタル世代の新人育成のヒント(2)
ゆとり世代の特徴について考えてみましょう。皆さんの会社の若手にどのくらい当てはまるでしょうか?
ゆとり世代とは、よく知られているように文科省が推進した”ゆとり教育”によって育てられた世代を指します。ゆとり世代の特徴は様々言われていますが、およその私の理解は次の通りです。
■ 気に入った仲間以外とはコミュニケーションを取ろうとしない
■ 言われたことはやるが、それ以上は手を出さない
■ 楽してきれいに結果を出したい
■ 打たれ弱い
■ 周りのことへの関心が薄く、自分の成長には強い関心がある
この世代が社会人として企業に入社を始めたのが2010年前後です。2008年には早くも朝日新聞社から「職場を悩ますゆとり社員の処方箋」が出ています。ゆとり教育はその目的でもある「ゆとり(時間)」を生み出し、生活習慣に変化を生み出しました。そしてそれは週休2日制の学校への導入と相まって、大幅な自由時間の増加につながりました。その時間を使って本来社会的な活動への参加を促し、生きる力を養うはずだったのですが、実際には授業時間の減少を補おうとする親の意志と流行し始めたテレビゲームが時間を奪っていったのです。学校という小さい社会にいる時間を削った代わりに、塾やゲームのような個人的な活動に時間が配分されるようになったとも言えるでしょう。
ゆとり教育の是非については様々な議論がありますが、現在、会社の中で問題視されるゆとり世代の傾向は、教育内容によるものというよりはではなく、教育環境の変化によるものと考えることができそうです。加えて、この間に世代を分断するような”デジタル”と”アナログ”の分岐点と言うべき変化が起きていました。ちょうどゆとり世代が育ってきた2000年前後にインターネットが普及し、自動改札機や携帯電話が普及してきたのです。ゆとり世代は、IT革命の中で育ってきた”デジタル世代”なのです。これまでの「ゆとり世代」の特徴を、ゆとり教育による時間的余裕とIT革命による生活の利便性向上によって育まれてきた「デジタル世代」として再定義し、それ以前の環境で育った「アナログ世代」と比較して、世代間の思考パターンの違いや、その違いにからくる育成上の課題を明らかにしていきましょう。
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中西 真人(ナカニシ マサト) 株式会社M&RConsulting
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