今年の新卒採用は本当に採りづらいのか
いよいよ3月1日から主要新卒向け就職サイトがオープンし、16年度新卒採用が本格スタートします。ご存知のように、インターンシップの名のもとに既に母集団確保を行い、実質的なセミナー・説明会を開始している企業も少なくはありません。外資系や一部ベンチャー企業ではいち早く内内定を出し始めたなどの噂話も出回っています。
しかし、多くの企業にとっては3月からが本当のスタートになることは間違いないでしょう。先日、新聞の調査で16年度大卒採用において、「採用目標が達成できない」と考える企業が半数に迫るとの記事が出ていました。16年度採用は大幅なスケジュール変更により、先が見通せないのは確かです。またそう考える企業の多くは中堅中小企業のようです。
企業が「採用できないのでは」と考える理由は下記が多いようです。
・実質の採用活動期間が短くなる
・大卒求人倍率もまた上がりそうだ
・大手企業の採用活動時期と同じ土俵で戦わざるを得ず、大手に持って行かれそう
これらは確かに否定できるものではありません。だからと言って本当に企業は採用できないのでしょうか。
大変失礼な言い方になりますが、上記の理由は採用担当者の言い訳に使われるような気がしてなりません。活動期間が短くなるのは事実ですが、今まで1年中真剣に採用活動をしていた企業がどれほどあるのか。私の知る限りでは、1割もないでしょう。求人倍率も下がりそうにはないですが、昨年の倍になるわけではありません。大手と同時期に活動するケースも増えるでしょうが、そもそも学生のほとんどが大手企業を志向しているわけではありませんし、多くの学生は結果、大手には就職できていません。
確かに昨年同様の採用活動を新たな工夫もなく、行えば昨年より良い結果は得られないでしょう。しかし、採用活動に全社で真摯に取り組み、細かな工夫を凝らしていけば、各社満足いく採用結果は充分に得られるはずです。
そのためには「新卒採用活動を再度一生懸命考える」ことが重要ではないでしょうか。自社のアピールポイントは学生に届いているのか、説明会の内容が学生の知りたいものになっているのか、より学生を惹きつけ、学生の本質を見抜く選考手法になっているか・・・・。考え出せば、キリがないくらいそのテーマはあります。
それも採用担当者だけが考えるのではなく、会社全体が経営の一環として取り組むことが重要でしょう。社長以下経営陣が採用活動への意識を高めることや新入社員や若手社員にも協力を得、一緒になって採用活動を作り上げていく。これができる企業は間違いなく今年でも採用に成功するでしょう。
担当者に任せっきりで、結果にだけ口をはさむ経営者や必要と思われる予算を削ったりするトップがおられる企業は、失敗しても文句は言えないかもしれません。また時期が短くなったからと手間を惜しみ、母集団形成から選考過程や内定後フォローを簡素化する企業も危ないかもしれません。
大卒の就職が好転していると言われた昨年でも20万人もの大卒者が就職していません。今年の3月卒の学生でも10万人以上がそうなることは間違いないでしょう。「採用できる学生がいない」わけではないのです。
学生一人一人に個別の良さがあるのと同じように、企業一社一社にも他社とは異なる良さがあります。このマッチングがスムースに進めば、多くの企業で満足した採用が実現できるはずです。
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リクルート社での人事・営業経験を基に各社のニーズに合った細かいコンサルが可能です。また現役就活コンサルなので、今の学生事情に精通しています。
リクルート社で13年、同社退職後15年、一貫して人材ビジネスに携わっています。
リクルート時代は自社の採用や教育を担当。また各クライアントの採用・教育の提案、コンサルティングは、一部上場企業からベンチャーまで500社以上を担当しました。
高山 紳二(タカヤマ シンジ) シニアコンサルタント
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