部下を主体的にする魔法の言葉
部下がもっと主体的に仕事するにはどうしたらよいのかと頭を悩ませることはありませんか?
部下がもっと主体的になれば、チームの生産性が上がります。
上司の負担が減り、上司はもっと大切な業務に集中できるようになります。
ただ、残念ながら部下はなかなか主体的に仕事をしてくれません。
実は、部下が主体的に仕事に向き合うようになる上司の「かかわり方」があります。
私が以前所属したリクルートという会社は、社員の主体性がかなり高い組織でした。
私は、その会社で3名のマネージャーと仕事をしましたが、どの上司も皆このかかわりを実践していました。
そのマネジメントにおけるかかわり方が社員の主体性を高めている主要な要因だと考えられるのです。
この記事では、そのリクルートのマネジメントにおいて実践されていた上司のかかわり方をご紹介します。
記事を読み終えると、部下とのかかわり方を見つめ直す機会になるとともに、今後のマネジメントにすぐに活かしていただけるヒントを得ていただけるでしょう。
■部下が主体的になるメリット
部下が主体的になると、生産性が上がります。
自分の頭で、もっと成果を上げるにはどうしたらよいのか、改善できないかを考えだします。考えるだけではなく具体的に行動します。
頭で考えるだけの社員は結構いるのですが、行動に移して変えていくところまでする社員は少数です。
なぜ、そこまでしないのかというと、「自分には無関係だ」と思い、「しない方が楽だから」といって、行動をしないのです。それは決して珍しいことではないでしょう。
しかし、主体的な社員はそうではありません。
主体的な社員は、会社のために仕事をしていると考えません、自分のために仕事をしているのです。
自分のやりがいや成長につながったり、組織やチームへの貢献により喜びを感じたりすることが動機になります。
仕事を会社に命令されてやっている、お金のためだけに働いていると言う人と比べ圧倒的なパフォーマンスの差が生じることにご納得いただけるでしょう。
また部下が主体的になれば、上司の負担は大きく減ります。
指示待ちの部下だとあれもこれも指示を出さなければいけません。部下が暇な状態にならないように、十分な仕事をこちらで用意して上げなければいけません。
また仕事を用意する必要があるだけじゃなく、仕事の進捗や出来具合を細かくチェックする必要がでてきます。
指示が抽象的だったり、指示に抜け漏れがあれば、アウトプットはそのまま低い質のものが上がってきます。
そこで、チェックシートを作成したり、細かい管理体制を整えて対処療法的に状況を改善しようとします。
このような管理体制の強化は、導入は簡単なのですが、止めるのは難しいです。そして、管理の仕組みを作るのが管理職の仕事だと考えているマネージャーは、どんどんルールを作って行きます。
すると、チェックなどの業務量が増え、生産性が落ちていく上に、上司も部下も窮屈な職場だと感じていくでしょう。ルールに縛られると人の主体性は失われ、活気のないチームになってしまうと悪影響もあります。
しかも、残念なことにそこまでやっているのに、不思議なことに部下のミスはなくならないのです。
最後に社員が主体的になるメリットとして、主体的な社員はそうではない社員と比べて、成長スピードが段違いに速いということが挙げられます。
日々の業務の中で、経験することを成長の機会、学習の機会と捉え、その機会でもって自らを成長させていきます。
これも部下が主体的になることによってもたらされる非常に大きなメリットです。
■リクルートで経験した部下を主体的にするマネジメント
部下の主体性を向上させる非常に有効な上司のかかわり方があります。
それは、部下に「それで君はどう思っているのか」、「どうしたいと考えているのか」を尋ねることです。
業務をしていると部下から、報告や相談を受けることがあります。
その報告や相談を受けた際に、すぐに自分の考えを伝える上司の方が多いのではないでしょうか。
「こうする方がいいと思うよ」「その件は、こういった感じに処理しておいて」といったように指示やアドバイスをしていませんか?
本日お伝えしたいのは、部下の主体性を向上させたいのであれば、まず、「その状況に対してどう思っているのか」「それで、君はどうしたいのか」と部下の考えに対して問いかけをすることが大切だということです。
このような問いかけをされると、部下は考えだします。
部下が自分で、どうしたらよいのかを考え、いくつかの選択しの中から決定するようになります。
このかかわりでのマネジメントがうまく進んでいくと部下の報告や相談に来るときの発言が明確に変化してきます。
最初は、「○○ということがありました、どうしたらよろしいですか?」という風に聞いてきていたのが、「○○ということがありました、△△するのが良いかと思うのですが、△△してもよろしいでしょうか?」といった風に質問するようになれば、主体的になってきているというサインです。
また、「それで君はどうしたい?」と聞かれるのに対して、自分のやりたいことを上司に伝えて、それを上司が支持してくれれば、やりがいを持って部下は取り組むでしょう。
なぜなら、命令されたことではなく、自分で考えて提案したことだからです。
また、「それで君はどうしたい?」と聞かれると、自分の意見を求められた部下は、自分を尊重されているように感じ、うれしく思います。
尊重され、自分の居場所があると感じると、その自分の居場所である所属組織にどうやって貢献しようかと考えだすのです。
しかし、部下の考えを聞いて、それが見当外れだったらどうするのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
安心していただきたいのは、往々にして、現場で日々業務にあたっている社員の言葉は、的を射ていることが多いです。
もちろん、明らかに的が外れていたり、思慮が不足しているように感じることがあれば、一緒に考えるような問いかけをすれば良いかと思います。
「どうしてそう思うのか」「こういった考えについてはどう思うか」といった関わりを行い、新たな視点や気づきを与えられるような関わりをするのです。
(※※注※※)
部下との適切な関わり方、マネジメントの仕方というのは、部下の経験や能力、成熟度によって異なります。
1年目の社員など、経験値が少ない部下に対しては、上記のようなマネジメントは適切ではないこともあります。
しかし、まだ早いかなと思うぐらいでも、部下の能力を信用して、部下主体のかかわりをしてみてください。
それをきっかけに一気に成長することも、よく見受けられます。
また、心理的安全性の低い職場などでは、「どうしたい?」と聞いても部下が答えないことがよくあります。また、上司の顔色を伺ったような発言をし、本心ではないこともよくあります。
心理的安全性は、土台となるものです。そのような職場だと思われる場合は、まず心理的安全性を高めるところから始められる方が良いかと思います。
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課題の打ち合わせから、カスタマイズ、研修の実施、研修後のフォローまで、一貫して担当いたします。一緒に「ヒトが育つチーム」を実現しましょう!
リクルートや教育・研修会社を経て独立。MITスローン経営大学院のシャイン博士やハーバードビジネススクールのエドモンドソン教授などの理論をもとに、実効性の高い研修やコンサルティングを展開。【保有資格】中小企業診断士・キャリアコンサルタント
木下 洋平(キノシタ ヨウヘイ) ミライオン 代表
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