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障がい者社員の自主性を高めるには

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障がい者社員の自主性を高めるには
~障害者雇用率の段階的引き上げに伴う課題対策の視点から~

_____________________________________

今年1月に厚生労働省から企業の障害者雇用率の段階的引き上げが発表されました。
今年2023年度の2.3%から2024年度は2.5%、2026年度には2.7%となるにあたり、障がい者の採用計画とともに採用後の職場受入れにおける課題の声
も耳にします。

「現時点では上手くいっているが、これ以上増えると管理者の手が回らなくなる」
「新しく受入れ先となる職場を開拓しなければならない」
「これ以上、人数分の定型業務を用意することは難しい」 等々。

長い目で今後の障害者雇用について考えた場合、こうした受入れにおける課題対策の一つに「在籍障がい者社員の自主性向上(スキルアップ)」が
あげられます。
指示をされる前に率先して動ける自主性を高めることは、職場側の負荷を軽減するのみならず、本人の活躍する場を広げることにもつながります。
今回のメルマガでは、障がい者社員の自主性向上に取り組む時の進め方についてご紹介します。

最初に整理しておきたいのは、職場や人事にとっての自主性向上の目的です。
「なぜ自主性向上に取り組む必要があるのか」、「自主性が高まった結果、何を期待したいのか」です。
例えば、
「雇用者数増員にあたり受入れの職場を開拓する必要がある。
その対策として障がい者受入れ経験のない職場には安定就業している在籍者の異動を検討している。
そのため、異動後も引き続き安定就業を維持できるように自主性を高めたい。」
などです。
このように目的を明確にすると、「誰に対して」「どのような自主性を高めたいのか」という次の具体的な視点も見えてきます。またその際に、抱えている疾患
や障がいによって、“支援や配慮が必要なこと”が存在するということを踏まえて検討することも重要です。
技術の高さを評価して、自ら情報収集できるように会議出席を求めた途端、パニックに陥り体調を崩してしまったという例があります。
これは「対人場面における著しい課題」を抱えていたことが背景にあった例ですが、このような双方にとって残念な結果に繋げないためにも障がい、疾患への
理解をもって進めることは重要になります。

次は、対象となる障がい者社員への目的等の説明です。
「なぜこの課題を、あなたに取り組んでほしいのか」という職場や人事の考えを伝えていきますが、ここでも抱えている疾患や障がいを理解して説明することが
大切になります。
まず、「相手の理解しやすい言葉、表現を用いた説明」であること。
そして「不要な不安、プレッシャーをかけない配慮をもった説明」であること。
障がいによっては、理解しやすい言葉や一度に聞き取れる文章量、抽象的表現等に配慮が必要なこともあります。
「説明して理解を得られた」と思っていたら、実は半分位認識がずれていたということを防ぐためにも「理解しやすい言葉、表現を用いた説明」を心がけておく
必要があります。
また、障がいや疾患によって過度な不安、プレッシャー等を抱えやすい方もいます。「自分にできるだろうか」「できなかったら辞めさせられてしまうのか」等々、
説明後に大きな不安にまで発展してしまい、始まる前に一杯一杯になってしまうことも起こりがちです。
不安は、先の見通しが立たない場合に起きやすい為、できる限り小さなステップに分けて説明しながら、「それなら大丈夫かも」という意思を確認しながら
進めていく工夫も一つです。

そして目的の共有認識を確認した上で、自主性向上に向けた取り組みに入ります。
ここで大切なのは、現在の自主性課題を作り出している背景要因の整理です。同じ自主性課題でも、課題の背景要因は一人一人異なります。経験や
能力、コミュニケーションスキルや知識等に加え、抱えている障がい・疾患の視点からの要因整理も大切になります。
また実施にあたっては、対象者の理解や習得状況に合わせた進め方(個人面談や同じ課題をもった少人数グループワーク等)を検討していきます。

「自主性向上の目的及び、誰がどのような自主性向上に取り組むのかを整理」し、「対象者に説明」し、「実施する」というプロセスをお話ししましたが、
どの工程にも共通して大切なことは“障がい、疾患を理解して進める”ことです。
これらは専門的知識も必要とするため、職場内外の専門家と連携しながら実施することをお勧めします。

 


  
      (コラボレーター 横山 弓子)

  • 安全衛生・メンタルヘルス
  • その他

公認心理師/臨床心理士/キャリアコンサルタント/GCDF-Japanキャリアカウンセラー
【専門領域】産業精神保健、認知行動療法

人材サービス業界にて、紹介・請負・派遣事業に従事。その後、行政機関でのキャリアカウンセリング、大学での心理相談、EAPでの復職支援・心理カウンセリング・企業内ストレスチェック運営に携わる。現職では復職支援、メンタル不調者面談を担当。

横山 弓子(ヨコヤマ ユミコ) コラボレーター

横山 弓子
対応エリア 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)
所在地 渋谷区

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