【障がい者雇用】企業が抱える課題と求められる対応について⑩
この4月1日より「障害者差別解消法」および「改正障害者雇用促進法」が施行されました。
民間企業においても、障がい者に対して「不当な差別的取扱い」は禁止され、
過度な負担のない範囲で「必要かつ合理的な配慮」を行うことが求められます。
前回のコラムでは、障がい者雇用の従業員に不調が見られた場合の
「現状把握」についてお伝えしました。
この現状把握を「誰が行うか」によって、立ち位置の違いから得られる情報の偏りが出てきます。
現在、多くの企業で行われている、障がい者雇用の体制では、
①企業の人事、②本人支援の専門家(ジョブコーチ、就労移行支援機関など)が
本人や現場管理職からヒアリングされると思います。
企業の人事は、安全配慮や雇用継続の観点から
「障がいや病気が悪化しないか」「現状の業務を継続させられるか」ということを把握して、
休職・異動・解雇など、現状の問題を改善するための環境調整を行うことが多いかと思います。
一方で、本人支援の専門家は、従業員本人の職場定着の観点から
「障がいの特性や病気の症状から、対応が難しいこと(苦手なこと)は何か」ということを把握して、
業務改善や現場管理職の配慮について、アドバイスすることが多いかと思います。
多くのケースが、会社側と本人支援機関側との観点の違いから
障がい者雇用支援の方向性にギャップが生じ
結果として、離職率が高い、パフォーマンスが悪い従業員を雇用し続けるなど
障がい者の職場定着が上手くいかないといった課題を抱えているように思われます。
このコラムでは、全10回にわたり、障がい者雇用における、企業の皆様が抱える現状の課題と
今後求められる対応について、お伝えしてきました。
来年度も引き続き、障がい者雇用にまつわるテーマで、コラムを配信していきたいと思います。
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内容詳細は、下記の関連セミナーをご覧ください。
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公認心理師/臨床心理士/シニア産業カウンセラー
【専門領域】障がい者雇用の企業支援、精神障がい者の採用・定着・育成支援
精神科・心療内科クリニックにて、医師との協働で会社員のメンタルヘルス相談等に関与。EAP事業会社にて企業のメンタルヘルス支援に従事。現在は、企業の人事部門に対する障がい者雇用のコンサルテーション、精神障がい者の現場管理職・本人支援を実施。
諏訪 裕子(スワ ユウコ) シニアコラボレータ―
対応エリア | 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県) |
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所在地 | 渋谷区 |