はじめての産業医選任!探し方と相場の基本
はじめて産業医を選任するとき、「どうやって探したらいいの?」「いくらくらいかかるの?」など、知らないことばかりでお困りの担当者も多いのではないでしょうか。
ここでは、産業医の役割から、探し方や相場感までわかりやすく解説していきます。
産業医とは?職場での役割
産業医とは、職場で従業員が安全に、快適に仕事をすることができるように、専門的な立場から指導、助言する医師です。「職場における健康管理のアドバイザー」とも言えます。50人以上の従業員がいる事業場には、産業医の選任が法律で義務付けられています。
※「50人以上」とはパートやアルバイト、派遣社員なども含む。
※「事業場」とは、同じ場所で関連する組織的な作業をする場所の単位。同じ会社であっても、支店、支社、店舗ごとに1事業場となる。
会社に産業医がいるメリットは主に3つあります。
- 労働者の健康保持・増進を図り、労働と健康の両立に向けた取り組みができる
- 従業員が安全かつ快適に仕事ができる環境整備について専門的視点から助言をもらえる
- 衛生教育や健康指導を通じて職場全体の健康意識が向上する
なお、医師であれば誰でも産業医になれるわけではなく、産業医の要件は、労働安全衛生規則第14条第2項に以下の通りに定められています。
- 厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者
- 産業医の養成課程を設置している産業医科大学、その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
- 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
- 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者
これらの条件を満たした医師がはじめて、産業医として活動することが可能になります。
嘱託と専属はどう違う?産業医の2つの種類
産業医の選任方法は2つあり、「嘱託」の産業医(嘱託産業医)と「専属」の産業医(専属産業医)があります。嘱託産業医と専属産業医の主な違いは勤務形態にあります。
【嘱託産業医】
◆勤務形態
非常勤のため常時事業場にはいない
◆訪問頻度
嘱託産業医は月1回から数回、1時間~2時間程度で事業場へ訪問します。
ひと月に訪問する回数や時間は契約により異なります。
嘱託産業医の中には、産業医専門で活動している産業医もいれば、医療現場との掛け持ちで活動している産業医もいます。たとえば、週3~4日は病院やクリニックなどで勤務して、残りの1~2日で産業医として活動するなどです。
◆兼務
嘱託産業医は、他の事業場の産業医と兼任できます。
【専属産業医】
◆勤務形態
常勤、週3~5回事業場にいる
◆訪問頻度
専属産業医は事業場に所属しています。週3~5回など常勤日数は契約により異なります。他の従業員と同様に事業場で勤務するため、より身近な視点で職場の問題点に気づける可能性が高くなります。従業員にとっては、産業医や産業保健スタッフを身近に感じやすくなり、相談のハードルが下がることが期待されます。
◆兼務
専属産業医は一定の条件のもと、事業場の嘱託産業医を兼務できます。
産業医の選任人数に決まりはある?
選任する産業医の人数や種類(嘱託/専属)は、事業場の労働者数や業種によって定められています。(安全衛生法第13条第1項)
事業場の労働者数が50名人以上であれば嘱託産業医の選任が必要です。事業場の労働者数が1000人以上または、有害業務を取り扱う業種でかつ労働者数が500名以上の場合は、専属産業医の選任が必要です。具体的な選任人数は、下記の取りです。
【事業場の労働者数と産業医の選任人数】
- 0~49人:必要なし
- 50~999人:1名以上(嘱託可)
- 1000~3000人:産業医1名以上(専属)
- 3001人以上:産業医2名以上(専属)
※特殊業務に500人以上の従業員を従事させる事業所は専属産業医の選任が必要です。
※対象となる労働者数には、正社員だけでなく契約社員や、派遣、パート、アルバイトも含まれます。
産業医はどう探す?
産業医を探す方法としては以下のような方法があります。
- 産業医紹介会社からの紹介
- 地域の医師会に相談し紹介
- 健診実施機関に相談し紹介
- 近隣の医療機関に相談し産業医の資格を持つ医師がいれば紹介
- 社員の人脈からの紹介
自力で探すよりも、紹介会社を通して契約をする場合のほうが、産業医を探す手間が省けることや、産業医の一定の質が保証されていること、会社の要望に適した産業医を紹介してくれるなどのメリットがあります。また、会社によっては、衛生管理体制の立ち上げや、ひな形提供、書類作成・提出のサポート、相談窓口などサポートサービスが充実しているというメリットもあります。
産業医の報酬相場はどのくらい?
産業医の相場は専属産業医と嘱託産業医で異なります。産業医の相場としては一般的に専属産業医の方が高くなります。専属産業医の年俸はおよそ1000~1500万円です(勤務日数によって変わります)。その年俸の一定割合を紹介料として紹介会社が受け取ります。紹介料の目安は30%程度と言われています。
嘱託産業医の月額報酬は、労働者が50人の事業場で約6~10万円が相場です。労働者の人数や、立地、外国語対応の有無、精神科の専門医希望の有無などで金額が変動します。
各紹介会社でサポートの範囲や料金は異なるため、事前にどのようなサポートが受けられるのか確認しておくとよいでしょう。
今回は、産業医の役割と探し方、そして相場感についてご紹介しました。
ぜひ産業医についての理解を深め、御社にぴったりの産業医を選任していきましょう。
- モチベーション・組織活性化
- 安全衛生・メンタルヘルス
- リスクマネジメント・情報管理
医療・組織・心理の専門家として「ヒトのココロの問題」から解放!前を向いて働く人が増える企業社会を目指します
私たちが目指す「働く幸せの最大化」は、これまで関わってくださった方々、そしてこれから関わっていただく方々、そのすべてが対象です。新しい価値の提供ができるプラットフォームであり続けることで「多くの方が幸せに働く社会」の実現に役立てていきます。
上村 紀夫(ウエムラ ノリオ) 代表取締役 / 産業医
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